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認知症の危険因子は「糖尿病」「高血圧」「肥満」 生活改善でリスクを軽減できる
2019年04月03日
認知症の危険因子は「糖尿病」「高血圧」「肥満」「喫煙」であることが、新たな研究で明らかになった。
運動や食事などの生活スタイルを改善し、肥満を解消することで、認知症の発症リスクを減らすことができる。
運動や食事などの生活スタイルを改善し、肥満を解消することで、認知症の発症リスクを減らすことができる。
血管の老化が認知症のリスクを高める
「高血糖」「高血圧」「脂質異常症」「肥満」「内臓脂肪の蓄積」「喫煙」などは血管をいためて、動脈硬化が進みやすくする。
心筋梗塞や脳梗塞は血流が低下したり閉塞することで起こる病気だが、注意しなければならないのはそうしたよく知られた重い病気だけではない。
不健康な生活による危険因子は、脳の血管にも障害をもたらし、認知症のリスクも高めることが、最近の研究で分かってきた。
英国のエディンバラ大学の抗加齢・認知症疾患医療センターのサイモン コックス氏らは、「英国バイオバンク」に登録された44~79歳の男女9,772人の脳をMRI(核磁気共鳴画像法)で検査した。
「英国バイオバンク」は、疾患の発症に遺伝的要因と環境的要因がどのように影響しているかを調査している英国の大規模研究。50万人の英国人を対象に、遺伝子情報を含む生物学的な試料を集めたデータベースを作成している。
関連情報
危険因子が重なると認知症のリスクが相乗的に上昇
研究チームが、脳の状態と血管性の危険因子の関連について調査した結果、体格指数(BMI)と腹囲周囲径、糖尿病、高血圧、高コレステロールなどを適切にコントロールしないと、脳の血管に障害が起こりやすくなり、アルツハイマー病などの認知症のリスクが高まることが明らかになった。
これらの危険因子は互いに関連している。重複して因子をもっていると、認知症のリスクが相乗的に上昇するという。脳が委縮しやすくなり、ニューロン(神経細胞)が集まっている灰白質が少なくなり、 神経線維(脳と脊髄)が集まっている白質にも障害が起こりやすくなる。
検診で検査される項目の多くは、脳の健康にも関わっていることが分かった。血管性の危険因子を多くもっていると、検査値が正常の人に比べ、脳の血管がダメージを受けやすいことが明らかになった。
「注意しなければならなのは、こうした障害は中年期にはすでにはじまっていることです」と、コックス氏は言う。
脳のダメージは中年期から積もっていく 若いうちから対策を
脳の血管がもっともダメージを受けやすいのは「糖尿病」「高血圧」「喫煙」であることも判明した。
「血管性の危険因子をもっとも多くもっている人では、灰白質のボリュームが平均して3%(18mL)少なく、白質の損傷リスクも1.5倍高いことが分かりました。18mLはティースプーン1杯分とわずかな量ですが、その影響は大きいのです」と、コックス氏は指摘する。
こうした危険因子をひとつでも多く減らすために、生活スタイルを健康的に変えていくことが必要だ。
生活スタイルの改善は、もっとも容易に取り組めて、しかも効果的だ。これまで糖尿病や高血圧などの慢性疾患を予防・改善するために指導されることが多かったが、実は脳の健康にとっても重要だという。
「不健康な生活は心血管疾患のリスクを高めるだけではありません。中年期に入ると脳の委縮はすでにはじまっています。年齢を重ねてからアルツハイマー病などの認知症を発症するのを防ぐために、若いうちに健康的な生活を心がけることが大切です」と、コックス氏は強調する。
たった6ヵ月間のウォーキングで認知機能の低下を逆転できる
脳の健康を改善するために生活スタイルを見直すべき
その結果、計画的に行動する能力を示す「実行機能」が向上することが判明。運動とDASHダイエットに同時に取り組んだグループでは、脳の実行機能の能力が9歳ほど若返ったという。
なお、認知機能を向上させるために、運動と食事の改善の両方が必要で、どちらか片方だけでは十分な効果を得られなかった。保健指導だけを受け、運動と食事を改善しなかったグループでは、認知機能はベースラインより低下していた。
週3回の有酸素運動を続けるのは、それほど大変なことではない。研究で運動に取り組んだグループでは、ドロップアウトした人はほとんどいなかったという。
生活スタイルを改善することが、アルツハイマー病や脳血管性認知症のリスクを低下させることは、多くの研究で確かめられている。
「脳の健康を改善するために、今日から食事や運動などの生活スタイルを見直すべきです」と、ブルーメンタール氏は言う。
肥満の解消が認知症の予防につながる
認知症の危険性を高める因子として重要なのは過体重や肥満だという研究も発表された。しかも、肥満である期間が長いほど、認知症のリスクは上昇するという。
英国のエクセター大学公衆衛生学部のデイビッド メルツァー教授らは、65~74歳でがん、心不全など、複数の慢性の健康障害をもたない成人25万7,523人と、何らかの健康障害をもつ16万1,927人を対象に、平均14.9年の追跡調査を行った。
その結果、肥満である期間が10~14.9年に及ぶ、つまりずっと肥満だった人では、認知症の発症率が17%上昇することが分かった。
その一方で、肥満である期間が10年未満であると、認知症の発症率は低下していた。
長期間の調査で分かったことは、体重をコントロールし、肥満を解消することが、認知症の予防につながる可能性があることだ。
「適正体重を維持し、体をより活発に動かし、血圧値や血糖値、コレステロール値を良好にコントロールすることで、認知症のリスクを減らせます」と、メルツァー教授は言う。
Smoking, high blood pressure, diabetes and obesity each linked to unhealthy brains(欧州心臓病学会 2019年3月11日)Associations between vascular risk factors and brain MRI indices in UK Biobank(European Heart Journal 2019年3月11日)
Lifestyle and neurocognition in older adults with cognitive impairments: A randomized trial(Neurology 2019年1月15日)
Obesity and Longer Term Risks of Dementia in 65-74 Year Olds(Age and Ageing 2019年2月6日)
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