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「骨粗鬆症」による骨折患者の介護 4人に1人が離職・転職 76%が復帰には悲観的
2019年04月03日
骨粗鬆症とみられる骨折患者の家族介護者の4人に1人が、介助・介護のために離職(退職、休職)や転職など、労働環境の大きな変化を経験している。現在、離職中の介護者の約半数は復職を希望しているが、76%は難しいと悲観的に考えている――。
骨粗鬆症による骨折患者の介護者の実態が、アステラス・アムジェン・バイオファーマが行った調査で明らかになった。
骨粗鬆症による骨折患者の介護者の実態が、アステラス・アムジェン・バイオファーマが行った調査で明らかになった。
脆弱性骨折が介護や寝たきりの要因に
アステラス・アムジェン・バイオファーマは、骨粗鬆症に起因すると思われる脆弱性骨折が要因で介護が必要になった50歳以上の親族を介助・介護している家族3,071人を対象に、介護負担に関するインターネット調査を実施した。
骨粗鬆症に起因する骨折は、患者の生命予後にも影響を及ぼす、要介護の状態につながる主要因のひとつだ。超高齢社会を迎えた日本で、こうした骨折の予防は優先して取り組むべき課題となっている。骨折の危険性を裏付けるデータが報告されているにもかかわらず、骨折を経験した患者を支える介護者(主に家族)の実態についてはこれまで十分に把握されていなかった。
調査では、介護による休職・離職の現状は深刻で、多くの介護者が働き方の工夫をされているものの、4人に1人(25%)は離職や転職といった自身の働く環境を大きく変えざるを得ない状況にあることが示された。介護離職した人では、とくに身体的、精神的な負担が大きいことが窺える。
世界の50歳以上の女性3人に1人、男性5人に1人が骨粗鬆症による脆弱性骨折を起こし、高齢化にともないその数はさらに増加すると予測されている。骨粗鬆症による脊椎や大腿骨近位部骨折は、毎日の活動に著しく影響し患者のQOL(生活の質)を低下させ、救急病棟を含む通院を増やし、治療費の増加につながる。大腿骨近位部骨折患者のその後の生存率は一般人口より低い推移を示す。
このように骨粗鬆症の影響は深刻だが、日本では治療を受けている割合はわずか20%という報告がある。また、脆弱性骨折は介護や寝たきりの要因でもある。骨折・転倒を要因とする介護サービス負担は2018年には1.9~2.8兆円、なかでも家族による介護負担は0.8~1.7兆円に上る。
4人に1人が介護負担の大きさから離職 社会復帰には悲観的
調査では、介助・介護のために、4人に1人が離職(退職、休職)や転職など、労働環境の大きな変化を経験していることが分かった。一方で、退職や休職を経験した介護者のうち、再就職や復職している割合は2割にとどまった。
現在離職中の介護者の約半数は社会復帰を望んでいるものの、4人に3人以上(76%)は再度働くことは難しいと回答。また、現在離職中の半数以上(59%)を現役世代の40~50歳代が占める。
経験した働き方の変化として、「市有給休暇の取得」(44.6%)や「フレックス制度の利用」(15.7%)といった制度の利用を上げた人が多かった。比較的新しい制度として「時短勤務」(29.7%)や「在宅勤務」(9.6%)も活用している。
介護が必要になった骨折部位は、「椎体(背骨)」(27%)がもっとも多く、次いで「足の付け根(大腿骨)」(19%)となった。とくに現在離職中の介護者では、椎体骨折が41%ともっとも多い。これらの所見は主要な骨粗鬆症性骨折部位を反映している。
骨粗鬆症にともなう介護負担に社会全体で取り組むべき
介護者が負担に感じていることは「外出の付き添い・サポート」(55%)、「トイレへの移動、お風呂に入れること」(50%)。「自分自身が疲れてしまい、寝込みそうになる/寝込んだことがある」(45%)など。介護者自身の体力への不安を感じる声も多い。
現在離職中の介護者では、「精神的な負担」の改善を望む人が多く、身体的、時間的、経済的な負担より大きいと感じている。離職中の介護者の4割が、休息が取れないことや、自分の事をいつも後回しにすることに負担を感じており、自分自身の人生を憂うことがあると回答。
調査を監修した鳥取大学医学部保健学科の萩野浩教授は、「脳卒中や認知症だけでなく、骨粗鬆症による骨折も要介護・要支援の原因となることが多く、患者さんご本人の健康寿命だけでなく、生命予後にも大きな影響を及ぼします。今回の調査からは、骨折を経験された患者さんを支えているご家族の負担や苦労が顕在化されました」と述べている。
「介護負担の大きさから離職を余儀なくされている介護者が多いことも示され、骨粗鬆症にともなう介護負担についても、社会全体で取り組む課題であることが示唆されました」と指摘している。
アステラス・アムジェン・バイオファーマ
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