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認知症患者を介護する家族は睡眠不足になりやすい 睡眠は保健指導で改善できる

 認知症患者の介護者は、睡眠時間を確保するのが難しくなり、睡眠時間を週に2.5~3.5時間失っているという調査結果が発表された。一方で良い知らせもあり、シンプルで低コストの介入により、介護者の睡眠の時間と質を改善できることも明らかになった。
認知症患者の介護者は睡眠時間を週に2.5~3.5時間失っている
 米国のベイラー大学が、認知症患者の介護者の睡眠の時間と質について調べた35件の研究をもとに、3,268人の介護者を対象とした解析結果を発表した。

 世界保健機関(WHO)によると、世界の5,000万人が認知症で、年間に1,000万人が新たに認知症を発症しており、有病者数は2050年までに1億3,100万人に増加すると予想されている。

 認知症を発症すると、多くの患者に食事、入浴、身づくろい、失禁、記憶喪失などの障害があらわれ、患者は自立的な生活をおくるのが困難になる。

 アルツハイマー病協会によると、認知症患者を介護している家族などの介護者は、週に平均21.9時間を介護に費やしている。これは、無償のハードな仕事を人生に課しているかのようだという。

 認知症の介護には、多くのストレスや苦労、苦痛がともなう。これに加え毎週3.5時間の睡眠を失うことは、介護者の精神的および肉体的なダメージをもらたすおそれがある。

 しかし、「低コストの行動介入により、介護者の睡眠の質を改善でき、生活の内容や質を大幅に改善することが分かりました」と、ベイラー大学の心理・神経科学部のチェンル ガオ氏は言う。
適切なケアで睡眠の質が大きく改善
 研究チームが、認知症や介護などに関連する35件の論文を分析した結果、介護をしているグループ(3,268人、平均年齢63.48歳、女性76.7%)では、同年代で家族の介護をしていないグループ(696人)に比べて、睡眠時間が週に2.42~3.50時間短く、睡眠の質も明らかに低いことが明らかになった。

 「介護者は世界でもっとも献身的で多忙な人たちだと言えますが、睡眠不足は介護者の生活の質を損ねる原因になるだけでなく、介護の質の低下にもつながります」と、睡眠・神経科学研究所のディレクターのマイケル スカリン氏は言う。

 睡眠不足が続くと注意力が散漫になり、投薬量を間違えたり、感情的に過剰に反応してしまうおそれがある。

 その一方で、睡眠に関するケアを受けた介護者は、受けていない介護者に比べて睡眠の質が改善していたことも分かった。

 就寝時間を毎日規則正しく調整し、なるべくリラックスするようにし、朝に日光を浴びたり、適度な運動を行うというシンプルな介入により、介護者の睡眠を顕著に改善できるという。

 「睡眠は行動変容を通じて改善することができます」と、ガオ氏は強調している。
介護者の生活の質が低下するのを防ぐ
 一般に、年齢が高くなると若い時よりも睡眠時間は短くなる傾向があり、また介護者は睡眠時間を短く申告している可能性がある。そうした影響を差し引いても、介護者の多くが十分な睡眠時間をとられていないことは明らかだという。

 認知症患者の夜間の覚醒や徘徊などは、介護者の睡眠障害の一因となっている可能性がある。慢性的なストレスは、睡眠の時間と質に悪影響をもたらすと、研究者は指摘している。

 さらにストレスに対する不健康な反応が、アルコール摂取量の増加や運動量の減少などにつながり、良い睡眠をとれなくなっている可能性がある。

 介護は前向きで豊かな経験であるという「エンパワーメント」にもとづく見解がある一方で、介護には大きなストレスがかかり、未来を予測しにくいため、介護者の生活の質が低下するのをできるだけ防ぐべきだとする「環境ストレッサー」にもとづく見解がある。

 「質の悪い睡眠が長期的かつ潜在的に累積すると、潜在的に健康に悪影響をもたらします。世界中で認知症の介護者のニーズが高まっており、医療スタッフは患者だけでなく、介護をしている配偶者や子供などの家族に対しても介入をして、睡眠を改善するためのケアを提供することが必要です」と、ガオ氏は指摘している。

Caregivers of People with Dementia Are Losing Sleep(ベイラー大学 2019年8月23日)
Sleep Duration and Sleep Quality in Caregivers of Patients With Dementia(JAMA 2019年8月23日)
認知症(世界保健機関 2019年5月14日)
[Terahata]

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