オピニオン/保健指導あれこれ
「間食指導」で考える生活習慣改善アセスメント ~行動変容ステージに応じた成功アプローチを伝授します!

No.4 実行期:生活改善への気づきを促し、考えを整理する面接の実際

神奈川県立保健福祉大学プライマリー栄養ケア研究室
佐野 喜子
第4回:実行期
生活改善への気づきを促し、考えを整理する面接の実際(5)

支援のポイント

 前述した通り、「実行期」は改善行動が完全に習慣化していないので、ちょっとしたきっかけで実践行動が中断したり、望ましくない行動が再発する可能性があります。小さな変化でもポジティブに受けとめてもらえるよう、やる気(自己効力感)を高めてあげるような聞き取り技法が必要です。対象者の考えを整理しながら、変化をポジティブに捉えていくことがポイントとなります。

1)実践に至ったきっかけやプロセスの振り返り
 ・行動変容によって、自分自身にどんな恩恵があったのかを評価(自己再評価)する。
 ・振り返りを話すことで、不安を解消し、今後の継続への自信(自己効力感)を高める。
 ・今までの望ましくない行動を、どのような行動に替えたのか(行動置換 代替行動)を整理する。
  例:いつもは夕方に菓子を食べていた→別の食べものや飲みものに替える
    →散歩などの別の行動を入れる

2)後戻り防止対策
 ・対処しやすいように、後戻りしやすい心理状況や環境を予め考えておく。
 ・実践行動ができない場合の代替案を考え、再発防止対策を講じておく。

3)援助的関係の利用
 ・周囲から支援されているということを再確認する。
 ・行動への取り組みを支えてくれる仲間を探したり、サポートを得るようアドバイスする。

4)刺激統制の活用
 ・好ましくない行動を起こさせる刺激を減らす。
  例:見える所にある菓子→見えない場所にしまう
   (ダイニングテーブルの上にみかんや菓子箱を置かない)

5)強化マネージメント
 ・支援者による褒め言葉は、正の強化となり行動の継続につながる。
 ・自分への報酬を考えることで,実行する喜びや達成感が高まる。

まとめ

 実行期の人は、行動変容が見られても継続への不安を抱えています。モチベーションが高くても、効果が見えないと継続に自信がなくなり逆戻りになることが少なくありません。スタートした改善行動が効果に結びつくことを、根拠を持って提示し、自己再評価を高めてあげることが大切です。

 さて、次回は行動変容、最後のステージ「維持期」です。お楽しみに!

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