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塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
2024年04月16日
塩分のとりすぎは高血圧に大きく影響し、肥満とも深く関連していることが、明らかになった。
日本人はとくに食塩摂取量が多く、減塩は優先して取り組むべき課題になっている。
そこで減塩の新しい考え方として、「かるしお」が提唱されている。減塩を啓発するために「かるしお認定制度」も推進。
食塩を代替塩に置き換えると、高血圧リスクは40%低下するという調査結果も発表された。
塩分のとりすぎは高血圧に大きく影響 心臓病・脳卒中・腎臓病の原因に
塩分のとりすぎは高血圧に大きく影響する。世界保健機関(WHO)によると、高血圧は心臓病や脳卒中、腎臓病などの原因になる。世界中で14億人以上の成人が高血圧に罹患していて、毎年1,080万人が高血圧に関連して死亡しているという。 日本人はとくに食塩摂取量が多く、その平均は男性 10.9g、女性 9.3gとなっている。高齢者はさらに、食塩摂取量が多い傾向がある。この10年間で、日本人の食塩摂取量は減ってはいるものの、まだまだとりすぎているのが現状だ。 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食塩の摂取量を、成人では1日あたり男性7.5g未満、女性では6.5g未満に制限することが進められている。高血圧や腎臓病のある人は、さらに少ない量が推奨されている。
日本人の食品摂取量の現状と目標
出典:国立循環器病研究センター
塩分のとりすぎは肥満とも深く関連
塩分のとりすぎは肥満とも深く関連していることが、フィンランドのヘルシンキ大学の研究で示されている。 「米国では1980年代から1990年代の15年間で、塩分の摂取量が50%以上も増えました。それにあわせて、肥満も増加しています」と、同大学薬理学部のヘイキ カルパネン教授は言う。 「塩分の多い食品を食べすぎると、清涼飲料などの高カロリーの食品に対する渇望も増します。米国では同時期に、清涼飲料からのカロリー摂取量が平均して135%増加しました。これは、1人あたり1日に278kcal多くカロリーをとるようになったことを意味しています」。 278kcalのカロリーを消費するために、1日に1時間10分多く歩いたり、掃除など体を動かす家事を行う必要があるが、こうした運動目標は達成されていない。 「フィンランドで塩分摂取量を30~35%減らすと、75%~80%の人が体重を減らし、平均血圧を10mmHg減らし、脳卒中や心臓病の死亡リスクが減少します。そうなると平均寿命を6~7歳年延長できると考えられます」と、カルパネン教授は指摘する。塩を軽く使って食材のうまみを引き出す「かるしお」
塩をかるく使って美味しさを引き出す減塩の新しい考え方
食塩をカットした「かるしお認定食品」
食塩を代替塩に置き換えると高血圧リスクは40%低下
食塩を代替塩に置き換えると、高血圧リスクは40%低下するという中国の調査結果を、米国心臓病学会(ACC)が発表した。
代替塩は、食塩に含まれるナトリウムの一部をカリウムに置き換えたもの。薄味を自覚することなく、また味覚的な変化を感じることなく減塩ができる。
研究グループは、中国の介護施設の居住者を対象にランダム化比較試験を実施し、食塩を代替塩に替えると、血圧にどのような影響があらわれるかを調査した。
55歳以上の高血圧でない(140/90mmHg未満)、平均年齢71.4歳の男女611人を対象に、298人には通常の食塩を使った料理を提供し、313人には代替塩を使った料理を提供した。
その結果、2年間の追跡期間中に、100人年あたりの高血圧の発症率は、通常塩群では24.3だったが、代替塩群では11.7であり、代替塩により40%のリスク低下がみられた。
「代替塩を利用すると、血圧を高めることなく、食事を楽しみながら、心血管リスクを最小限に抑えられます。代替塩により健康を守れることが示されました」と、同大学臨床研究所のヤンフェン ウー氏は述べている。
「塩分の少ない食品を選択し、減塩することが、健康に大きな影響をもたらすことを、より多くの人が知るべきです」としている。
Salt Substitutes Help to Maintain Healthy Blood Pressure in Older Adults (米国心臓病学会 2024年2月12日)
Effect of a Salt Substitute on Incidence of Hypertension and Hypotension Among Normotensive Adults (Journal of the American College of Cardiology 2024年2月20日)
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