オピニオン/保健指導あれこれ
ストレスチェック制度と産業保健師の役割
No.1 メンタルヘルスをミッションに!
保健師・看護師・精神保健福祉士/会社の保健室 代表
2015年04月30日
働き盛りにまさかのうつ病
メンタルヘルスをミッションに
アルバイト程度の仕事をしながら、自分なりのリハビリ期間をすごしました。少しずつですが、保健師としての自信を少しずつ取り戻してきた頃、ふと思い立ったのです。
「なぜ、私がうつ病になったのか?」「何があれば予防できたのか?」「もし、それがわかったら、心の健康に関することを仕事にしよう!保健師である自分が『うつ病』になったのは、きっと何か意味がある!」
そして、心理学を学び直し、自らの経験とスキルを活かすならこれしかないと、働く人たちのメンタルヘルスに関わろうと思いました。大手電機メーカーの健康管理室スタッフを経て、「会社の保健室」という屋号を掲げ、開業しました。
主な仕事は、健康相談、カウンセリングとメンタルヘルスに関する研修、メンタルヘルスに関わる人事担当者へのコンサル業務です。
産業保健の業務の中の、ほんの一部ですが、人の心とじっくりと向き合っていきたいと思ったときに、あれこれと多分野に渡るのではなく、メンタルヘルスに絞ったほうが自分らしい仕事ができると思ったからです。
組織の外だからこそできることを
人生のしょんぼりをワクワクに変えよう!
元気は「ワクワク」につられてやってくる。これは、私の持論です。精神科で処方された薬で、症状を軽減できても、心の苦しみのすべてを癒すものではありません。
ところが、家族の優しい声でホッとしたり、職場の仲間や上司の確信を持った一言で勇気をもらったりします。気持ちが癒され、心に元気が戻ると、ワクワクが芽生えてきます。
保健師としてメンタル不調者と出会うと、「病気を治す」ことを共通の目標に二人三脚が始まります。私たちは、つい、相手が訴える症状に目が行きがちですが、その人が、どんな仕事をし、どんな家庭に育ち、どんな人間関係を結び、どんな人生を歩みたいと望んでいるのかに思いを馳せてみると、その人が元気になれる源が見えてくることがあります。
「人生のしょんぼりはワクワクに変える」というのが、私のミッションです。
人には、心が動き出す源があります。症状ばかりではなく、病の不安で凍り付いて固まっている心に、「ワクワク」の光を当てると、少しずつ、少しずつ、緩み始めます。そして、その人らしい生き方が顔を見せ始めます。
私たちが支援するのは、「人」であり、「病気」ではありません。病気があっても、障がいがあっても、「その人らしさ」に焦点を当てて、何が心を動かす源かをみつめます。
そこには、必ず「ワクワク」の源があります。「病気を治す」をゴールにするのではなく、「いかに人生をワクワク楽しむか」に焦点を合わせたときに、その人らしい人生を取り戻すことができるのです。
メンタルヘルスをミッションにするということは、その人の生き方に関わることです。それは、メンタル不調を引き起こした生き方を見直し、考え方の幅を広げ、日々の行動を変えることへの支援なのです。
「ストレスチェック制度と産業保健師の役割」もくじ
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