オピニオン/保健指導あれこれ
ストレスチェック制度と産業保健師の役割
No.3 ストレスチェックを職場環境改善活動に生かす
保健師・看護師・精神保健福祉士/会社の保健室 代表
2015年07月08日
ぞうきんがけの法則

誰もが働きやすい職場からはメンタル不調は出にくい
57項目のストレスチェックを受けると、個人のストレスプロフィールと、職場のストレスの状態を表す仕事のストレス判定図が出てきます。
仕事のストレス判定図では、職場のストレスが原因で、メンタル不調などの不調者が出る割合を、総合健康リスクとして表現しています。全国平均を100として、それより大きな数字が出れば、総合健康リスクが高い職場とされ、メンタル不調を起こす率が高いと判断されます。下の図では、総合健康リスクが125となっているので、全国平均よりも25%メンタル不調が起こりやすい職場ということになります。
左の図では、自分で仕事をコントロールできるかどうかという「仕事のコントロール度」と「仕事の量的負担」の関係を表しています。仕事が自分でコントロールできず、その仕事量が多いほど、ストレスは高くなることを示しています。
右の図では、職場内での「上司の支援」と「同僚の支援」の状態を示しています。上司の支援も同僚の支援も得られにくい職場というのは、ストレスが高くなります。

(※多くのストレスチェック業者のツールには、仕事のストレス判定図を出すまでのプログラムが組まれています。職場環境改善活動の参考資料となるメンタルヘルス改善意識調査票 [MIRROR]は、ここからダウンロードできます。 http://omhp-g.info/envi/envi05.html) このMIRRORは、職場の中の改善要求が数字で出てきます。以下の図では、職場で実現できているものが上に記載され、改善してほしいという要求が下に記載されています。職場環境を改善する際の中心的な課題として読み替えることができると言えます。 この職場では、「人の配置や仕事量の割り当てが適切に行われ、特定の人に負荷が偏らない」状態に改善してほしいと望む声が1番に上がっていますので、仕事量の割り当てや、配置に関する話合いを持つことが、改善活動につながると思われます。

応急処置と体質改善
高ストレスの従業員に対して、医師が面接を行い、就業上の措置を講じることが、「応急処置」だとすれば、職場のストレスを推し量る仕事のストレス判定図とMIRRORを活用し、職場の環境を改善することは「体質改善」だと言えます。
応急処置に加えて、体質改善を行うことが、再発や発病予防につながるという基本的な考えに立って、是非、ストレスチェック制度をいきいき職場づくりの推進に役立てていきましょう。

「ストレスチェック制度と産業保健師の役割」もくじ
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