ニュース

糖尿病の最新全国ランキングを発表 ワーストは青森県 ベストは愛知県

 人口10万人に対する糖尿病による死亡率が全国でもっとも高いのは青森県、もっとも低いのは愛知県であることが、厚生労働省の調査で明らかになった。
青森県は3年連続で全国ワースト
 厚生労働省「2016年人口動態統計月報年報」によると、人口10万人に対する糖尿病による死亡率は、都道府県別にみると青森県が17.0人で、全国平均の10.8人を大きく上回り、3年連続で全国ワースト1位だった。ワースト2位は秋田県の16.3人、3位は福島県の16.3人だった。

 昨年の調査で5位以内に入った香川県は前年の16.1人から14.1人に下がり、徳島県は14.9人から14.2人に下がった。全国平均を上回っているものの減少傾向がみられる。

 青森県がん・生活習慣病対策課によると、県内の糖尿病患者は重症化してから糖尿病の改善に取り組む人が多く、健康寿命を延ばす上での課題となっているという。

 糖尿病死亡率がもっとも低かったのは、愛知県の7.7人で、全国平均を大きく下回り、ワーストの青森県の半分以下にとどまっている。2位は神奈川県(7.8人)、滋賀県(8.0人)と続き、昨年とほぼ同じ順位だった。

 糖尿病死亡率がもっとも低い愛知県では、早い時期から糖尿病診療の地域連携の仕組みをつくり、早期発見・治療するための対策を重ねていることが成果に結びついた。
糖尿病による死亡率の都道府県別順位(対人口10万人)(2016年)
青森県 糖尿病が進行してから治療を開始する患者が多い
 青森県では、糖尿病により引き起こされることの多い脳卒中や心筋梗塞による死亡が多い。食塩摂取量が多い、多量飲酒者が多い、喫煙率が高いといった気質や文化や、雪国ゆえの運動不足からの肥満や、健診受診率の低さなども影響しているとみられる。

 糖尿病の病状が進行すると、失明や人工透析といった合併症も引き起こされ、患者のQOL(生活の質)の著しい低下や、医療経済への大きな負担が生じる。合併症を防ぐために必要なのは、糖尿病を早期発見し、適切な治療を継続することだ。

 青森県が2006年度に行った糖尿病調査の結果からは、▽青森県は全国と比べて糖尿病の病状の進行したケースが多い、▽病状が重篤化してから生活習慣を改善したり、情報を収集している患者が多い、▽3大合併症(網膜症、腎症、神経障害)を発症している患者の割合が全国と比べて高い――といった実態が浮かび上がった。

 また、青森県保険医協会が実施した受診実態調査では、「医療費が支払えない」といった経済的理由で糖尿病や高血圧の治療を中断する患者がいる医療機関が、県内で約41%に上ることが示された。

 金銭面を理由に糖尿病治療を中断する患者が多いほか、「受診回数を減らしたいと言われた」「薬が切れているはずなのに受診しない」といった事例も70%を超えているという。県保険医協会は「医療費負担を下げる糖尿病の治療を考えなければ、死亡率を下げるのは難しい」と述べている。
愛知県 糖尿病リスクの高い人を早期発見する体制づくりが進んでいる
 愛知県では、糖尿病のリスクの高い人を早期発見し適切な保健指導ができる体制づくりを進めるために、「あいち健康の森健康科学総合センター」(あいち健康プラザ)が中心となり、糖尿病指導者の養成にいち早く乗り出した。

 県内を4つのブロックに分け、その各ブロックから1保健所を選定。保健所の医師、保健師、栄養士などと市町村の保健師・栄養士など、企業の労働安全に携わる関係者に対して指導者養成を積極的に進めてきた。

 地域の実情に合わせて、職域と医療機関との連携を強化し、糖尿病予備群や初期の糖尿病患者へ糖尿病専門医や栄養士、保健師などによる継続的な指導を行う「糖尿病管理・指導事業」を手がけた。

 糖尿病予防の環境整備という観点から、「外食栄養成分表示店」事業も保健所の事業として1999年度から実施。管内のレストランや飲食店、喫茶店や事業所の食堂などのメニューにエネルギーや塩分、脂肪などの栄養成分表示をするという事業で、飲食店経営者や一般の消費者を対象とした講習会も積極的に実施した。

 愛知県が糖尿病対策で力を入れているのは、▽健康診査の受診率を上げ糖尿病を早期発見する、▽糖尿病の怖さを県民に広く認知してもらう、▽食事を改善してもらう、▽体を動かすことの大切さを認知してもらう、▽あいち健康プラザを活用しもらう(さまざまな健康教室を開催)――といったことだ。

 ライフステージに応じた健康づくりを推進し、糖尿病の危険因子をもつ人の減少をはかり、糖尿病のリスクの高い人を早期発見し、適切な保健指導を提供するというサイクルを繰り返し実施している。

 「地域の糖尿病に対する理解も向上し、糖尿病チーム医療も確立してきた。地域の努力で、糖尿病患者への適切な医療と保健指導を提供できるようになっている」と、県の保健政策担当者は話す。
糖尿病は心疾患、脳卒中、がんの発症リスクを高める
 「2016年人口動態統計月報年報」によると、死亡数の死因順位の上位に挙げられているのは、どれも糖尿病と関連の深い疾患だ。

 死亡数の死因順位は、(1)悪性新生物(がん) 37万2,801人(人口10万対の死亡率は 298.2)、(2)心疾患 19万7,807人(同 158.2)、(3)肺炎 11万9,206(同95.3)、(4)脳血管疾患 10万9,233人(同 87.4)、(5)老衰 9万2,759人(同 74.2)となっている。

 第1位のがんは、2015年の全死亡者に占める割合が28.5%となっており、およそ3.5人に1人が「がんで死亡」している状況だ。がんは1981年以降に死因順位の第1位になってから、一貫して増加している。

 第2位の心疾患は、1985年に脳血管疾患にかわり第2位となり、その後も死亡数・死亡率ともに増加しており、2016年は全死亡者に占める割合は15.1%となった。

 第4位の脳血管疾患は、1970年をピークに減少しはじめ、1985年には心疾患にかわって第3位、2011年には肺炎にかわり第4位となり、2015年の全死亡者に占める割合は8.4%まで低下した。

 糖尿病が原因の死亡数は1万3,454人と多くないが、実際には糖尿病(高血糖)や高血圧が悪影響をもたらし、心疾患や脳血管疾患に進展するケースが多い。最近の研究では、糖尿病はがんの発症リスクを上げることも明らかになっている。

 糖尿病の治療の目的は、糖尿病合併症である網膜症、腎症、神経障害、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患を防ぎ、健康な人と変わらない寿命と、日常生活の質(QOL)を維持することだ。実現するために地域ぐるみの対策が必要されている。
日本人の主な死因別死亡数の割合(2016年)
平成28年人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)
あいち健康の森健康科学総合センター
糖尿病性腎症重症化予防プログラムの開発のための研究
[Terahata]

「保健指導リソースガイド」に関するニュース

2018年07月12日
運転中にたばこを吸うと交通事故による死亡リスクが1.5倍超に上昇
2018年07月10日
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に
2018年07月10日
高血圧・メタボは要注意 腎臓学会が「CKD診療ガイドライン2018」を発表
2018年06月05日
【連載更新】「今日は〇〇の日」「○○週間」を活用していますか?
2018年05月29日
【リーフレット配布ご協力お願い】外見ケアに悩んでいる方へ「みなとアピアランスサポート相談室」
2018年03月28日
「糖尿病予備群向けの重症化予防プログラム」を開始 日本生命
2018年03月19日
東京の糖尿病療養指導を担う「東京CDE」と「東京CDS」 新年度の活動
2018年02月15日
人工知能(AI)で「胃がん」を早期発見 98%の精度で「熟練医に匹敵」
2018年01月05日
[ 2/7 市民公開講演会参加者募集中!] 全国生活習慣病予防月間2018
2017年12月13日
「糖尿病のクリスマスプレゼント」実施中 豪華商品と現金が当たります

最新ニュース

2018年07月20日
【応募受付中】「パパコト」アンバサダー募集中!
2018年07月20日
【健やか21】避難所生活で健康に過ごすための注意点(厚労省)
2018年07月18日
高血圧に特化した「治療アプリ」を開発 介入の難しい生活習慣改善を支援
2018年07月18日
脳卒中は暑い夏に増える 日常生活の注意点と脳卒中予防10ヵ条
2018年07月18日
ワカメに食後血糖値の上昇を抑制する効果 白飯のGI値を低下
2018年07月18日
世界の8.5億人が「腎臓病」 腎臓病の恐ろしさを知らない人が大半
2018年07月18日
「入浴」に健康増進のプラス効果 週5回以上の入浴が心血管を保護
2018年07月18日
高血圧・糖尿病が「認知症」を加速させる 女性の腎臓病はリスクが高い
2018年07月17日
【新連載】「産業看護職のための地域保健との連携マニュアル」のご紹介
2018年07月17日
農林水産省が官民協働の「Let's!和ごはんプロジェクト」を開始
2018年07月13日
【健やか21】平成30年度 家族や地域の大切さに関する作品コンクール
2018年07月13日
街のみんなで子育てを! そんな想いを伝えてみませんか?
2018年07月13日
過労死等の労災補償状況を公表 -裁量労働制対象者の決定件数も
2018年07月12日
運転中にたばこを吸うと交通事故による死亡リスクが1.5倍超に上昇
2018年07月11日
健診・検診/保健指導実施機関 集計結果と解説(2017年度版)
2018年07月11日
【連載更新】中年期の健康運動の考え方~ありたい体と心を創る~
2018年07月10日
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に
2018年07月10日
高血圧・メタボは要注意 腎臓学会が「CKD診療ガイドライン2018」を発表
2018年07月10日
多用な暮らしに対応した食育の推進を~平成29年度食育白書
2018年07月10日
ママとパパが一緒に読める、育児学級テキストの決定版「子育ち支援テキスト」(書籍)
2018年07月06日
【健やか21】キャンペーンサイト『SNS被害 気づいて!SNS出会いにひそむワナ』(内閣府)
2018年07月05日
【メンバー募集】保健指導スタッフみんなで"創る"「HRG Labo」始動!
2018年07月04日
日本腎臓病協会が設立「腎臓病の克服を目指す」 成人の8人に1人がCKD
2018年07月04日
厚労省「健康寿命をのばそう!アワード 第7回 <母子保健分野>」の応募受付を開始
2018年07月03日
「ベジファースト」で肥満・メタボ対策 東京・足立区の取り組みが奏功
2018年07月03日
子育て中の親のスマホ依存が子どもに悪影響 スマホを置いて対話を
2018年07月03日
メタボや高血糖の原因は「恒常性維持機構」の異常 新たな治療法を開発
2018年07月01日
「どう防ぐ?どう対応する?職場のパワハラ」へるすあっぷ21 7月号
2018年06月29日
【健やか21】危害・危険情報「ジャンプ式折りたたみ傘でのけが」(東京都)
2018年06月29日
食卓から始めるお母さんと赤ちゃんの健康!「妊娠中に食べたいもの控えたいもの」(指導箋)
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,349 人(2018年07月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶