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都道府県の健康格差が拡大 寿命で3.1歳、健康寿命で2.7年の格差

 日本の平均寿命は過去25年間に4.2歳延びたが、都道府県間の健康状態の格差は拡大したという研究結果が発表された。
平均寿命の格差は3.1歳に拡大 健康寿命の格差も拡大
 日本は超高齢化時代を迎え、「健康転換」が進んでいる。そのペースは国内の地域によって異なり、地域的な健康格差に対する懸念が高まっている。

 1990年以降、日本の平均寿命・健康寿命ともに伸長し、多くの疾患で死亡率が減少したものの、平均寿命の都道府県格差は2.5歳から3.1歳に広がっているほか、2005年以降は死亡率の低下が鈍化傾向にあることが、明らかになった。

 研究は、東京大学大学院医学系研究科の国際保健政策学分野教授の渋谷健司氏と米国ワシントン大学保健指標・保健評価研究所(IHME)などによるもので、医学誌「The Lancet」オンライン版に発表された。

 格差を生み出す要因として、都道府県レベルの保健アウトカム(1人当たりの医療費や人口当たりの医師数など)と、保健システムへのインプット(行動習慣など)との関係を調べたが、有意な相関はみられず、医療資源(医療費や人材)の増加は、必ずしも健康指標の改善に結びついていないことが示された。

 「国レベルで、持続可能な保健システムの実現に向けた具体的施策を検討するのみならず、都道府県レベルで、健康格差是正に向けた保健システムに関する研究や政策立案を行うことが重要」と、渋谷氏は指摘している。

平均寿命は延びているが都道府県の格差は拡大
 主な研究成果は以下の通り。

・ 平均寿命は、1990年から2015年にかけて、79.0歳から83.2歳へと4.2歳延びた。一方、都道府県の平均寿命の格差(最も寿命が長い県と短い県の差)も2.5歳から3.1歳に拡大し、健康寿命の格差も同様2.3歳から2.7歳へと増大した。

・ 健康寿命についても同様に、70.4歳から73.9歳まで延びた。一方、都道府県間における健康寿命の格差は2.3年から2.7年へと拡大した。

・ 年齢調整死亡率は、1990年から2015年にかけて、29.0%減少したが、その減少率は22.0%から32.3%と都道府県による差がみられた。
三大疾患の死亡率の低下率は鈍化
・ 主に脳血管疾患、虚血性心疾患、がんという三大疾患の死亡率の減少により、1990年から2015年にかけて平均寿命は上昇した。しかし、2005年以降、これら三大疾患を含む多くの疾患の年齢調整死亡率の低下率は鈍化している。

 一方、アルツハイマー病等の認知症の年齢調整死亡率は、増加の一途をたどっている。
行動習慣リスクの影響が大きい
・ 2015年の死亡のうち、33.7%は行動習慣リスク(食習慣や喫煙など)、24.5%は代謝系リスク(高血圧や脂質代謝異常など)、6.7%は環境や職業上のリスクに起因していることが判明した。

・ 特に、男性において最も主要な行動習慣リスクは喫煙で、18.9%の死亡に寄与。また不健康な食事(特に高塩分食)も、男女それぞれ18.8%(男性2位)、18.0%(女性1位)の死亡に寄与している。
健康格差を生じる要因は何か
・ 各都道府県における保健システムの主なインプット(1人当たりの医療費、人口当たりの医師数、看護師数、保健師数)と保健アウトカム(年齢調整死亡率および疾病負荷〔死亡と障害を含む包括的な健康指標〕)との間には有意な相関はみられなかった。

・ リスク要因(行動習慣、代謝系、環境および職業上のリスク)と都道府県間の健康格差についても顕著な相関は見られず、これら以外に、健康格差を生じる要因があることが示唆された。

東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻
Slowed-down progress in population health and increasing regional variations of disease burden in Japan, 1990-2015: a systematic subnational analysis for the Global Burden of Disease Study 2015(Lancet 2017年7月19日)
[Terahata]

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