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日本人3,554人の全ゲノム情報を解読に成功 日本人のゲノム医療に期待
2017年07月26日
東北大学などは、日本人のDNA配列の一塩基変異を約3,710万ヵ所明らかにしたと発表した。このうち72%以上は既存の国際データベースになく、日本人に特徴的な変異が多く含まれている。
日本人3,554人の全ゲノム情報を解読
東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)は、DNA配列の一塩基変異を約3,710万ヵ所を明らかにしたと発表した。
このうち72%以上にあたる約2,690万ヵ所は、既存の国際データベースになかった。
今回の研究では、次世代シークエンサーによる高精度なゲノム解析により、一般集団の日本人3,554人分からなる全ゲノム情報の解読に成功した。
集団(民族集団など)が保有する一塩基変異の多くは集団ごとに特徴的で、今回のデータベースには日本人に特徴的な一塩基変異が多数収載されていることが明らかになった。
今回の計画は、検体が日本全国をカバーするように設計されており、計画がそもそも対象としてきた宮城・岩手両県からの協力者については、特に母親の出身地が両県以外の人941人を含めている
また、「ながはま0次予防コホート事業」の協力者など、合わせて1,151人の宮城・岩手両県以外の出身者の情報を含めることにより、データベースの約32%は、宮城県と岩手県以外の検体から構成されることになった。
これまでにない、日本人の集団を幅広く代表した全ゲノム情報を収集できたという。
日本人の特徴を反映したデータベースを構築
データベースに含まれる個人ごとの遺伝型を詳細に検討すると、東日本、中部、西日本の出身地による微細な分布の違いが確認された。
今回のデータベースを国際1,000人ゲノム計画で取得されたアジアの集団(中国の3地域、ベトナム)と比較したところ、日本列島の出身者の集団は大きく、かつ明確に異なる1つのクラスタを形成していることが判明した。
これまで東北大学などが開発してきたデータベースでも、日本人の特徴を幅広く反映するものであることは実証されているが、今回の分を合わせると、日本全国の地域集団の特徴をさらに詳細に反映したものになる。
日本列島内の地域集団の微細な違いは確認されたものの、他のアジア集団のゲノム情報とは、大きく、かつ明確に異なる日本列島出身者としてのまとまりが検出された。
3,554人の日本人の全ゲノム情報を詳細に解析
今回のデータベースは、各々の対立遺伝子の相対的頻度を示すアレル頻度の極めて低い一塩基変異(0.1%以下)から、高い一塩基変異(5%以上)の広範囲にわたる約3,710万箇所の一塩基変異を含み、そのうち72%以上が新規の一塩基変異だった。
また、全ゲノム断片の配列情報は、他の研究では1人当たり4~6回分の解読量であるのに対し、1人当たり最低25回分以上の解読量となっている。
その結果、均質な日本人の集団に焦点をあて、3,554人という大規模な日本人の全ゲノム情報を詳細に解析することで、アレル頻度の低い一塩基変異の同定にも成功した。
日本人のゲノムにもとづく医療の実現などに期待
日本人の全ゲノムを解読することで、▽希少疾患の原因変異かどうかの推定、▽遺伝子の機能に関わる個人差の原因となる変異の探索、▽日本人特有のゲノムにもとづくリスク診断・医療・創薬のための基盤情報、▽日本人集団およびアジアを中心とした他集団との多様性に関する研究による地域ごとの疾患の罹患率等との関連性の探索――といった研究に役立てられるという。
近年、希少疾患、難病などの原因特定のため、患者のゲノム情報を次世代シークエンサーで解析する試験的な取り組みも始まっている。
この解析では、一般集団のゲノム解読が、患者のゲノムに含まれる疾患と関わりのない一塩基変異を除外する上で重要な役割を果たす。
具体的には、日本全国の未診断の有病者に対して遺伝学的な解析結果を含めた総合的診断を行う、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)事業に役立てられる。
今後は、東北メディカル・メガバンク計画の第2段階の目標のひとつである8,000人規模の全ゲノムゲノム解読の構築に向け、全ゲノム解析を行う人数をさらに増やすだけではなく、三世代コホートの家系情報なども活用した、より高精度の日本人の全ゲノムゲノム解読の作成を進めていくという。
また、東北メディカル・メガバンク計画における他地域出身のコホート参加者をさらに取り入れることや、日本の他地域のコホート事業などとも連携を進めることで、より日本人としての網羅性を高めていく予定だ。
東北大学東北メディカル・メガバンク機構岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構
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