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肥満より怖い「サルコペニア肥満」 食事と運動で筋肉低下を予防
2019年01月30日
少し太り気味という程度であっても、実は肥満。「サルコペニア肥満」と呼ぶ新しいタイプの肥満が増えている。
運動不足で筋肉が衰えたところに、脂肪が蓄積すると、血糖コントロールが難しくなるので注意が必要だ。
「サルコペニア肥満」に効果的に対策する方法が明らかになっている。
運動不足で筋肉が衰えたところに、脂肪が蓄積すると、血糖コントロールが難しくなるので注意が必要だ。
「サルコペニア肥満」に効果的に対策する方法が明らかになっている。
若い人にもサルコペニア予備群が
サルコペニアとは、加齢や運動不足などの影響で、筋肉が急激に減ってしまう状態。「サルコ」は筋肉、「ペニア」は減少という意味だ。運動不足で筋肉を使わないでいると、筋肉は衰えて細くなっていくだけでなく、寝たきりの原因にもなる。
サルコペニアになると、2型糖尿病や高血圧などのリスクが上昇するのに加え、「歩く速度が低下する」「転倒・骨折のリスクが増加する」「着替えや入浴などの日常生活の動作が困難になる」「死亡率が上昇する」など、さまざまな影響が出てくる。
そのうち、筋肉の量が減って体の機能が低下した状態に、肥満が加わったものを、「サルコペニア肥満」と呼ぶ。身長や体重が以前とほぼ同じで、見た目だけでは肥満に気付きにくいが、筋肉が著しく減っている場合がある。
「サルコペニア肥満」は65歳以上の高齢者に多いが、早ければ40歳代の若い人でもサルコペニア予備群がいる。
デスクワークや自動車に頼るなど、運動不足の生活スタイルが定着し、筋肉が著しく減っている場合がある。若い女性でも、ダイエット目的で食事制限を行い運動をしないでいると、脂肪だけでなく筋肉も減ってしまうので注意が必要だ。
放っておくと転倒や骨折のリスクが上昇
日本老年医学会が昨年12月に公表した「高齢者肥満症診療ガイドライン2018」でも、「サルコペニア肥満」の重要性が強調されている。
「サルコペニア肥満」の人はサルコペニアだけの人や肥満だけの人に比べ、生活機能の低下、転倒、骨折、死亡をきたしやすい。
「サルコペニア肥満」の人は、要介護のリスクが男性で8.7倍,女性で12.0倍に上昇するという。転倒のリスクも男性で3.3倍、女性で2.1倍に上昇し、大腿骨近位部の骨折を2.8倍起こしやすい。
「サルコペニア肥満」があると、筋肉に脂肪が蓄積し、インスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性が亢進する。
炎症性サイトカインも増え、ビタミンDの低下などにより筋肉量や筋力の減少をもたらし、さらに身体機能の低下をもたらすという悪循環に陥りやすい。
関連情報
糖尿病の人にとって筋肉の減少は深刻
「高齢者肥満症診療ガイドライン2018」では、適切な運動と食事を推奨している。運動については筋肉トレーニングが、食事についてはカロリー制限だけでなくタンパク質を十分に摂取することが効果的だという。
糖尿病の人にとって、筋肉には血糖値の調整を行う働きがあるため、筋肉の減少は深刻だ。筋肉は体を支え、動かす役割を担っているが、エネルギーを貯める機能もある。
食事をとると、血液中の糖が多くなり、糖の一部は脂肪にも蓄えられるが、多くは筋肉にグリコーゲンとして貯められる。筋肉の量が減ると、糖を調節する力が低下して血糖値が変動しやすくなる。
逆に筋肉を増やすと、エネルギー消費の増加により高血糖を改善できる。
食事でサルコペニア肥満を防ぐ タンパク質がカギ
運動でサルコペニア肥満を防ぐ 筋トレが効果的
筋肉量を維持・増強するために、運動が欠かせない。サルコペニアを改善するために、筋肉に負荷をかけて行うレジスタンス運動(筋力トレーニング)が効果的だ。
筋肉量を維持するために、1日に6,000~8,000歩を歩くと効果的だが、さらに筋力トレーニングを加えると、筋力を増やすことができる。
筋肉量は年齢とともに低下しやすくなるが、筋力トレーニングを行えば、高齢になっても筋肉を増やすことができる。
肥満に対しては、筋力トレーニングと食事療法の両方を行うと、脂肪量の減少と筋肉の機能を改善できる効果を得られることが明らかになっている。
60歳以上のサルコペニア肥満がある人を対象とした調査では、トレーニング用のゴムチューブを使った運動を週に3回、12週間行うことで、脂肪量が減少し、骨密度が増加することが分かった。
とくに、下半身を中心に筋トレを行うと、効率的に筋力をアップできる。運動は継続して行うことが大切なので、生活の中にとりいれやすい運動を見つけると良い。
日本老年医学会日本サルコペニア・フレイル学会
International Association of Gerontology and Geriatrics (IAGG)
Sarcopenia in Asia: Consensus Report of the Asian Working Group for Sarcopenia(Journal of the American Medical Directors Association 2014年2月)
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