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母親のストレスが子どもの肥満に影響 生後1歳までがとくに重要との結果に
2019年02月05日

子どもが産まれて最初の1年間に母親がストレスを知覚していると、子どもが成長してから肥満や過体重が増える傾向があることが、ドイツの研究で明らかになった。
母親のストレスは子どもに長期的な影響を与える
欧州で小児の肥満は増えており、ドイツでは2歳から6歳の子どもの約10%が過体重で、3%が肥満だという。
高カロリーの食事と運動不足などが肥満の主な原因だが、メンタルヘルスも影響している可能性がある。
子どもの生後1年間に母親が感じているストレスが、小児の肥満や過体重の危険因子であることが、ドイツのヘルムホルツ環境研究センター(HCER)の研究で判明した。とくに女子でこの傾向は長期に及ぶという。
「母親の精神的なストレスの影響は、子どもに長期的な影響を与えるようです」と、HCER環境免疫学部のクリスティン ユンゲ氏は言う。
「妊娠から人生の最初の数年間まで、子供の発達は外的な因子にとくに敏感です。それには母親のストレスのような心理的影響も含まれます」。
研究は、ライプツィヒにあるHCER、ブリストル大学、ベルリン衛生研究所の研究チームによるもので、詳細は科学誌「BMC Public Health」に発表された。
関連情報
498人の母親と子どもを調査
研究は、ドイツで実施されている子どもの健康と環境に関するコホート調査「LiNA母子研究」の一環として行われた。
研究グループは、妊娠中および生後2年の母親のストレスが5歳までの子供の体重の発達にどのように影響するかを調査した。今回の研究は、498人の母親と子どものペアが対象になった。
研究では、母親と子供が臨床検査を受け、生活環境における汚染物質の測定も行われた。
母親のストレスについては、心配事や恐れ、緊張、一般的な満足度、生活で必要なことへの対応などのトピックを含むアンケート調査が行われた。
その結果、出生後1年間の母親の知覚されたストレスが、子どもの5歳までの体格指数(BMI)の上昇と関連していることが分かった。この傾向は女子でより強く、また生後2年以降は関連が薄れた。
母親が知覚しているストレスについて、「要求が満たされない」「心配事がある」「喜びが欠落している」といった因子があると、その子どものBMIが上昇する傾向がみられた。
「母親のストレスといった心理的要因の影響は、男子ではそれほど強くないか、なんらかの補いがある可能性があります」と、ユンゲ氏は説明する。
母親のメンタルヘルスケアが必要
母親の知覚されたストレスには、交通量や騒音、悪質な生活環境、世帯収入が少ないことなども影響していた。これらの生活環境によって起こる母親のストレスが、子どもの肥満や過体重につながっている可能性もある。
「子どもは人生の1年目にはとくに敏感であり、ほとんどの場合で母親と子どもはこの時期に、母親がストレスを感じやすい時間や行動を共有しています。この時期の母親のメンタルヘルスに特別な注意を払う必要があります」と、ユング氏は指摘している。
LiNA母子研究(ヘルムホルツ環境研究センター)Maternal stress leads to overweight in children(ヘルムホルツ環境研究センター 2019年1月9日)
Early maternal perceived stress and children's BMI: longitudinal impact and influencing factors(BMC Public Health 2018年10月30日)
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