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がんと就労を支援する「順天堂発・がん治療と就労の両立支援ガイド−Cancer and Work−」を公開 順天堂大学

 順天堂大学は、患者・医療機関・職場のそれぞれの立場に対応し、「がんと就労」を支援するツールを掲載したウェブサイト「順天堂発・がん治療と就労の両立支援ガイド−Cancer and Work−」を開設した。
がんは「長くつきあう病気」になった
 「順天堂発・がん治療と就労の両立支援ガイド−Cancer and Work−」は、順天堂大学医学部公衆衛生学講座の谷川武教授、遠藤源樹准教授、医学部乳腺腫瘍学講座の齊藤光江教授、医学部衛生学講座の横山和仁客員教授、医学研究科上部消化管外科学の鶴丸昌彦特任教授らが中心となり開発されたもの。

 医療技術の進歩により、がんを含めた多くの病気が「不治の病」から「長くつきあう病気」へと変貌しつつある。男性の3人に2人、女性の2人に1人が生涯でがんになるとされており、現代は「がんとともに生きていく時代」になった。

 一方で、がんは治療と就労を両立させることが難しく、働くがん患者の約3割が退職を余儀なくされている現状がある。国民生活基礎調査によると、働きながらがん治療を続ける人は約32.5万人(2010年度)に上る。

 がん就労者が増加した背景には、多くの企業で定年年齢が65歳に引き上げられたことや、結婚後も働く女性が増えたことなどさまざまな要因がある。現役世代のがん患者が確実に増加している現在、診療する医療機関も、雇用する企業も、仕事と治療を両立するための配慮と工夫が必要であり、社会的にも両立のための仕組みが求められている。

関連情報
患者向け・医療機関向け・職場向けに就労支援ツールを公開
 そこで順天堂大学は、日本初のがん患者大規模復職コホート研究を実施し、同大学オリジナルの就労支援ツールを開発した。また、日蘭米がんサバイバーシップ国際共同研究により、治療と就労の両立支援に関するノウハウを蓄積した。

 こうした成果を、患者本人や家族、そして医療と就労の現場で活用してもらえるよう、「順天堂発・がん治療と就労の両立支援ガイド−Cancer and Work−」として、4月12日に公開を開始した。

 同ウェブサイトでは、患者向け・医療機関向け・職場向けのそれぞれの立場に応じた就労支援ツールを公開している。

 コホート研究や「がん健カード作成支援ソフト」開発の中心となった順天堂大学の遠藤源樹准教授は、「誰しも、ある日突然、がんと診断される可能性があります。より多くのがん患者が、がん治療と就労を両立できる社会を目指して、皆さんとともに知恵を出し合い、『誰でも、リカバリーショットが打てる社会』を作っていきたい」と述べている。

<< 順天堂発・がん治療と就労の両立支援ガイド−Cancer and Work− 主なコンテンツ >>

1. がん患者の就労支援モデル事業【医療機関向け】〔診療報酬改定対応〕
 「がん健カード作成支援ソフト」が紹介されている。
 医療機関は、がん患者の就労支援として、その患者が現在どのような症状で、働く上でどのような配慮が必要なのかを意見書にまとめ、職場へ提供している。このとき、医師が書く病名、症状や治療に関する事象のことを「疾病性」という。
 一方、がん患者を雇用する事業者は、患者が復職した際、業務を遂行する上で配慮すべき点を把握しておく必要がある。この事象を「事例性」といいう。
 このように、医療機関では「疾病性」が用いられ、職場では「事例性」が必要とされており、「疾病性」と「事例性」の相違が治療と就労の両立支援の最大の壁となっている。この問題を解決をするのが「がん健カード作成支援ソフト」だ。
 「がん健カード作成支援ソフト」は、「疾病性」の言葉を「事例性」の言葉に翻訳する機能を搭載しており、医師がソフトウェアの指示に従って選択・クリックしていくだけで、職場への就労に関する意見書の素案を簡単に作成することができる。
 「がん健カード作成支援ソフト」の利用には申請が必要となる。ウェブサイトの「がん患者の就労支援モデル事業利用申請フォーム」から申請できる。

2. 主治医と産業医の連携ガイド【患者向け】【医療機関向け】【職場向け】  「産業医・産業保健スタッフ向け連携ガイド」「主治医プライマリケア医向け連携ガイド」「企業経営者人事担当者向け連携ガイド」が掲載されている。

3. がん種別治療モデルカレンダー【患者向け】【医療機関向け】【職場向け】

4. 選択制がん罹患社員用就業規則標準フォーマット【職場向け】
 「選択制がん罹患社員用就業規則標準フォーマット」とは、順天堂による日本初のがん患者大規模復職コホート研究の結果をもとに、短時間勤務制度、在宅勤務制度、特別病休付与等をがんの種別や治療状況に応じた内容を盛り込んだ新しい形の就業規則モデル。
 モデル事業への参加には、申請が必要となる。ウェブサイトの「選択制がん罹患社員用就業規則標準フォーマット利用申請フォーム」から申請できる。

5. がん治療と就労のエビデンスブック【患者向け】【医療機関向け】【職場向け】

6. 企業向け・がん罹患社員用就労支援ガイド【職場向け】

順天堂発・がん治療と就労の両立支援ガイド−Cancer and Work−
"治療と就労を両立できる社会のために" 順天堂発・日本初のオリジナルの就労支援ツールを開発。(順天堂大学)
[Terahata]
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