ニュース

がんを発症した女性の仕事と治療の両立 「柔軟に働ける制度」が必要

 がんを発症した女性が、仕事と治療を両立するために周囲の理解を必要としており、がん治療のために利用できる制度の拡充も望んでいるという調査結果が発表された。
半数以上が「仕事への影響」を不安に感じている
 国立がん研究センターによると、20代後半から50代前半の働く世代では、男性よりも女性の「がん罹患率」が高い。

 2017年に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太方針)で、働き方改革のひとつとして、治療と仕事の両立推進が盛り込まれた。女性のがん罹患と働く環境の整備は大きな課題となっている。

 大手人材サービス会社「アデコ」が、がんと診断されたときに正社員として就業していて、現在も就業中の20~50代の女性200名を対象に、がん治療と仕事の両立についてアンケート調査を実施した。

 それによると、がんと診断されたときに感じた不安は、「仕事への影響」(56.5%)がもっとも多く、「家族への影響」(43.0%)、「治療による体調の変化」(42.5%)と続く。

 具体的には、「職場への迷惑」(59.0%)、「業務遂行への影響」(46.0%)、「治療や療養のために休暇を取ること」(43.0%)といったことを不安に感じている。

 「周りから必要以上に気を遣われること」(30.0%)、「不特定多数に知られ詮索されること」(25.5%)など、職場におけるコミュニケーションを懸念する声も多い。
職場への報告 半数以上が「理解・協力を得られた」
 がんと診断された有職女性を対象に、勤務先や就業形態の変化について質問したところ、「同じ勤務先で、正社員として就業」(89.5%)と答えた女性が多かった。

 治療や療養のために必要だった連続休暇日数は「20日以下」(58.5%)、年間の休暇取得総日数は「30日以下」(58.9%)という回答が多かった。

 就労を続けた目的は、「家計を維持するため」(74.0%)がもっとも多く、次いで「治療費を工面するため」(35.5%)が続く。

 治療と仕事が両立できた理由は、「職場の上司・同僚・部下等の理解・協力」(64.0%)がもっとも多く、「家族の理解・協力があったから」(53.0%)が続く。

 がんの発症について、92.5%が「直属の上司」に伝えており、勤務先にがんを罹患したことを伝えたメリットとして、「職場の上司・同僚などの理解・協力を得ることができた」(53.4%)、「治療や病状に応じた休暇を取りやすくなった」(45.6%)を挙げた人が多かった。
就労継続のための勤務制度の整備が求められる
 がん治療と仕事の両立支援に向けて、制度の整備や運用は必要な一方、一緒に働く仲間など身近な存在からの理解や協力が大切であり、職場のチームマネジメントが重要となる。

 勤務先に望むことは「傷病休暇・休業制度の充実」(40.0%)、「柔軟な勤務体系の容認」(37.5%)など多く、「治療に関する費用の助成」(30.0%)、「業務量・内容、業務分担等の調整」(24.5%)を望む声もあった。

 一方で、がんを罹患した女性にとって、就労継続のための勤務制度の整備は十分ではないという現状がある。

 がんを発症した女性の82.5%は「勤務先で配慮して欲しかったことがある」と回答。具体的には「傷病休暇・休業制度の充実」(40.0%)、「柔軟な勤務形態の容認」(37.5%)といった働き方の選択肢に関する配慮のほか、「治療に関する費用の助成」(30.0%)、「業務量・内容、業務分担等の調整」(24.5%)を望む声もあった。

 また、制度や体制などのハード面のみを強化しても、現場での理解・協力といった支援がなければ運用はうまく進まない。対応マニュアルの策定やがん治療への理解啓発などが求められると同時に、ソフト面での職場環境の整備も大きな鍵となる。
がん患者が仕事と治療を両立するために
 アンケートは、企業の人事担当者も対象に行われた。企業ががん治療のために利用できる導入済みの制度は、「傷病休暇・休業制度(賃金支給あり)」が47.5%と最多だったが、従業員数300人以上の企業では59.0%であるのに対して、従業員数300人未満の企業では35.8%と、企業規模によって差があった。

 がん疾患啓発へり取り組みとして、「人間ドック、がん検診受診の促進」(52.0%)を実施している企業がほぼ半数に上るが、「社員へのがん治療に対する理解啓発、研修の実施」(11.4%)や「研修の実施治療と仕事の両立に向けた勤務制度の整備」(9.4%)などの取り組みは総じて低かった。

 がん患者が仕事と治療を両立するために、周囲の理解とともに、がん治療のために利用できる制度も必要だが、現状では対応できていない企業が多い。

 調査を行った「アデコ」はこのような結果を受け、がんを発症した女性の希望をふまえた上でのキャリア開発、職場環境の整備・改善を支援する必要があるとしている。

アデコ
[Terahata]

「がん」に関するニュース

2018年10月05日
乳がん検診に「人工知能(AI)」を導入 マンモグラフィの欠点を克服
2018年10月04日
【講演会レポート】「10月8日は、糖をはかる日」講演会 「"これからの"血糖コントロール」
2018年10月02日
10月は「乳がん啓発月間」 定期的なマンモグラフィ検診は効果的
2018年09月11日
乳がんの新たな検査法を開発 マンモグラフィーの欠点を克服 神戸大
2018年08月29日
「第4回がん撲滅サミット」を11月18日(日)に東京ビッグサイトで開催
2018年07月26日
東京第1期 「ブレスト・アーティスト養成スクール」開講日程のお知らせ
2018年06月27日
「グループ運動」は継続するのに効果的 「プラス・テン」で運動促進
2018年06月27日
乳がん患者の不安や恐怖を緩和 乳がんサバイバーを支援するアプリを開発
2018年06月20日
「老年医学推進5ヵ年計画」を学会が発表 人生100年時代の高齢者医療
2018年06月20日
低脂肪の食事で女性の「乳がん」リスクが低下 死亡リスクも低下

最新ニュース

2018年10月18日
【参加募集中】第6回(2018年度 第2回)産業保健プロフェッショナルカンファレンス テーマ「メンタルヘルス」
2018年10月18日
帝京大学産業保健プログラム 受講生募集
2018年10月18日
【健やか21】平成30年度「麻薬・覚醒剤乱用防止運動東京大会」(参加申し込み受付中)
2018年10月17日
日本肥満学会など23学会が「肥満症」の撲滅目指し「神戸宣言2018」
2018年10月17日
高齢者の体力が向上 女性の運動離れは深刻 【体力・運動能力調査】
2018年10月17日
母乳で育てた女性は脳卒中リスクが低下 8万人を12年以上調査
2018年10月17日
全身持久力を向上させ高血圧を予防 「身体活動基準2013」で検討
2018年10月17日
魚を食べると大動脈疾患リスクが低下 食べない人では死亡リスクが2倍に
2018年10月15日
パートナー企業とヘルスケア分野でオープンプラットフォーム構築―タニタヘルスリンク
2018年10月15日
厚労省専門委が5歳児虐待死亡事件の検証結果を公表
2018年10月12日
【健やか21】第 77 回日本公衆衛生学会総会 自由集会 ~知ろう・語ろう・取り組もう~
2018年10月10日
「歩幅プラス10cmウォーキング」でロコモ・サルコペニアを防ぐ
2018年10月10日
たった一晩の「不眠」でメタボや糖尿病に 睡眠を改善するための7ヵ条
2018年10月10日
「子宮頸がんワクチン」の効果は高い HPVウイルス感染を90%以上予防
2018年10月05日
乳がん検診に「人工知能(AI)」を導入 マンモグラフィの欠点を克服
2018年10月05日
肺の健康を守るには口の健康から 歯周病が進行すると呼吸機能が急速低下
2018年10月05日
「改正健康増進法成立! 受動喫煙対策を強化」へるすあっぷ21 10月号
2018年10月05日
厚労省が「働く女性の実情」を公表~女性活躍推進法に基づく取組状況を解説
2018年10月05日
「健康なまち・職場づくり宣言2020」2018年の達成状況を報告~日本健康会議
2018年10月04日
【講演会レポート】「10月8日は、糖をはかる日」講演会 「"これからの"血糖コントロール」
2018年10月04日
【回答期限延長(10/30 15:00まで)】「保健師の活動基盤に関する基礎調査」(日本看護協会)
2018年10月04日
【健やか21】若い世代に向けた妊娠・出産に関する普及啓発Webサイト(東京都)
2018年10月03日
【産保PC第5回(2018年度 第1回)レポート】テーマ:保健指導
2018年10月02日
心不全が急激に増えている 「心不全パンデミック」時代の3つの予防法
2018年10月02日
「なぜ運動が良いのか」メカニズムを解明 筋肉ホルモンが心臓を保護
2018年10月02日
魚のオメガ3系脂肪酸が「不安症状」を軽減 魚を食事療法に活用
2018年10月02日
10月は「乳がん啓発月間」 定期的なマンモグラフィ検診は効果的
2018年10月01日
保健指導リソースガイド「よろず相談センター」が誕生
2018年09月28日
働き盛りの睡眠不足が問題に~睡眠障害への早期対応も必要
2018年09月28日
スマートフォンアプリ「ぜんそくリスク予報」をリリース~JMDCと日本気象協会
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,558 人(2018年10月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶