ニュース

【新型コロナウイルス】COVID-19の迅速診断法の開発に成功 唾液から25分で判定でき、機器も不要

 東京医科大学と日本大学は、COVID-19の感染の有無を、唾液などから検出し、目視で容易に判定できる迅速診断法を開発したと発表した。
 検体採取から25分ほどで判定可能で、偽陽性反応などの非特異反応がなく、PCR法と同等の高感度をもつという。
 検体採取にともなう医療従事者の感染の危険性も低減できる。現行のPCR検査に代わる方法として期待されている。
唾液などのサンプルから25分で検出可能
 東京医科大学と日本大学は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染の有無を、唾液などから検出し、目視で容易に判定できる迅速診断法を開発したと発表した。この迅速診断法は、東京医科大学小児科・思春期科学分野の河島尚志主任教授と日本大学文理学部化学科の桑原正靖教授が、共同で開発したもの。

 この方法の利点は、唾液や喀痰でも診断でき、検体採取にともう医療従事者の感染の危険性を低減できること。さらに機器が不要なので、一般診療・検疫・家庭でも感染の有無が分かる。将来的には海外からの渡航者の感染のスクリーニングへの使用も期待される。

 すでに多くの迅速キットが市販されているインフルエンザでは、ウイルス抗原とその抗体の特異的結合反応にもとづき検出するものだが、COVID-19は検体に含まれているウイルス量が少なく、現在のところ実用化されているウイルス検出方法はPCR法しかない。

 PCR法は、サーマル・サイクラー(高速温度制御装置)を用い、複数のプライマーセットを用いた逆転写リアルタイムPCR法であり、信頼性の高い測定を行えるが、検査の判定に専用機器が必要となる。そのため、一般外来で検査を行うことは困難で迅速性がないという欠点がある。

 そのため、感染患者だけでなく接触者や海外渡航者などの幅広いスクリーニングにも適用できるような、高感度かつ特異性の高い、簡易で安価な迅速診断方法の開発が急務となっている。

SATIC法の定までのフロー(手順)
PCR法に代わる核酸増幅法 COVID-19を迅速診断
 研究グループが開発したのは、SATIC法と呼ばれる新しい核酸増幅法。SATIC法では、特定のRNAと結びつくことが知られ注目されている「チオフラビンT」などを用いた試薬で自動で検出をはじめ増幅させる。次に、ナノレベルの大きさの磁性体(ナノ磁性ビーズ)の特性を生かし、増幅させたターゲットの遺伝子を磁気の力で凝集させる。

SATIC法の基本原理

 SATIC法は、サンプル中に10コピー程度しかないごく微量のウイルスを検出することが可能で、きわめて高感度だという。また、臨床検体として、既存のPCR法で陽性と判定された咽頭・鼻腔ぬぐい綿棒、唾液、喀痰を用いた結果、すべての検体で検出可能だ。

 SATIC法であれば、手動で核酸(DNAやRNA)を抽出する必要がない。検査はおよそ20~25分で終了し、陽性陰性の判定は目視で十分に可能であり、偽陽性は極めて少ないという。

 臨床検体では、感染回復期からのウイルス学的動態では、鼻腔ぬぐい液でPCR陰性と判定されている患者の喀痰から長期に陽性であることも確かめた。

 研究グループは、この迅速診断法について「病院や高齢者施設における集団感染を抑制し、感染者動向を基礎データとして必要とされる医療体制を計画的に確保することにより、医療関係者の負担を軽減し、医療崩壊を防ぐことができます」と述べている。

 さらに、IoT技術と組み合わせれば、外出の可否などの行動規制を個人レベルで判断できるようになり、経済活動におけるダメージを最小限にとどめられる可能性もある。

東京医科大学小児科・思春期科学
日本大学文理学部化学科
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2023年08月09日
8020達成率は5割以上 若い世代の歯周病増、口腔ケアが課題に
厚労省「令和4年歯科疾患実態調査」より
2023年08月08日
若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
2023年07月28日
2022年度版「健診・保健指導施設リスト」状況を報告します【保健指導リソースガイド】
2023年07月24日
標準体重でも3分の1は実は「肥満」 BMIは健康状態をみる指標として不十分 やせていても安心できない
2023年07月11日
自治体健診で高齢者のフレイルを簡便に判定 「後期高齢者の質問票」でリスクが分かる 「フレイル関連12項目」とは?
2023年06月20日
肝臓学会が「奈良宣言2023」を発表 肥満・メタボの人は「脂肪肝」にもご注意 検査を受けることが大切
2023年06月12日
自治体健診で「心房細動」を早期発見 健康寿命と平均寿命の差を縮める 日本初の「健康寿命延伸事業」 大分県
2023年06月05日
要介護認定リスクと関連の深い健診6項目が明らかに 特定健診・後期高齢者健診のデータから判明 名古屋市
2023年05月19日
令和4年度「東京都がん予防・検診等実態調査」 受診者増加のための取組み率は健康保険組合で85%に上昇
2023年05月18日
さんぽセンター利用の5割以上「健診結果の措置に関する説明力が向上」
-『令和4年度産業保健活動総合支援事業アウトカム調査報告書』-
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶