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高性能マスクの開発に着手 再使用が可能でウィルス除去効果の高いマスクを 名古屋大など

 名古屋大学は、3Dプリンターを用いて、再使用が可能で、ウィルス除去効果の高いマスクの開発をはじめたと発表した。
 マスクを再使用可能にすることで、マスク不足の解決につなげる。ウィルス除去の効果も期待できる信頼性の高いマスクの開発を目指している。
布製のマスクではウイルスを除去できない
 マスクの開発は、名古屋大学大学院工学研究科の堀克敏教授、三井化学、名古屋大学発のベンチャーであるフレンドマイクローブの研究グループが進めている。

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、使い捨てマスクの供給不足が続いている。さまざまな再使用可能なマスクや、布で手製されたマスクが増えている。しかし、そういったマスクの多くは、網目がウイルス除去効果のある不織布フィルターの網目よりずっと大きく、ウイルスを除去する効果をあまり期待できない。

 これらのマスクは、自身が感染者であった場合は、飛沫防止により他人に移さない効果については多少あるが、不織布マスクよりかなり劣り、ましてや他人からの感染の予防効果は期待できない。

 そこで、同大学と、マスク用フィルターの不織布を生産供給する三井化学、堀教授が以前に設立したフレンドマイクローブとの三者は、新規マスクの共同開発に取り組むことを決めた。3者はかねてから、不織布に関する共同研究を行ってきた。
新マスクは本体を再使用、不織布フィルターは使い捨て
 使い捨てマスクでウィルスを除去するフィルター効果を発揮しているのが不織布だ。不織布にはさまざまな種類があるが、家庭用マスク向けの不織布は「メルトブローン法」により生産され、極細の繊維径(2~3μm)、および帯電処理を施すことにより、各種粒子を捕集する機能をもつ。

 マスクを生産する会社は、素材メーカーから不織布の提供を受け、それを使ってマスクを縫製、販売している。不織布フィルターのみを使い捨てとし、マスク本体は再使用可能な素材で作れば、ウィルス除去効果のある再使用可能マスクができる。

 また、マスク本体を3Dプリンターで作製することで、樹脂や形状を検討して迅速な改良が可能になる。

 3者は開発を急ぎ、モニター販売をしながら、使い勝手が良いように改良していく予定だ。とくに、(1)メガネが曇る、(2)耳が痛くなる、(3)蒸れる、(4)臭いといったことが、マスクを外したくなる要因になるので、改善をはかる。

 顔の形や大きさに合ったイージーオーダーやオーダーメイドのマスク開発も視野に入れているという。
マスクを外す際にも注意が必要
 マスクを外す際にも注意が必要となる。外側にはウイルスが付着している可能性が高いため、これに触れないようにマスクを外さなければならない。

 再使用する場合は、マスク表面への扱いも注意が必要。消毒薬で拭きとるのが簡便だが、ウイルス流行時には、マスクだけでなくアルコール消毒薬なども供給不足になる。抗ウイルス効果のある酵素や薬剤があれば、アルコール消毒の代わりになる。

 今回は、こうしたポイントを視野に入れて検討を進める。また、マスク本体自体は洗浄や消毒可能な素材で作製される予定。

 これまでマスクを着用する習慣のなかった欧米諸国でも、マスクを着用するようになる人が増え、世界的にマスクの需要が伸びることが想定される。

 使い捨てマスクのごみ問題も提起される可能性があり、再使用可能なマスクの需要はますます高まる。

 コロナウィルスとの戦いは長期にわたるという予測もあり、新しいウィルスが突如あらわれるリスクは常にある」と、研究グループは述べている。

 「マスク着用の機会が増えるにつれ、掛け心地やデザイン性も求められるようになる。そういった需要にも応えることのできるマスクを開発したい」としている。

名古屋大学大学院工学研究科
三井化学
フレンドマイクローブ
[Terahata]
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