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【新型コロナ】製薬9社がワクチン開発では安全性を最優先すると共同声明 ワクチン有力候補の治験が一時停止

 新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンの開発を進めている欧米の製薬会社9社が9月8日に、共同で声明を発表した。
 「健全で科学的な過程を順守し、第3相試験で有効性と安全性が実証されなければ、承認申請や緊急使用許可申請を行わない」としている。
 オックスフォード大学とアストラゼネカは、開発を進めているワクチン候補の第3相試験を一時停止した。
拙速なワクチン使用に懸念を表明
 この声明に名を連ねた企業は、英アストラゼネカ、独ビオンテック、米モデルナ、米ファイザー、米ノババックス、仏サノフィ、英グラクソ・スミスクライン、米ジョンソン・エンド・ジョンソン、米メルク。

 ワクチンの開発競争が加速しており、米トランプ政権が11月の米国大統領選挙に先立ち、臨床試験の終了前に例外的にワクチン投与を認める緊急使用許可にふみきる可能性を示唆しているなか、9社は共同声明で、拙速なワクチン使用に懸念を示している。

 声明では、米食品医薬品局(FDA)のような専門的な規制当局の基準に見合った治験の最終段階を通じて、安全性と有効性を確認した後のみに承認や許可を申請することを強調している。

 関係者は「可能な限り早期にワクチン接種が可能になることが期待されています。そのため、開発に必要な適切な手順が省略されるのではないかという不安も出ています」「ワクチン開発で安全性と効果を犠牲することはないことを表明する必要があります」と述べている。
アストラゼネカのワクチン候補の第3相試験が一時停止
 アストラゼネカは9月9日、オックスフォード大学が開発したCOVID-19ワクチンの第3相試験への登録を一時停止したと発表した(英国では9月12日に再開)。ワクチンの主要候補について、英国でワクチン接種を受けた成人で「疑わ​​しい有害事象」が発生したための保留としている。

 アストラゼネカは臨床試験の停止について、「これは、調査中のいずれかの試験で原因不明の有害事象が発生した場合に必ず発生する日常的な対応です。臨床試験のタイムラインへの潜在的な影響を最小限に抑えるために、単一のイベントのレビューを迅速化するように取り組んでいます」と述べている。

 アストラゼネカは、ワクチン候補AZD1222の第3相試験を米国で開始し、世界80ヵ所で3万人の成人を登録する計画を立てている。

 この二重盲検試験では、米国の試験参加者の約2万人にワクチンを2回投与し、残りの1万人にはプラセボを投与した。合計1万7,000人を対象とした英国、ブラジル、南アフリカでの有効性試験も進行中だった。

 オックスフォード大学が開発したワクチンは、チンパンジーから分離された風邪の原因となる「アデノウイルス」を利用したウイルスベクターワクチンだ。

 アデノウイルスは、細胞内で複製できないように改変されており、COVID-19がヒト細胞に感染するために使用する「スパイクタンパク質」を発現している。
臨床試験は政治的圧力から独立して実施されるべき
 フランス国立保健医学研究所(INSERM)のワクチン研究者であるマリー-ポール キエニー氏は今回の件について、「有害事象の原因が直接的にワクチン候補にある場合は、決定的な打撃となる可能性がありますが、無関係の場合は、保留は数週間で解除されるかもしれません」と述べている。

 「ワクチン開発の世界的な推進にどのような影響を与えるかを判断するには時期尚早ですが、広範囲に使用するワクチンを承認する前に、安全性を評価するために適切に設計された大規模試験の結果を待つことの重要性が示されています」と述べている。

 「臨床試験は、政治的圧力から独立し、チェックとバランスという一定の条件を保持する必要があり、安全性が最優先事項となります」。

 「オックスフォード大学の開発したワクチン候補は、今のところ非常に有望であり、有害事象がワクチンと無関係であることを願っています」と、米マウントサイナイ医科大学のウイルス学者であるフロリアン クランマー氏は言う。

 「治験を中止するという決定は、ワクチンを評価するプロセスが機能し、安全で効果的な治療法だけが市場に出るのを保証することを示しています」としている。
研究の詳細はすべて公表されるべき?
 ただ、専門家からは、有害事象の深刻さや発生時期など詳細なデータがなければ、試験への影響やワクチン承認のタイムラインを評価するのは難しくなるという指摘も出ている。

 オックスフォード大学が開発したワクチンの第1/2相試験では、ウイルス感染によってしばしば引き起こされる脊髄の炎症である横断性脊髄炎の症状の報告されたが、安全性を検討した後、試験が再開された。しかし、第3相試験での有害事象については公開されていない。

 「安全で効果的なワクチンの開発に関わる問題を考えると、研究の詳細はすべて公表される必要があります」と、モナッシュ大学の医師で生命倫理学者であるポール コメサロフ氏は言う。

 「COVID-19は人類にこの100年で最大の脅威を与えており、創薬プロセスは高度に政治化されています。治験はすべて公的に支援されており、公衆の信頼を確保および維持できなければ成功を得られません」と指摘している。

COVAX: Working for global equitable access to COVID-19 vaccines(世界保健機関)
Statement on AstraZeneca Oxford SARS-CoV-2 vaccine, AZD1222, COVID-19 vaccine trials temporary pause(アストラゼネ 2020年9月9日)
A leading coronavirus vaccine trial is on hold: scientists react(ネイチャー 2020年9月9日)
[Terahata]

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