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【新型コロナ】「柿渋」が新型コロナを不活化 ウイルスを1万分の1以下に 食品開発に期待
2020年09月18日
奈良県立医科大学は、「柿渋」が新型コロナウイルスの不活化に有効であることを実験で確かめたと発表した。
柿渋の成分である「柿タンニン」に、ウイルスを不活性化する抗ウイルス作用があると考えられている。
柿渋の成分である「柿タンニン」に、ウイルスを不活性化する抗ウイルス作用があると考えられている。
新型コロナウイルスを1万分の1以下に不活化
奈良県立医科大学は、「柿渋」が新型コロナウイルスの不活化に有効であることを実験で確かめたと発表した。
研究グループは、試験管内で「新型コロナウイルスと唾液のみ」と「新型コロナウイルス、唾液に柿渋を加えた場合」を比較する実験を行い、柿渋を加えることで新型コロナウイルスを不活化できることを明らかにした。
柿から高純度に抽出した柿タンニンが、新型コロナウイルスを1万分の1以下に不活化するという。
「柿タンニン」は、柿渋の主成分であるポリフェノールで、インフルエンザやノロウイルス、O157などの病原菌を不活性化する抗菌・抗ウイルス作用があると考えられている。
同大学の所在地に近い京都山城地域は、タンニン含有量の高い渋柿の産地として知られている。
柿渋を利用した食品開発も
今回の研究では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療効果の検証は行っていないが、今後は、飛沫などで口腔内に新型コロナウイルスが入った場合での予防効果や、柿渋を飴やガムなどに混ぜて口に含むことでCOVID-19の罹患率を低下できるかを調べる実験が考えられるという。
新型コロナウイルスの感染予防のための柿渋を利用した食品などの開発も目指している。研究成果やノウハウについては、すでに特許出願中だ。
「柿渋の柿タンニンの濃度とウイルスとの接触時間が重要で、これを考慮して製品化する必要がある」と、研究グループは述べている。
医学を基礎とするまちづくりを推進
奈良県立医科大学は、医学を基礎とするまちづくりである「MBT」構想を展開している(MBTは"Medicine-Based Town"のこと)。
これは、医学的知見を工学やまちづくりに活用するもの。医師や看護師等がもつ膨大な知識を、患者の治療だけではなく、医学的に正しい製品や住居、そしてまちづくりに関わるすべてのものに生かし、医学にもとづいた社会貢献を目指している。
なお、同大学とMBTコンソーシアムとともに、柿渋を利用した製品開発の共同事業を行う企業や団体の募集を9月30日まで行っている。
新型コロナウイルスをオゾンで不活化
同大学はMBT研究の一環として、新型コロナウイルスはオゾンで不活化できることを5月に発表した。
この研究で、オゾンによりウイルスを最大で1万分の1まで不活化できることを確認した。医療機関の医療用消毒などへの実用化を考えている。
診察室や集会場などで、感染拡大を防止するために、手作業によるアルコール拭きなどで除菌が行われている。しかし、このやり方は労力と時間がかかり、十分な消毒ができないおそれがある。
オゾンガスによる除菌は、この課題を解決する手段になる可能性がある。
オゾンは非常に強い酸化力をもち、酸化力の強い酸素を発生し、他の物質に結合させて化学変化を起こし、細菌の細胞壁や細胞膜に作用することでウイルスを破壊する。オゾンの反応後は残留物を出ないので、比較的扱いやすい。
研究は、奈良県立医科大学微生物感染症学の矢野寿一教授、同大学感染症センターの笠原敬センター長らによるもの。
奈良県立医科大学
MBTコンソーシアム
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