オピニオン/保健指導あれこれ
業務効率化で「働くひとと組織の健康を創る」(提供:(株)iCARE)

No.5 産業保健師が実行力を学べるオンラインサロンを紹介します

産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・心療内科医
(株)iCARE 代表取締役 CEO 山田 洋太

産業保健師が「実行力」を学ぶ場がない

 産業医として、またヘルスケアカンパニーの経営者として、300社を超える健康管理の現場を見てきました。その中で、労働者の健康管理を前に進めるためには「保健師の活躍」が欠かせないことを痛感しています。

 確かに、産業保健スタッフの中では産業医がキーマンになります。法律上権限が明記されているからです。一方で、その企業で働く労働者に対して直接働きかけたり、人事労務担当とタッグを組んで計画を遂行する現場には、実行力のある保健師が必要なのです。

 ここでいう実行力とは、以下のような「ビジネススキル」と言い換えると分かりやすいでしょう。

 ・健康診断結果等の統計・分析のためのITリテラシー
 ・伝わる保健だよりや勧奨メールを書く文章力
 ・不調者ケアのために人事や管理監督者を巻き込み解決に導くための交渉力
 ・日程調整や面談記録など業務効率化できる箇所をみつけて改善する問題解決能力
 ・最新の法改正や研究・事例・論文を見付ける情報収集力

 これらは、産業保健師がスキルを磨く場所、たとえば学会やセミナーではなかなか手に入らないスキルばかりです。

 そこで今回は、企業の健康管理に携わる保健師・看護師が実行力を身につけられる場所であるオンライン型『産業保健ナースサロン』と、実際の開催の様子を紹介していきます。

『産業保健ナースサロン』とは?

 『産業保健ナースサロン』は、産業保健の分野で活躍する保健師・看護師さん同士が繋がり、「もっとレベルアップしたい」「やってみたい」を応援する無料のコミュニティです。

 ひとり職場の方から、大企業にてチームで働く産業看護職の方まで、皆さんで本音で話し合い、情報交換し、教え合える学びの場・仲間づくりの場を目指しています。オンラインの無料コミュニティツール「Slack」を通じた匿名交流と、リアルで繋がる勉強会・オフ会を開催しています。

 今回は、2020年2月29日に開催された「産業保健ナースサロン 第3回オフ会」の様子をご紹介します。学会やセミナーとは違い、実行力を学べる場所とはどのようなものかを知っていただけるかと思います。

第3回オフ会のテーマは「保健指導のケーススタディ」

 開催日は2020年2月29日。新型コロナウイルスの流行時期にあたり、自粛要請は発表されていなかったものの、リアルに人が集まるイベントは中止や延期が相次いでいる状況でした。

 しかし、「こんな時こそ、専門家である私たちがお手本となるようなイベントを開催しよう!」ということで予定通り開催。産業保健ナースサロンはオンラインのコミュニティなので、ライブ配信を準備。当初予定よりも多くの方にご参加いただけるようになりました。

【当日のイベント内容】
・コピーライターの指導「社員が読みたくなる健康だよりの作り方」
・ケーススタディ「ラーメンがやめられない社員への保健指導」
・シェアリングタイム

 実際の会場では、産業保健職の集まりなのでヘルスリテラシーも高い参加者の皆様がお越しいただいているとはいえ、昨今の新型コロナウイルス感染症をはじめとした感染症対策として手洗い・咳エチケットの会場アナウンスと、スタッフによる会場の換気などを徹底し、スムーズにオフ会は始まりました。

社員が読みたくなる健康だよりの作り方

 株式会社iCAREのマーケターでありコピーライターの小川さんからは、健康意識が低い社員でも読みたくなる健康だよりの作り方を指導していただきました。

 実際の健康だよりを題材にしたビフォー・アフターと、どういった考え方で修正していくのかを3つのポイントに絞って解説。伝える内容は変えなくとも、文章や図のレイアウト、単語に工夫を加えるだけで見やすく伝わりやすい資料を作れる方法を学びました。

 人の視線の動きに合わせるレイアウト作りはW字型ではなくZ型がおすすめといった内容や、専門用語を書くときには会話調で記載するなど、すぐに使えるテクニックを伝授。さらに「余白は埋めたくなるけど埋めない、伝えたいことは一つに絞る」といった言葉には、参加者のうなずきが波を打ちました。

ラーメンがやめられない社員への保健指導

 次に、「ラーメンがやめられないIT企業のデザイナーに向けてどういった保健指導が効果的なのか?」を題材に、グループワークで模造紙にまとめて、グループごとに発表しました。

 事前に本人より、家族構成や1日の生活の流れ、価値観などの詳細なプロフィールと、直近の健康診断結果を共有した上で、「どういったアプローチが効果的なのか?」「何を目標として設定するか?」といった保健指導の方針を3~4人のグループに分かれて話し合い、模造紙にグループの意見をまとめ共有し合いました。

 安全配慮義務の観点からまずは受診勧奨というグループもあれば、「本人のやる気を引き出す肉体改造計画」など各グループごとにアプローチ方法も様々で、一言に保健指導と言えど奥が深いです。

 興味深かったこととして、当日は事例にあがった本人がオンラインで参加していたので参加者からの追加の質問にリアルタイムで答えていたこと。また、オンライン参加者と本人がオンライン上で保健指導が自然発生していたことです。

 実はこの産業保健ナースサロン第3回オフ会の翌週から、本人の行動が劇的に改善。毎日のように食べていたラーメンは週の半分以下におさえられ、オフィスでの筋トレにも参加するようになったのです。保健師がどれだけ働く人のことを考えて保健指導にあたっているかが伝わったのでしょう。

 最後は、グループごとにそれぞれが考えた保健指導の方針や、なぜその方針になったのか考え方を発表するシャリングタイムでした。これで当日用意していたプログラムは終了したものの、参加者の熱はさめずそれぞれ産業保健について熱く語りあっていました。

産業保健ナースサロン、あなたも参加しませんか?

 『産業保健ナースサロン』の次回開催は5月です。オフ会だけでなくオンラインでも全国の産業看護職のみなさんと交流できますよ。

 より詳しいサロンの様子は下記ページでご紹介しています。みなさんのご参加をお待ちしております。

≫産業保健ナースサロン

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