オピニオン/保健指導あれこれ
業務効率化で「働くひとと組織の健康を創る」(提供:(株)iCARE)

No. 4-1 実行力ある保健師にこそ読んでほしい、産業医学の新しいスタンダードが学べます提供:(株)iCARE)

産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・心療内科医
(株)iCARE 代表取締役 CEO 山田 洋太
 産業医ビギナーのためのわかりやすい入門&実践書として出版された新著『産業医 はじめの一歩』。
 共同著者の一人である山田洋太さん(株式会社iCARE 代表取締役 / 産業医)は何を考え、誰に向けて執筆したのか。「産業医学の体系化にチャレンジした」という本作について、その真意をたずねてみました。

産業医だけでなく、保健師にこそ読んでほしい

Q.書籍化の話がでてから、執筆に一年以上かかりましたね。
 「1年前から執筆の準備は進めていたけれど、思ったより時間かかりました。書籍の内容は「プロ産業医養成講座」が元になっていて、分かりやすく事例を追加したり参考資料を載せたりと工夫しました。

 「プロ産業医養成講座」は、勉強会の少ない地方の産業医や子育て中の女性産業医、それから資格を取得したばかりで実務経験の少ない初心者向けに開催しているオンラインセミナー。毎回10名前後の受講者と双方向で進めています。

 そうして何度か回数を重ねてくると、産業医実務における「あるある課題」が見えてました。担当する企業の規模や業種に関わらず、初心者の産業医が共通してぶつかる課題がある。その解決策をこの本には集約しました。」

Q.なぜ、保健師の方にも読んでほしいと?
 「実は「プロ産業医養成講座」がはじまったきっかけが、保健師向けの勉強会。現役の産業保健師さんたちに産業医の働き方をレクチャーする勉強会の内容がもとになってます。

 企業の健康アプローチを前にすすめるためには、保健師の活躍が欠かせないですよね。

 産業保健に携わる人(産業医・保健師・カウンセラー・人事労務担当)の中でも、やっぱりキーマンは産業医。法律上権限が明記されているのは産業医だから、「産業医が何をどのように考えて健康にアプローチしているのか」を知ることはやっぱり重要です。

 そこで実行力のある保健師が産業医の役割をカバーできると、自身のスキルアップ・キャリアアップにつながっていくと考えています。」

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<株式会社iCARE 代表取締役の山田洋太さん>

産業医学は体系化されていなかった

Q.これまでの産業医向け書籍とは何が違いますか?
 「ひとつは初心者向けの教材がなかったから、今回は資格を取得して経験社数が10社に満たない産業医向けに書いたのが大きな違いです。

 たとえば、メンタルヘルスや健康診断といった個別の課題を解決するための書籍や教材はすでにあります。でもそれらはすでに実務経験があって具体的な課題を抱えている人にとっては有用だけど、初心者向けではなかったんですね。

 もうひとつは、産業保健に関わるすべての人に読んでもらえるよう分かりやすく工夫したこと。

 現実問題、産業医は報酬が高いから社内にいる時間が限られてしまう。では産業医が社内にいない間に対応するのは誰か?というと産業保健師であったり健康管理を担当する人事になってきます。

 ですので、産業医に求められる考え方やスタンスを体系化しました。こういったコンセプトの産業医向け書籍は今までなかったと思います。」

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Q.「産業医のスタンスを体系化」について詳しく教えて下さい。
 「誰を産業医に選任しても、企業の健康管理は一定のレベルで構築される必要があります。

 もし誰が産業医になるかで、企業の健康管理がコロコロ変わってしまったらどうなるか。産業医ではなくて臨床医で例えてみると分かりやすいでしょう。誰が医師として診てくれるかで、どんな病気やどの治療をするかがコロコロ変わってしまうなんて今の医学ではありえないことですよね。

 でも、残念ながら産業医においてはそんなありえない状況がよく起こってしまっています。

 その理由は、産業医学に求められる対応が社会情勢によって次々と変化していってるため。

 産業医学はまだまだ新しい分野です。高度経済成長期の日本では労働災害による死亡者が5000名を超えてきたので、労働者を守るために労働安全衛生法が1972年に制定されたことからはじまりました。

 当初は結核による感染症対策からはじまって、有害業務への対応。サラリーマンの働き方が度を越して長時間になることで脳心臓疾患が増えていき、不景気になるとメンタルヘルスに不調をきたす労働者が目につくようになってきました。

 こうして社会情勢のニーズが高い課題について、産業医の仕事は個別対応してしまいがちです。メンタルヘルスは苦手だから面談は避けたいという産業医がいたり、あるいは精神科出身の産業医を専任したいという人事がいたりすることは、産業医学が体系化されていない証拠だと考えます。

 そんな状況を改善したくて産業医のスタンスを体系化して一冊にまとめました。」

その2へ続く

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