オピニオン/保健指導あれこれ
働く女性と乳がん -がん治療と乳房再建のいま

No.1 乳がんの今 -他人事ではない高罹患率-

セルポートクリニック横浜院長、 杏林大学形成外科非常勤講師
辻 直子
 乳がんの罹患率
 日本人女性のがん罹患率トップは、乳がんです。その罹患率は20%超を占め、女性が最も注意しなくてはいけないがんということになります。生涯で乳がんに罹患する確率は、女性で12人に1人と言われています。友人を10人思い浮かべてみてください。自分の含めその中の一人は乳がんになるということです。電車の車内にも最低2~3人はいることになりますね。

 実は、この罹患率は近年急激に増えています。その主な理由は食生活の欧米化や女性の社会進出が影響していると考えられています。女性ホルモンのひとつ、エストロゲンにより乳がんは増殖しますが、月経中はエストロゲンが多く分泌されるため、体格が良く初潮が早くなったことが罹患者の若年化を進めている可能性があります。さらに妊娠出産が減少したこと(つまり女性が生涯に経験する月経の回数が多くなっている)も、影響しているかもしれません。


国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」より作成

 乳がん健診
 乳がんの検査には様々なものがありますが、診断までに必ずやる検査と言えばマンモグラフィー(乳房X線検査)、エコー(超音波検査)、針生検(組織診)です。急増する乳がんの早期発見対策として、自治体によるがん検診の費用負担が行われていますが、検診率はまだ2~3割。罹患者の約1割を占める乳がんによる死亡率を下げるためにも、検診受診率を上げることが非常に重要です。

 もし、各画像検査で疑わしい病変があった場合には、針生検で確定診断を行います。この針生検で病変部の組織を採取し、ホルモン感受性など、個々のがんの性格や顔つきまで判断します。針生検によって、その後の治療方針に有効な情報を得ることができます。

 オーダーメイド化されたがん治療
 現在、乳がん治療は「集学的治療」と言って、病期に応じて手術、薬物療法、放射線治療を組み合わせて行われます。さらに個々のがんの性格に合わせた薬剤選択がなされ、まさに「オーダーメイド治療」が普及してきています。ですから、ひとくちに乳がん治療と言っても、人によって受ける治療は異なるのです。

 がんは突然やってくる
 乳がんは、罹患年齢が他のがんよりやや低い傾向にあります。30代後半から急に増え始め、ピークは50~60歳くらいです。また、近年注目されている家族性(遺伝性)の乳がんも若いうちに発症する傾向にあります。

 現代は働く女性が増え、結婚・出産しても仕事を続けていくことは珍しくありません。仕事の責任も増えてバリバリと働いているとき、そしてお子さんがまだ目の離せない子育て中に、乳がんは突然やってきます。

 働き盛りの女性が、乳がんを宣告されたシーンを想像してみてください。いまのプロジェクトを成功させなくてはならないから休むわけにはいかない、子どもがまだ小さいので入院するわけにはいかない、生活はどうしよう、、等々、突然現れた人生の試練に途方に暮れることになります。

 働く女性が乳がんになったとき、仕事と治療のバランスをどう取って行くのか。次回はそのあたりを詳しくみていきます。


国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」より作成

「働く人のがん対策」に関するニュース

2017年06月21日
世界の3人に1人が肥満か過体重 世界規模で保健指導が必要
2017年06月21日
「健康長寿新ガイドライン」を策定 東京都健康長寿医療センター
2017年06月15日
乳がん検診は今後はどう変わる? 「高濃度乳房」の実態調査を開始
2017年06月15日
食育推進計画を策定した市町村は78%に上昇 「平成28年度食育白書」
2017年06月08日
【健やか21】子ども・若者育成支援「専門分野横断的研修」研修生募集
2017年06月07日
糖尿病医療に貢献するビジネスプランを募集するコンテストを開始
2017年06月01日
緑茶カテキンが膵臓がんに対する新たな治療薬に がん幹細胞を阻害
2017年05月26日
厚労省が熱中症予防の普及啓発と注意喚起を呼びかけ
2017年05月22日
死傷災害で目標達成にほど遠く~平成28年労働災害発生状況
2017年04月28日
「がん患者と家族に対する緩和ケア提供の現況調査」報告書を公表 厚労省

最新ニュース

2017年06月22日
【健やか21】子どもの健康の地域間格差が拡大している可能性
2017年06月21日
東京糖尿病療養指導士(東京CDE)、東京CDS 講習会の日程を発表
2017年06月21日
日本の介護の現状をレポート 「介護社会」の本格的な到来に備える
2017年06月21日
世界の3人に1人が肥満か過体重 世界規模で保健指導が必要
2017年06月21日
ブロッコリーで糖尿病を改善? 「スルフォラファン」が血糖値を下げる
2017年06月21日
糖尿病+高血圧 どうすれば治療を両立できる? 高血圧の治療が進歩
2017年06月21日
「健康長寿新ガイドライン」を策定 東京都健康長寿医療センター
2017年06月20日
「血糖トレンドを知るには。」を公開 血糖トレンドの情報ファイル
2017年06月19日
広がる電子母子手帳~健康情報を管理するアプリとも連携(神奈川県)
2017年06月16日
【健やか21】子ども外傷患者初期対応アセスメントシート 活用マニュアル
2017年06月15日
乳がん検診は今後はどう変わる? 「高濃度乳房」の実態調査を開始
2017年06月15日
食育推進計画を策定した市町村は78%に上昇 「平成28年度食育白書」
2017年06月15日
日本初の「心房細動リスクスコア」を開発 検診項目からリスクが分かる
2017年06月15日
赤ワインのポリフェノールで血管が柔らかく 糖尿病の動脈硬化も改善
2017年06月15日
内臓脂肪が増えるとがんリスクが上昇 腹囲の増加は「危険信号」
2017年06月15日
HbA1cを測定できる「ゆびさきセルフ測定室」 全国に1,500ヵ所以上
2017年06月08日
【健やか21】子ども・若者育成支援「専門分野横断的研修」研修生募集
2017年06月07日
若い世代の産業保健師を育成するプロジェクトがスタート
2017年06月07日
産業保健プロフェッショナルカンファレンス サイトを公開
2017年06月07日
糖尿病医療に貢献するビジネスプランを募集するコンテストを開始
2017年06月07日
健康に生きるための5つの「ライフ スキル」 人生で勝つために学びが必要
2017年06月07日
睡眠を改善するための10ヵ条 睡眠不足とメタボが重なると危険
2017年06月07日
「自分で測り健康データを収集」 5000人規模のコホート研究 東北大学
2017年06月07日
高尿酸血症が腎臓の機能障害の原因に 少しの異常でも腎臓に悪影響
2017年06月06日
「8020」を2人に1人以上が達成し過去最高に~平成28年歯科疾患実態調査
2017年06月06日
初の出生数100万人割れで過去最少 厚労省・人口動態統計月報年計
2017年06月02日
厚生労働省が平成28年の職場における熱中症死傷者発生状況を取りまとめ
2017年06月02日
【健やか21】育児休業取得者微増(女性81.8%、男性3.16%)
2017年06月01日
世界禁煙デー たばこの自販機禁止を82%が「支持する」と回答
2017年06月01日
「健康的な食事」で脳卒中などのリスクが低下 長生きの秘訣が判明

おすすめニュース

無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 6,135 人(2017年06月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶