オピニオン/保健指導あれこれ
女性のライフステージと、体と心の健康運動

No.2 成人期の健康運動の考え方 ~体と心を感じる習慣づくり~

ブレインラボカマクラ 代表
パーソナルフィットネストレーナー(NESTA認定)
健康運動指導士(健康・体力づくり事業財団認定)
前田 有美
 女性の成人期(20~39歳)においては、比較的早い時期に多くの方が学校を卒業し、就職するライフイベントを迎えます。また、この時期に結婚する方、出産する方、出産後に育児や子育てに専念する方もいれば、一定期間の育児休暇の後、復職する方もおられます。他にも、ご自身の仕事のキャリアをアップさせるため、新たな学びや深い学びをする方も最近は多くなってきました。

 女性の成人期は、大きな複数のライフイベントを通じて、生き方や日々の生活に変化が生じやすい時期ともいえます。そのため、1日24時間、1週間7日、1年365日と様々な時間単位で考えても「忙しい」と感じる、あるいは感じた方が多いのではないしょうか。

成人期に多い自覚症状~肩こり、腰痛、脚のむくみやだるさ~

 成人期の女性に多い自覚症状としては、肩こりや腰痛、脚のむくみやだるさなどが挙げられます。

 肩こりについては、平成28年の厚生労働省の国民生活基礎調査〔性・年齢階級・症状(複数回答)別にみた有訴者率〕で報告されていますが、20~29歳、および30~39歳の女性は、自覚症状の1位に挙げており、人口千対で98.0および130.1を占めています。肩こりは、仕事やプライベートでの長時間のパソコンやスマートフォン操作、そして重い荷物を肩で持つことで起こりやすくなります。

 腰痛は例として、子どもを繰り返し抱き下ろした時、重量物の持ち上げや運搬時、腰の反りを強くした状態での長時間の立ち姿勢、あるいは長時間、お尻をイスの座面の手前に置き、背もたれに背中を置いて、腰部にスペースが生じた状態の斜め姿勢で座った時にも起こる場合があります。

 脚のむくみやだるさは、長時間、座ったまま、立ったままといった同じ姿勢で自覚を訴える方が多いです。また、出産に伴う体型の変化(例:出産後、骨盤が開いた感じがする、下腹部やお尻まわりが大きくなったなどの自覚)や体調の変化を訴える方も多くおられます。

 女性ホルモンであるエストロゲンおよびプロゲステロンの変動に伴う特有の症状として、月経前緊張症候群(PMS)がありますが、個人差があるものの、体および心の変化が3~10日程度あるといわれています。もしかしたら、生理痛や月経に伴う不快感を合わせると1ヶ月の半分近くは体と心の状態が安定しないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

運動プログラムは自分で簡単にできるものが良い

 過去に、東京都内在勤の女性(25~44歳)を208名対象に運動・美容プログラムの実施状況に関する調査研究を行いましたのでご紹介します(※1)。

 調査内容は、1.運動や美容に関する施設やサービスの利用や実施状況、2.就労後に受けたい有料プログラムの期待感とその内容、3.身体の調子で気になる自覚などです。今回は、運動に関する結果に限定しますが、次のような結果を得ることができました。

 1.施設やサービスの利用や実施状況は、日常生活での身体活動が102名(49.0%)、自宅でエクササイズを実施が81名(38.9%)の順でした。施設やサービスの非利用や未実施者における6ヶ月以内の利用や実施予定も同じ順位でした。

 2.就労後に受けたい有料プログラムに対しては、痛みやコリなどが軽くなる、カラダがすっきりすることへの期待感がありました。カラダがすっきりする(51名)では30〜34歳で有意に多く(18名)、この群のかなり受けたい健康に関するプログラム内容は、大きくゆったりした動きのエクササイズが上位を占めました。

 3.気になる自覚は、脚のむくみ(101名)、だるい・疲労感(98名)、生理痛・不順(64名)が有意に多い状況でした。特に、25~29歳については、脚のむくみとだるい・疲労感が35〜39歳に比較して有意に多く(各33名)、生理痛・不順が35〜39歳、40〜44歳に比較して有意に多い状況でした(25名)。

 就労女性を対象にした場合、運動プログラムは手軽で容易な内容を自分で実施することが望まれています。30〜34歳に限定されますが、身体の疲れを翌日に残さないプログラムへの期待があります。

 また、25〜29歳においては、脚のむくみ、だるい・疲労感、および生理痛・不順といった自覚が他の年代と比較して有意に多いことから、自覚を軽減させ、健康状態を維持する、そして、強いては就労を継続するためにも、運動プログラムを早期に実施することが望ましいといえます。

自分の体と心の状態を知ることが大切

 多忙であり、ライフイベントや月経周期に伴い体と心の状態が変化しやすい成人期においては、自分でできる健康のための運動が必要となります。

 しかしながら、運動をやろうと思っていても、自分がどんな状態であるのかがわからない、あるいは、忙しさを理由に、自分の体や心の状態を感じたり、向き合ったりする時間を取ることができずに、心身ともに悲鳴を上げてしまう時もあるでしょう。対応をしないままでいると、症状の悪化や慢性化が生じ、自分が望んでいる体と心の状態に随分かけ離れてしまうことになります。

 そこで私は、多忙だからこそ、成人期においては、日常的にご自身で体と心の状態を感じる機会を作り、可能な限り変化に早く気づいて頂けるような指導をしています。

 日常生活の基本動作(例:寝る、座る、立つ、歩く)の際に、目で観て(見て)感じる、手や指などで触れて感じる、体を動かしている際の状態を感じるといったことです。そして、左右や運動前後、あるいは過去と現在を「比べる」ことにより、習慣づけていく考え方です(下記図参照)。

 短時間で良いので、自分の体と心に関心を持ち続けるための意識づけとご理解ください。徐々にご自分の体と心の変化を主観的に、そして客観的にも感じるようになりながら、ご自分の体と心の状態を整えるきっかけになればと考えます。今日からできること、何か1つでいいので、ぜひ体と心の状態を感じてみてください。

 なお、自覚症状などに対する具体的な運動種目については、今後、日本健康運動研究所のサイトにて随時アップしていきます。簡単に行える自覚のチェック項目や運動種目についてわかりやすく紹介していきますので、ご覧頂けますと幸いです。

※1「勤労女性の運動・美容プログラムの実施状況に関する検討」, 前田 有美他, 体力科学, 60巻6号, pp.789. より一部抜粋〔2011年9月, 第66回日本体力医学会大会(山口)で発表〕

※関連サイト
 女性のライフステージと、体と心の健康運動(日本健康運動研究所) ▶
 「肩こり」:女性のライフステージと、体と心の健康運動(日本健康運動研究所) ▶
 日本健康運動研究所 ▶

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