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食品の「脂質」表示をもっと詳しく 日本動脈硬化学会
2013年02月07日
日本動脈硬化学会は、「栄養成分表示に関する声明」を発表した。食品の栄養表示では現状は、脂質の総量のみが義務づけられているが、動脈硬化性疾患の発症リスクを高める「コレステロール」、「飽和脂肪酸」、「トランス脂肪酸」といった脂質の表示を追加して表示するべきだと主張している。
脂質には、「コレステロール」、「一価不飽和脂肪酸」、「多価不飽和脂肪酸」、「トランス脂肪酸」など、さまざまな種類がある。同学会は、「脂質をひとまとめにして表示することには問題がある。過剰摂取が動脈硬化性疾患を増加させる脂質は、コレステロール、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸が挙げられる。これらの表示も行うべき」と指摘している。 これまでの研究で、飽和脂肪酸を減少させ多価不飽和脂肪酸を増加させると、血清コレステロール値が低下し、冠動脈疾患リスクが低下することが確かめられている。 また、飽和脂肪酸摂取を減らし、多価不飽和脂肪酸に置き換えた試験では、冠動脈疾患リスクが低下することが示された。魚油に多いn-3多価不飽和脂肪酸摂取は、冠動脈疾患のリスクを低下することも、多くの研究で確かめられている。 一方、脂質総量を減らしただけでは、動脈硬化性心疾患の危険性は低下しないことが、大規模な調査で確かめられているという。 食品の安全に関する国際的な基準であるコーデックス規格では、飽和脂肪酸の摂取量を低減させるよう求めており、北・南米諸国、オーストラリア、韓国、台湾、香港、マレーシアではすでに飽和脂肪酸の表示を義務付けている。 また、米国、カナダ、韓国、ウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイ、ブラジル、香港、台湾などに食品を輸出している日本の食品企業は会社の規模を問わず、すでに「脂質」の表示に加え、少なくとも「飽和脂肪酸」、「トランス脂肪酸」の表示を実行しているという。 「日本国内の消費者向けに販売される食品に関しても、(脂質の種類ごとの)表示を義務化することを切に要望する」と、同学会は主張している。
脂質の種類(厚生労働省資料より)
日本動脈硬化学会
- コレステロール
血液中のコレステロールが多いと心疾患のリスクを高め、コレステロールの摂取量が多いと血液中のコレステロールを増やしたり、心疾患のリスクを高めたりすることが報告されています。 - 飽和脂肪酸
飽和脂肪酸を摂りすぎると、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を増やす(心疾患のリスクを高める)ことが報告されています。 - 一価不飽和脂肪酸
摂取する飽和脂肪酸の一部を一価不飽和脂肪酸に置き換えると、LDL(悪玉)コレステロールを減らす(心疾患のリスクを下げる)ことが報告されています。 - 多価不飽和脂肪酸
摂取する飽和脂肪酸の一部を多価不飽和脂肪酸に置き換えると、心疾患のリスクを下げることが報告されています。n-3系の多価不飽和脂肪酸を多く含む魚を摂取すると、心疾患のリスクを下げることが報告されています。 - トランス脂肪酸
トランス脂肪酸は、動脈硬化などによる心疾患にかかるリスクを高めることが報告されています。LDL(悪玉)コレステロールを増やすだけでなくHDL(善玉)コレステロールを減らす(心疾患のリスクを高める)ことが報告されています。
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