ニュース

肥満を防ぐ鍵は日光? 肥満者ではビタミンDが不足

 肥満や過体重の人は、ビタミンDの不足に陥りやすいという研究が発表された。ビタミンDは、骨を丈夫に保つ上で欠かせない。ビタミンDの不足により、さまざまな健康障害が引き起こされている可能性があると、研究者は指摘している。

 「ビタミンDは食品から摂取する以外に、日光を浴びることで皮膚で合成される栄養素です。ビタミンDは、不足するとさまざまな健康上の問題を引き起こすことから注目されています」と、英国のユニヴァーシティ カレッジ ロンドンのエリーナ ヒッポネン氏は話す。

 研究は、北米や欧州で実施された21件の研究をメタ解析したもので、合計4万2,024人が対象となった。肥満指数(BMI)が10%上昇すると、血中のビタミンD濃度が平均4%低下するという結果になった。

 肥満とビタミンD不足の関連は、女性や高齢者でより顕著にみられた。骨粗鬆症は女性や高齢者で多いことから、ビタミンDの不足が影響しているのではないかと研究者は推測している。

 「体重を減らして肥満を解消したり、体脂肪を減らせば、ビタミンDの不足はかなり改善する可能性があります」と、ヒッポネン氏は述べている。

 ビタミンDは、カルシウムが小腸で吸収されるのを助ける働きをする。いったん腎臓を通過して排泄されたカルシウムを、腎臓で再吸収させる作用もある。これによって、食事で摂取したカルシウムは、効率よく体内にとり込まれる。

 ビタミンDには、カルシウムの吸収を助けるだけでなく、古い骨を壊して吸収し、新しい骨をつくることで骨の新陳代謝を高める働きもある。骨や腎臓、腸管などに働きかけるだけでなく、細胞の増殖抑制作用や分化誘導作用、免疫系に関わる作用もあるとみられている。

 「毎日の食事で不足しがちな人は、日常生活で意識して紫外線を浴びることも必要です。ビタミンDを合成するには、晴れた日なら10~15分、曇っていれば30分程度屋外で過ごすとよいとされています」(ヒッポネン氏)。

 冬の時期は日光を浴びる時間が減るので、食品からビタミンDを摂取するなどして対策すると効果的だという。欧米では、ビタミンDを添加した乳製品やサプリメントが普及している。

 ビタミンDの摂取量を増やせば体重を減らせるということはないにしても、ビタミンDの不足は肥満と関連のあるさまざまな健康上の弊害と結びつきやすい。「肥満対策の一環として、ビタミンDの不足を減らすアドバイスも加えるべきです」と、研究者は指摘している。

Obesity leads to vitamin D deficiency(ユニヴァーシティ カレッジ ロンドン 2013年2月6日)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「栄養」に関するニュース

2025年08月21日
歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
2025年07月28日
肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
2025年07月22日
【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
2025年07月18日
日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
2025年07月18日
「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
2025年07月14日
適度なアルコール摂取は健康的? 大量飲酒の習慣は悪影響をもたらす お酒との良い関係
2025年07月14日
【コーヒーと健康の最新情報】コーヒーを飲んでいる人はフレイルや死亡のリスクが低い 女性では健康的な老化につながる
2025年07月08日
「大人の食育」を強化 人生100年時代の食育には地域や職場との連携も必要-令和6年度「食育白書」より
2025年07月07日
日本の働く人のメンタルヘルス不調による経済的な損失は年間7.6兆円に 企業や行政による働く人への健康支援が必要
2025年07月07日
子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶