ニュース

ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」

 ストレスが続いて慢性化すると、心臓病や脳卒中などの発症リスクが高まることが知られているが、他人といっしょに食事をすることを習慣にするのは、ストレス解消に役立つ簡単な解決策になることが示された。

 ストレスを解消するために効果的な方法は他にもある。質の良い睡眠は、うつ病や不安に対する回復力を強めるのに役立つことも明らかになった。

他人といっしょに食事をすることはストレス解消に役立つ

 ストレスが続いて慢性化すると、心臓病や脳卒中などの発症リスクが高まることが知られているが、他人といっしょに食事をすることを習慣にするのは、ストレス解消に役立つ簡単な解決策になることが示された。

 これは、米国心臓学会(AHA)が発表したもの。同学会は、健康増進を啓発するキャンペーン「ヘルシー フォー グッド」を展開しており、その一環で米国の成人1,000人を対象に、2022年9月に調査を実施した。

 その結果、成人の3分の2(65%)が、ある程度のストレスを感じており、4分の1以上(27%)が、極度のストレスを感じていることが明らかになった。

 さらに、働いている人の10人に7人(69%)は、「休憩をとったり、同僚とともに食事をする時間がもっとあれば、職場でのストレスを軽減できるだろう」と回答した。

 調査では、84%と大多数の人は「愛する人たちともっと頻繁に食事を共有できたら良いと思う」と回答。また、家族のいるほとんどの人は「家族と食事をするのを習慣とすることが、家族の絆を深める」と答えた。

 食事を共有することで、67%の人は「他人とのつながりの大切さを思い出す」と答え、54%は「ペースを落として、休憩をとりながら活動をすることの大切さが分かる」と答えた。

つながりを強めることが多くの利益をもたらす

 「友人・家族・同僚・隣人とのつながりを強めることは、多くの利益をもたらし、ストレス解消にも役立つことが示されました」と、ジョンズ ホプキンス大学の予防心臓病学部のエリン ミチョス氏は言う。

 「ストレスが続いて慢性化すると、心臓病や脳卒中の生涯リスクが上昇する可能性があります。できるだけ早く、ストレスを軽減し、管理する方法をみつけることが重要です」としている。

 調査では59%の人は、「他の人といっしょに食事をする習慣があると、より健康的な食品を選択する可能性が高まる」と回答した。

 その一方で、全体の半分の時間は、1人で食事をしていることも報告した。「友人や家族といっしょに食事をするために、スケジュールを調整するのが難しい」と答えた人も多かった。

 「多くの人にとって、食事の時間に合わせて集まるのは、思っているほど簡単なことではありません。しかし、他の健康的な生活スタイルと同じように、小さなことからはじめて、コツコツと築き上げていくことが大切です」と、ミチョス氏は指摘する。

 できれば週に1回、それが無理なら月に1回でも良いので、友人・家族・同僚が集まって、いっしょに食事をすることを目標にすることを提案している。インターネットを使い、リモートの食事会を開催する方法もある。

 「他の人と食事をともにすることは、とくに子供たちにとって、ストレスを軽減し、自尊心を高め、社会とのつながりを改善する素晴らしい方法になります」としている。

睡眠を改善すると心の回復力も高まる
コロナ禍でメンタルヘルス不調の人が増加

 ストレスを解消するために効果的な方法は他にもある。質の良い睡眠は、うつ病や不安に対する回復力を強めるのに役立つことが、英国のヨーク大学で明らかになった。

 慢性的なストレスは、うつ病や不安症など、多くのメンタルヘルスの障害をもたらす原因になる。しかし、質の良い睡眠をとれていると、ネガティブな経験やストレスの多い場面に直面したときに、ポジティブな面にも目を向けられるようになり、メンタルヘルスが悪化するのを防げるようになるという。

 研究グループは、新型コロナのパンデミック中の2020年に、うつ病のリスクの高い人551人と、不安症のリスクの高い人590人を対象に調査を実施した。

 その結果、質の良い睡眠をとれている人は、慢性的にストレスに直面しても、長期にわたり健康を維持し、うつ病や不安症の症状が軽減できている傾向が示された。

 「新型コロナのパンデミック中は、世界中の人々が長期にわたりストレスにさらされました。しかし、質の良い睡眠をとれている人は、うつ病と不安症の両方の症状が少ないことに関連していることが分かりました」と、同大学心理学部のスコット ケアニー氏は言う。

 「睡眠は、ストレスやメンタルヘルスの管理で重要な役割を果たしています。睡眠を毎晩きちんととれていれば、ストレスの多い場面に直面しても、実行機能を維持しやすくなります。ご自分の置かれた状況に適応し、感情をコントロールしやすくなります」。

 「ご自分が強い慢性的なストレスにさらされているという自覚のある人は、睡眠を見直して、その質を高める工夫をすることが、前向きな戦略となります」としている。

New survey: 91% of parents say their family is less stressed when they eat together (米国心臓学会 2022年10月10日)
Healthy Living (米国心臓学会)
High-quality sleep promotes resilience to depression and anxiety (ヨーク大学 2023年7月13日)
The influence of emotion regulation strategies and sleep quality on depression and anxiety (Cortex 2023年9月)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月25日
ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
2025年02月25日
緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月17日
肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
2025年02月17日
中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
2025年02月17日
高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶