ニュース
スマホやゲーム機で遊ぶ時間が長いと睡眠障害に 子供の言語力や認知力の発達が低下 食習慣も大切
2023年08月15日
就学前の子供が、スマートフォン・タブレット・パソコン・テレビ・ゲーム機などのメディアを見ている「スクリーンタイム」が長いと、睡眠の質の低下や、言語力や認知力の発達の低下につながることが明らかになった。
小児から思春期の子供の健康的な食習慣は、質の良い睡眠と密接に関連しているという調査結果も発表された。
「子供や子供のいるご家庭に対しても、食事や睡眠の質を高めるために、専門職によるカウンセリングや保健指導が必要です」と、研究者は指摘している。
子供のスクリーンタイムが長くなると発育に障害が
就学前の子供が、スマートフォン・タブレット・パソコン・テレビ・ゲーム機などのメディアを見ている「スクリーンタイム」が長いと、睡眠の質の低下や、言語力や認知力の発達の低下につながるおそれがあるという調査結果を、英国のニューカッスル大学が発表した。 世界保健機関(WHO)とオーストラリア保健省は、2歳未満の子供のスクリーンタイムが長くならないようにし、2~4歳の子供では1時間を超えないようするよう推奨している。しかし、オーストラリアの未就学児の4分の3は、この推奨値を超えて、テレビやゲームなどのメディアを見ているという。 「過去10年間で、スマートフォンや動画配信サービス、ゲーム機など、さまざまな新しいメディアが登場し、子供たちがそうしたデバイスにアクセスすることが増えています」と、同大学心理学部のエマ アクセルソン氏はいう。 「調査によると、オーストラリアではほぼすべての世帯がパソコン・タブレット・スマートフォン・テレビを所有しており、75%はゲーム機を所有しています。4歳の子供も多くは、自分のデバイスを所有しています」。 「子供が1日に起きて活動している時間は限られています。スクリーンタイムが長くなると、発育の健康のために必要な有益な活動に費やす時間が少なくなる可能性があります」としている。スクリーンタイムの長い子供は、睡眠の時間が短く質も低下
研究グループは今回、オーストラリアの3歳~5歳の子供とその保護者を対象に、子供のスクリーンタイムの長さに関するオンライン調査を実施し、子供の睡眠覚醒スケール(CSWS)を使い、子供の睡眠時間と睡眠の質との関連を調べた。 子供の睡眠を「どれだけ早くに眠りについているか」「夜中にどれくらいの頻度で目が覚めるか」などのさまざまな観点で記録。さらに、オンラインで視聴しているコンテンツは「リラックス」「エンターテイメント」「教育」の3種類に分類した。 その結果、スクリーンタイムの長い子供は、睡眠時間が短く、睡眠の質も低下しやすいことが分かった。また、スクリーンタイムが長い子供ほど、コミュニケーション能力が低下し、問題解決力や注意力が低下する傾向がみられた。 子供の74%は週に4~5日以上テレビを視聴しており、76%はタブレットを2~3日以上使用、71%はスマートフォンを2~3日以上使用していた。好んで見ているコンテンツは、「リラックス」「教育」よりも「エンターテイメント」が多かった。 なお、子供の発育については、「コミュニケーション」「身体活動」「問題解決」「個人形成」「社会活動」などのスコアで判定した。子供には質の高い十分な睡眠が必要 神経・学習・記憶に影響
オーストラリア政府は、就学前の年齢の子供に、1晩に10時間~13時間の睡眠をとることを推奨しているが、スクリーンタイムの長い子供は、睡眠時間がそれよりも短い傾向が示された。 一方、スクリーンタイムが短いと、日中に活動的に過ごす時間が増え、座ったまま過ごす時間が減り、これが睡眠の質の向上につながっていると考えられる。 「質の高い十分な睡眠は、日常生活での能力の向上に貢献します。子供の神経・学習・記憶の発達にとって、睡眠は大変に重要です」と、アクセルソン氏は指摘する。 また、子供たちがエンターテインメントのコンテンツに費やしている時間は1日に2時間近くであり、推奨を超えていた。一方、リラックスや教育のコンテンツを見ていた時間は1日に1時間未満だった。 「子供たちのほとんどが、エンターテイメントに関するコンテンツに熱中しやすいことが明らかになりました。しかし、リラックスして落ち着けるものや、教育的なプログラムを扱ったコンテンツにはあまり関心を示さないことも分かりました」と、アクセルソン氏はいう。 「エンターテインメントのコンテンツに費やす時間が長くなるほど、睡眠時間が短くなり、睡眠の質も低下することが懸念されます」としている。 研究グループは、子供のスクリーンタイムを短縮するために、公衆衛生上の介入を行い、保育現場や家庭でのデジタルデバイスの使用についての明確なガイドラインを策定する必要性について指摘している。子供の食習慣も睡眠障害に密接に関連
42ヵ国の20万人超を調査
42ヵ国の20万人超を調査
Preschoolers' engagement with screen content and associations with sleep and cognitive development (Acta Psychologica 2022年10月)
Eating habits matter for sleep difficulties in children and adolescents: A cross-sectional study (Children and Health 2023年6月12日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「特定保健指導」に関するニュース
- 2024年04月30日
- タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月23日
- 生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
- 2024年04月22日
- 運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
- 2024年04月22日
- 職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
- 2024年04月22日
- 【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月16日
- 塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
- 2024年04月16日
- 座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
- 2024年04月15日
- 血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要