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野菜と果物のどちらを食べれば良いのか? 英米の研究で判明
2014年08月15日

「野菜と果物を毎日食べると健康に良い」と理解していても、「1日にどれだけ食べれば十分なのか」と感じる人は少なくない。また、「野菜と果物を比べると、どちらが良いのか?」という疑問を抱く人もいるだろう。最近の研究では、野菜と果物をとりまぜて「1日5皿以上」を食べると良いことが分かっている。
野菜と果物を食べると死亡リスクは最大で40%減少
ロンドン大学公衆衛生・疫学部のオイノーラ オイボード氏らは、2001~2008年までの英国健康・栄養調査の結果をもとに、6万5,226人の食習慣を調べた。
その結果、野菜や果物を多く食べている人は、全ての年齢層で、死亡率が低いことが判明した。
全死因による死亡率は、野菜と果物を1皿(ポーション)以下しか食べていない人に比べ、1~3皿食べている人では14%、3~5皿の人では29%、5~7皿の人では42%低下した。
野菜と果物のどちらが効果的か?
一方で、「果物は甘く、糖分が多く含まれており、血糖値を上げるので糖尿病にはよくない」というイメージがある。
ロンドン大学の調査でも、1日に摂取する野菜の皿の数が増えるごとに、死亡率は16%減少するが、それに比べ果物の効果は低いという結果が出た。新鮮な果物を摂取した場合の死亡率の減少は4%にとどまっていた。
「野菜の方が、より健康増進の効果は高いことが判明しました。だからといって、果物を食べても意味がないというわけではありません。いろいろ取り混ぜて食べるのが理想です」と、オイボード氏は述べている。
果物にはビタミンや食物繊維などの栄養素が多く含まれている。1日1~2皿(80~160kcal)を目安に食生活に上手に取り入れると良いという。
1日5皿食べれば死亡リスクを減らせる
ハーバード公衆衛生大学院も同様の研究を行っている。フランク フー教授ら研究チームは、米国、アジア、欧州で行われた16件の調査研究から、全83万3,234人のデータを解析した。このうち5万6,423人が心疾患やがんなどで死亡した。
野菜や果物の摂取量と死亡リスクの関係を調べたところ、野菜や果物を食べる量が1皿増えるごとに、死亡リスクは平均で5%ずつ減っていった。
フー教授らの研究では、野菜や果物を「1日5皿食べれば、効果を期待できる」という結果を導き出した。
現状では、英国では野菜と果物を十分に食べている人は4人に1人に過ぎないという。米国でも、成人では平均して野菜の推奨量の6割、果物の5割しか摂取できていないという。
野菜を多く食べるための工夫

果物は糖分が多いので注意が必要
果物は特に朝に食べると良い。朝はエネルギーが枯渇しており、糖分が早くエネルギー源になり、一緒にビタミンもとれるという利点がある。
ただし、夜遅い時間に食べると、エネルギーが過剰となり、中性脂肪が増えすぎてしまう。また、缶詰やドライフルーツは、生に比べビタミンが少なく、糖分も多いので注意が必要だ。
種類や熟成の程度によっても異なるが、果物の主な糖質はブドウ糖、果糖、ショ糖などだ。果糖は主に肝臓で代謝され、インスリンを必要とせず速く代謝される。余剰のエネルギーは中性脂肪になり、悪玉のLDLコレステロールなどを増加させるおそれがある。
一方で、果物には、ビタミンA・C・Eが含まれていたり、ポリフェノールやカロテンなどが含まれており、抗酸化作用が期待できる。また、果物に含まれるカリウムには、ナトリウム(塩分)の排泄を促す作用がある。果物がんを予防するという研究報告も多い。
UCL study finds new evidence linking fruit and vegetable consumption with lower mortality(ユニヴァーシティ カレッジ ロンドン 2014年4月1日)Five daily servings of fruits and veggies enough for health benefit(ハーバード公衆衛生大学院 2014年7月30日)
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