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閉経や外科的閉経は女性の就労に影響を及ぼす

 45歳未満での自然閉経または外科的閉経が女性の就労状況に及ぼす影響の実態が報告された。これらの閉経は離職などに関連している可能性があるという。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のDarina Peycheva氏らの研究によるもので、詳細は「Menopause」に10月7日掲載された。

 閉経は多くの女性の健康状態に影響を及ぼすが、若年での自然閉経(早発閉経)では更年期症状が強く現れやすいことが報告されている。また、疾患治療のための外科的閉経では、卵巣機能が突然停止するため、やはり強い症状が現れやすい。早発閉経や外科的閉経による健康状態の変化が就労にも影響を及ぼす可能性があるが、実態は明らかでない。Peycheva氏らはこの点について、英国で行われている加齢に関する縦断研究(ELSA)のデータを用いた解析を行った。

 研究ではまずELSA参加者から、自然閉経または外科的閉経(閉経前両側卵巣摘出術、子宮摘出術)を60歳未満で受けていて、かつ閉経以前に就労していた1,386人を抽出。この集団の22.3%が45歳未満で閉経していて(早発閉経が10.3%、外科的閉経が12.0%)、また全体として25.5%が最終月経前に外科的閉経を迎えていた。

 次に、閉経前後の10年間の就労状況に基づき、45歳未満で閉経していた群とその他の群をそれぞれ、以下の三つのクラスターに分類した。クラスター1は、フルタイム勤務の継続、または他の就労形態からフルタイム勤務へ移行した群(39.6%)、クラスター2は、パートタイム勤務か自営業の継続、または他の就労形態からパートタイム勤務か自営業へ移行した群(44.5%)、クラスター3は就労をやめた離職群(15.9%)。

 続いて、交絡因子(年齢、初経年齢、婚姻状況、居住環境、出産歴、教育歴、幼少期の健康状態・逆境体験、観察開始時の疾患の有無など)を調整し、クラスター1を基準とするクラスター2やクラスター3の該当者率を相対リスク(RR)として算出。その上で、各群の相対リスク比(RRR)を割り出すという手法によって、閉経の時期やタイプによる就労への影響を検討した。

 解析の結果、45歳未満の早発閉経群では45歳以降に自然閉経した群に比べて、クラスター2の割合が有意に少なく(RRR0.70〔95%信頼区間0.51~0.97〕)、クラスター3の割合には有意差がなかった(RRR0.95〔同0.62~1.41〕)。また、外科的閉経群は自然閉経群と比較して、クラスター3が有意に多いことが明らかになった(RRR1.45〔1.01~2.32〕)。

 他方、ホルモン療法を受けることによって、早発閉経と外科的閉経の双方において、離職が減る傾向が認められた。感度分析の結果、これらの女性に対するホルモン療法による離職リスク抑制の潜在的効果は、卵巣を温存する子宮摘出術を受けた女性のみに当てはまることが示唆された。

 米国に拠点を置く更年期学会(The Menopause Society〔旧:北米更年期学会〕)のメディカルディレクターであるStephanie Faubion氏は、「報告された本研究の結果により、早期の自然閉経と外科的閉経が女性の就労状況と関連していることが明らかにされ、さらに閉経後のホルモン療法が就労継続の助けとなる可能性が示唆された。これらは、更年期関連症状が女性の就労に悪影響を及ぼし、そして、的を絞った介入によりその影響を最小限に抑制し得るという考え方を支持する新たなエビデンスである」と述べている。

[HealthDay News 2025年10月10日]

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