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「生きる目的」や「生きがい」が健康寿命を延ばす 幸福感を促す介入が必要

 人生で目的意識や生きがいをもつ人は寿命と健康寿命が長い傾向があることが、米国と日本で行われた調査で明らかになった。
人生の目的意識をもつ人は死亡リスクや心血管疾患リスクが低い
 人生でより高い目的意識をもっている人々は、死亡リスクや心血管疾患の発症リスクが低く、健康寿命が長いことが、ニューヨーク州のマウントサイナイ医科大学の研究チームの調査で明らかになった。

 「何をもって人生の目的とするのかについては意見が分かれますが、大切なことは人生を生きる価値のあるものと感じている人ほど、寿命や健康寿命が長い傾向があることが明らかになったことです」と、マウントサイナイ医科大学の心臓病専門医のランディ コーエン氏は言う。

 研究チームは、2015年6月までに米国と日本で実施された、人生の目的と死亡率や心血管疾患発症リスクなどの関係を7年以上追跡調査した10件の研究をメタ解析した。平均年齢67歳の13万6,265人の男女が対象となった。

 米国の研究では人生での目的や意義、または「他の人の役に立つこと」を評価し、日本の研究では「生きがい」(ikigai)をもっているかを評価した。生きがいは米国では「生きている価値がある人生」と解釈されている。

 追跡期間中に1万4,500人以上の参加者が何らかの原因で死亡し、4,000人以上が心筋梗塞などの心血管イベントや脳卒中などを発症した。解析した結果、人生で高い目的意識をもっている人は、そうでない人に比べ死亡率が17%減少し、心血管イベントが17%減少することが明らかになった。こうした傾向は、人生での目的の評価法、心血管疾患の既往、国などを考慮したサブグループの分析でも有意だった。

人生をポジティブにとらえている人は健康で長生きする
 「人生をポジティブにとらえている人は健康で長生きする傾向があることが明らかになりました。ポジティブな心理社会的要因が、健康な生理学的機能を促し、より長い寿命につながることは過去の研究でも確かめられています」と、コーエン氏は言う。

 英国のラッシュ大学医療センターが昨年発表した「ラッシュ記憶・老化プロジェクト」の調査では、人生に前向きに取り組んでいるという意識をもつ高齢者の脳では、そうでない高齢者に比べ、脳梗塞が半分に減ることが明らかになった。

 脳梗塞は、脳の血管が詰まる病気だ。血管が詰まるとその先に血液が流れなくなり、酸素や栄養が不足する。この状態が長く続くと、脳細胞が壊死(体の組織や細胞が局部的に死ぬこと)し、手足のマヒや言語障害、認知症などさまざまな障害が起こってくる。

 「高齢者にとってメンタルヘルスは重要です。今回の研究では、"人生に目的をもっている"といった心理的要因が、高齢者の脳の健康に大きな影響力をもつことが確かめられました」と研究者は述べている。

 生きがいをもっている人は、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが低く、ストレスの負の影響に対して脳を保護しているという研究も報告されている。ストレスに対する身体反応などを生理学的に解明したり、より健康的な人生スタイルなどを行動学的に解明すれば、なぜ人生での目的が健康を促進し病気を防ぐのかを説明できる可能性があるという。

 「人生で強い目的意識をもつことは重要な側面であり、活力と回復力を強めると、長い間言われ続けてきました。しかし、人生において目的意識が高いことが医学的にどのような影響をもたらすかが解明されはじめたのは最近のことです」と、マウントサイナイ医科大学のアラン ロザンスキ氏は言う。

 「単に健康的な生活習慣を指導するだけではなく、高齢者が人生の目的や生きがいを得られるように、健康と幸福感を促すための新たな介入が有効である可能性があります。今回の発見は重要です」とコメントしている。

'Purpose in Life' Linked to Lower Mortality and Cardiovascular Risk(Wolters Kluwer Health 2015年12月3日)
Purpose in Life and Its Relationship to All-Cause Mortality and Cardiovascular Events: A Meta-Analysis(Psychosomatic Medicine: Journal of Biobehavioral Medicine 2015年12月1日)

[Terahata]

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