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「食べる順番」ダイエットで食後高血糖を防止 米より前に野菜・魚・肉
2016年01月14日

「食べる順番」を考えて食事をすると、食後血糖値の上昇を抑えられることが、関西電力医学研究所などのグループの研究で明らかになった。
食後高血糖を抑える「食べる順番」ダイエット
食事の「食べる順番」を調整して、米飯の前に野菜や、魚・肉料理をとると、胃の運動がゆるやかになり、食後血糖値の上昇が改善することが、関西電力医学研究所のグループの研究で明らかになった。
血糖コントロールを改善し、合併症を予防するために、食後の高血糖を抑えることが重要となる。そのため近年注目を集めているのが「食べる順番」ダイエットだ。
米飯の前に野菜を食べると、野菜に含まれる食物繊維が小腸からの糖や脂質の吸収を抑制し、食後の血糖上昇を抑えるために効果的だ。
研究グループは、最初に野菜を食べて、その後に魚料理や肉料理をとり、最後に米飯や果物を食べれば、食後の血糖上昇をより効率的に抑制できると考えた。
また、肉料理の前に野菜を食べることで、肉料理に含まれる脂質の吸収も抑制されるため、長期には体重の適正化も期待できる。
研究グループは、タンパク質や脂質を炭水化物の前に摂取すると、GLP-1やGIPなどのインクレチンの分泌が促進されることを突き止めており、今回の研究で「食べる順番」ダイエットの科学的根拠を示した。
米飯の前に魚・肉料理を食べると食後高血糖を抑えられる
研究グループは、米飯の前に魚・肉料理を食べる順番が、食後血糖値やインクレチン分泌にどういった影響を及ぼすのかを検討するランダム化比較のクロスオーバー試験を行った。
インクレチンは、食事をして糖などが吸収されると小腸から出てくるホルモンで、膵臓のβ細胞に作用してインスリンの分泌を増やす。
インクレチンにはGLP-1とGIPというホルモンがあり、それぞれの働きでβ細胞に作用する。近年登場したインクレチン関連薬は、このインクレチンのなかでもGLP-1の機序に着目して作られた治療薬。
GLP-1は、血糖を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑えたり、胃の動きをゆるやかにすることで食後の血糖上昇を抑制する。
研究に参加したのは、30~75歳でHbA1c値が9.0%以下、BMI(体格指数)が35以下の2型糖尿病患者12人と健康なボランティア10人。
参加者に、(1)魚料理(サバの水煮)の前に米飯を食べる、(2)米飯の前に魚料理を食べる、(3)米飯の前に肉料理(牛肉の網焼き)を食べる――と異なる順番で3日間、朝食を食べてもらい、食前および食後4時間の血糖、インスリン、C-ペプチド、グルカゴン、インクレチンの値を測定し、胃排泄能などを検討した。
この結果、2型糖尿病患者、健康人ともに、米飯の前に魚・肉料理を摂取すると、米飯を先に食べた場合に比べて食後4時間の血糖値の上昇が抑えられ、血糖変動が平坦化することが明らかになった。
また、魚や肉料理を米飯より先に摂取するとGLP-1分泌が亢進され、胃の働きがゆるやかになり、胃排泄時間が2倍以上延長することも判明した。

和食の創意工夫が食後高血糖を抑制する
研究グループによると、こうした「食べる順番」ダイエットは、ユネスコ無形文化遺産に登録された和食の代表といえる会席料理にも通じるという。
「食物繊維の供給源としての先付け(前菜)に続き、タンパク質や脂質の供給源として、向付(刺身)、鉢魚(焼き物)など主に魚料理がふるまわれ、最後に米飯や果物が供される会席は、食後血糖の上昇を抑制するための古来からの創意工夫といえる」と述べている。
また、今回の研究では、GLP-1の分泌促進作用や胃排出時間の延長効果は、サバの水煮と牛肉の網焼きで同等だったが、牛肉の網焼きを米飯の前に摂取すると、GIP分泌が強く促されることも明らかになった。
サバの水煮と牛肉の網焼きは、エネルギー量と栄養素比率、アミノ酸組成は同等だが、脂質組成が大きく異なる。サバの水煮は、EPAやDHAなど多価不飽和脂肪酸を多く含む一方、牛肉の網焼きは飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸が多くなる。
「飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸は、GIPの分泌を促進することが知られているが、GIPがもつ脂肪を蓄積する作用と相まって長期には肥満が懸念される。したがって、こうした"食べる順番"に配慮した食事療法では、脂質の種類や量の影響についても考える必要がある」と、研究グループは述べている。
研究は、関西メディカルネット、関西電力医学研究所の清野裕所長、矢部大介副所長、同糖尿病研究センターの桑田仁司部長らの研究グループによるもの。欧州糖尿病学会が発行する医学誌「Diabetologia」オンライン版に発表された。
関西電力医学研究所関西メディカルネット
Meal sequence and glucose excursion, gastric emptying and incretin secretion in type 2 diabetes: a randomised, controlled crossover, exploratory trial(Diabetologia 2015年12月24日)
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