ニュース

がんの遺伝子情報にもとづく「個別化治療」の実用化へ向けて前進

 国立がん研究センターは、個々のがん患者の遺伝子異常にもとづく「個別化治療」を実現するために、新たに「遺伝子診療部門」を開設した。
 昨年12月に、わずか5ミリリットルの血液で、がんに関係する60種類の遺伝子異常をまとめて調べることができる新たな手法を開発したと発表した。
 がんのゲノム診療が進めば、がんを発症しやすい人を事前に発見し予防したり、発症した場合より効果的な治療を行えるようになると期待されている。
がんの「ゲノム解析」を日常診療に導入
 国立がん研究センターは、同センターの中央病院に「遺伝子診療部門」を開設し、がん診療に網羅的な遺伝子診断にもとづく診療を本格的に導入する準備を整えたと発表した。

 「遺伝子診療」は大きく分けて、遺伝的にがんになりやすい人への「個別化予防」と、個々のがん患者の遺伝子異常にもとづく「個別化治療」がある。

 これまでも同病院では、「個別化予防」を遺伝相談外来で行ってきたが、もう一方の「個別化治療」については、検査の品質管理、遺伝子解析情報の臨床的意義付け、患者への伝達方法、情報の取り扱いなどさまざまな課題が残されており、本格的な日常診療への導入には至っていなかった。

 一方、遺伝子解析技術が進歩し、治療標的となるがんの遺伝子異常も次々と明らかにされており、「個別化治療」を日常診療に導入することが課題となっている。

 そこで同病院は、個々の患者の治療選択における網羅的遺伝子検査の有用性を検証する目的の研究「TOP-GEAR(トップ-ギア)プロジェクト」を2013年に開始し、2015年には十分な精度管理が担保された網羅的遺伝子検査室を院内に設置した。

 「遺伝子診療部門」は、中央病院や研究所など各部門のゲノム診療や研究に関わるメンバーで構成され、専門家チームによる最終診断、解析結果レポートの作成、診療コンサルテーション、遺伝相談外来併診など、中央病院の全診療科をサポートする。

 ゲノムとは生物のもつ遺伝子の全体を指す言葉。生物の細胞内にあるDNAがその実体で、遺伝子や遺伝子の発現を制御する情報なども含まれている。

 同部門の開設により、「ゲノム診療を日常診療に本格導入する体制が整った。日本のがん診療の新たな1ページが開かれた」としている。

わずかな血液で、がん遺伝子60種類を検出
 国立がん研究センターは昨年12月に、わずか5ミリリットルの血液で、がんに関係する60種類の遺伝子異常をまとめて調べることができる新たな手法を開発したと発表した。

 従来の検査では、がん組織を外科的な手法で切除したり、内視鏡などで採取する必要があったが、患者の体に負担をかけずに、何度でも繰り返し検査ができるとして臨床現場への応用に期待が寄せられている。

 がんの発症にかかわる遺伝子異常は、肺がんや乳がんなどの種類を超えて共通するものがあり、血液中に含まれていることが多い。

 膵臓がんで死亡する人の数は年間に約3万人で、5年相対生存率も7%と極めて低い難治性のがんだ。

 研究では、膵臓がん患者の95%以上で、がんの発症初期に遺伝子の突然変異が起こることに着目し、患者の血液中にがん組織から出た微量のDNAが現れると想定して、48人の患者の血液のなかの60種類の遺伝子を解析した。

 研究では、新たに開発した次世代シークエンサーにより細胞の遺伝子の塩基配列を高速・高精度に解読し、網羅的なゲノム解析を行った。

 その結果、48人分の血液の約3割にあたる14人分で遺伝子の変異を検出。わずか5ミリリットルの血液からでも、60種類の遺伝子異常を検出できることが確認された。

 同センターでは「研究で用いた解析方法は、膵臓がんに限らず、乳がんや肺がんなどあらゆるがんで可能であり、また、生検が困難な患者や、薬剤耐性獲得変異など経時的な複数回の検査が必要な場合にも有用だ。より患者負担が少ない網羅的ゲノム解析手法として臨床応用が期待される」と述べている。

国立がん研究センター
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2017年08月18日
マシンガーZとのコラボで海外渡航者に麻しん感染予防を啓発
2017年08月16日
賞金3万円!「血糖値アップ・ダウン コンテスト」募集スタート!
2017年08月15日
★参加者募集中★第2回産業保健PC テーマ「保健指導の基本姿勢」
2017年08月10日
8割を超える事業場でストレスチェック制度を実施~厚労省調査
2017年08月09日
健康保険加入者の37%が肥満 脂質や血圧など複数のリスク 健保連調査
2017年08月09日
がん患者の家族が経験する葛藤の実態 がん患者支援に向けた調査結果
2017年08月09日
週3~4回の「飲酒」が糖尿病リスクを低下 アルコールは糖尿病に良い?
2017年08月09日
受動喫煙により大動脈疾患リスクが2倍超に増加 家庭外の受動喫煙は深刻
2017年08月09日
「味噌」に血圧の上昇を抑える効果 日本型の食事スタイルを再評価
2017年08月09日
ミカンのポリフェノールに緑内障の改善作用 酸化ストレスから網膜を保護

最新ニュース

2017年08月18日
マシンガーZとのコラボで海外渡航者に麻しん感染予防を啓発
2017年08月16日
賞金3万円!「血糖値アップ・ダウン コンテスト」募集スタート!
2017年08月15日
★参加者募集中★第2回産業保健PC テーマ「保健指導の基本姿勢」
2017年08月10日
8割を超える事業場でストレスチェック制度を実施~厚労省調査
2017年08月10日
【健やか21】冊子「あなたと赤ちゃんの健康」無料配布  申込受付中
2017年08月09日
健康保険加入者の37%が肥満 脂質や血圧など複数のリスク 健保連調査
2017年08月09日
がん患者の家族が経験する葛藤の実態 がん患者支援に向けた調査結果
2017年08月09日
週3~4回の「飲酒」が糖尿病リスクを低下 アルコールは糖尿病に良い?
2017年08月09日
「味噌」に血圧の上昇を抑える効果 日本型の食事スタイルを再評価
2017年08月09日
受動喫煙により大動脈疾患リスクが2倍超に増加 家庭外の受動喫煙は深刻
2017年08月09日
ミカンのポリフェノールに緑内障の改善作用 酸化ストレスから網膜を保護
2017年08月04日
【健診・予防3分間ラーニング】サンプル動画3タイトル公開中~
2017年08月03日
【健やか21】渡航者向けの「麻しん」の予防啓発活動
2017年08月03日
2015年度の特定健診の実施率は50.1% 特定保健指導は17.5%で伸び悩み
2017年08月03日
【連載更新】課題解決のための取組み「ゆりかごタクシー」「ベビー防災」
2017年08月02日
「ウォーキングの格差」が世界規模で拡大 スマホで世界111ヵ国を調査
2017年08月02日
適量のアルコールでも脳には悪影響が 海馬の萎縮リスクが3倍以上に
2017年08月02日
糖尿病の医療費の節約志向が高まるアメリカ 5人に1人が受診を回避
2017年08月02日
犬の散歩は運動になるか? 運動不足を解消するのに効果的である可能性
2017年08月02日
日本の脳卒中の発症者は年間29万人 半分以上が死亡や介護が必要な状態に
2017年08月01日
「熱中症を防ぐ!」へるすあっぷ21 8月号
2017年07月28日
【健やか21】企業主導型保育事業(内閣府)/健康寿命をのばそう!アワード
2017年07月27日
【連載更新】 ワンコイン健診の挑戦(ケアプロ株式会社)
2017年07月26日
20歳から体重5kg増加は健康リスク 体重を増やさない10の方法
2017年07月26日
高齢者対象の「高血圧診療ガイドライン」 高齢者の降圧には注意が必要
2017年07月26日
がんサバイバーたちの「生きる力」を表現 がんと生きる、わたしの物語
2017年07月26日
糖尿病の最新全国ランキングを発表 ワーストは青森県 ベストは愛知県
2017年07月26日
都道府県の健康格差が拡大 寿命で3.1歳、健康寿命で2.7年の格差
2017年07月26日
日本人3,554人の全ゲノム情報を解読に成功 日本人のゲノム医療に期待
2017年07月26日
日常診療におけるバイオマーカーとしての尿中L-FABPの有用性と可能性
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 6,325 人(2017年08月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶