ニュース
【新型コロナ】長引く後遺症が社会問題に 他の疾患が隠れている例も 岡山大学が調査
2024年04月08日

コロナ後遺症外来を受診した患者のなかに、2型糖尿病などの代謝性疾患や呼吸器疾患など、新型コロナ以外の疾患が一定の割合で隠れていることが、岡山大学の調査で示された。
コロナ後遺症は、世界的な社会問題となっており、日本でも診療できる医療機関は増えている。しかし、コロナ感染後も長引く症状のすべてが後遺症であるとは限らず、とくに高齢者ほど他の疾患が隠れているおそれがあるとしている。
「コロナ感染後2~3ヵ月たっても、倦怠感をはじめ色々な症状が続く場合は、かかりつけ医に相談することをお勧めします。コロナ禍での健診控えもあり、きちんと検査をしておくことも大切です」と、研究者は述べている。
長引く新型コロナ後遺症が社会問題に
新型コロナは、日本でも2023年7月時点で3,300万人以上が感染しており、かぜ症状や肺炎を起こすだけでなく、回復後も倦怠感などの症状が長引くことがあり、コロナ後遺症と言われている。 コロナ後遺症により、仕事を続けられない人もいて、社会的な問題となっており、コロナ後遺症の病態解明や治療法の開発が望まれている。 コロナ後遺症外来(コロナ・アフターケア外来)を受診した患者のなかに、2型糖尿病などの代謝性疾患や呼吸器疾患など、新型コロナ以外の内科疾患が一定の割合で隠れていることが、岡山大学の調査で示された。 後遺症の症状に関連する疾患がみつかる例は67%に上り、その他は後遺症症状と関連のない疾患も発見された。 同外来では、これまでに900人を超える後遺症患者を診療している。研究グループは今回、2021年2月の開設から2023年6月までのあいだに、受診患者731人のうち、6.8%にあたる50人で、何らかの医学的介入や経過観察を必要とする疾患(52疾患)を発見した。 さらに、全体の2.2%にあたる16人では、コロナ後遺症よりも治療が優先される疾患がみつかった。なんらかの疾患がみつかる割合は、高齢になるほど上昇し、60歳以上では15.7%に及んだ。 疾患の内訳は、2型糖尿病などの内分泌代謝疾患や血液疾患、呼吸器疾患が最多で、それぞれ8人の患者でみつかった。また、52疾患のうち67%にあたる35疾患は、コロナ感染後の長引く症状と関連があり、一方、症状との関連がもっとも乏しかったのは内分泌代謝疾患だった。
新型コロナ後遺症の症状に関連する疾患がみつかる例は67%

出典:岡山大学、2024年
感染後の長引く症状のすべてがコロナ後遺症とは限らない
「コロナ感染後の長引く症状のすべてがコロナ後遺症とは限らず、コロナ後遺症と思われている方のなかには、実は他の疾患による症状が重なっている可能性があります。コロナ後遺症の診療では、他の疾患が隠れていないかきちんと調べることが大切であり、隠れている他の疾患を診断・治療することで症状が改善する可能性があります」と、研究者は述べている。 研究は、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)高梁総合診療医学講座の中野靖浩氏と、学術研究院医歯薬学域(医)総合内科学の大塚文男教授らのグループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載された。 「コロナ感染後2~3ヵ月たっても、倦怠感をはじめ色々な症状が続く場合は、かかりつけ医に相談することをお勧めします。コロナ禍での健診控えもあり、きちんと検査をしておくことも大切です」と、大塚教授は述べている。 「当院のコロナ・アフターケア外来は、総合内科・総合診療科の医師が複数人で担当しています。常日頃から総合的に診療する当科だからこそ、隠れた疾患を見逃さずに多く発見できたのだと思います。これからも総合的な幅広い視点で、診療に臨みたいと思っています」と、中野氏は述べている。 岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科Occult endocrine disorders newly diagnosed in patients with post-COVID-19 symptoms (Scientific Reports 2024年3月5日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「特定保健指導」に関するニュース
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
- 2025年02月25日
- ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
- 2025年02月25日
- 緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
- 2025年02月17日
- 働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
- 2025年02月17日
- 肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
- 2025年02月17日
- 中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
- 2025年02月17日
- 高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
- 2025年02月12日
-
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より - 2025年02月10日
- 【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」