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【新型コロナ】長引く後遺症が社会問題に 他の疾患が隠れている例も 岡山大学が調査

 コロナ後遺症外来を受診した患者のなかに、2型糖尿病などの代謝性疾患や呼吸器疾患など、新型コロナ以外の疾患が一定の割合で隠れていることが、岡山大学の調査で示された。

 コロナ後遺症は、世界的な社会問題となっており、日本でも診療できる医療機関は増えている。しかし、コロナ感染後も長引く症状のすべてが後遺症であるとは限らず、とくに高齢者ほど他の疾患が隠れているおそれがあるとしている。

 「コロナ感染後2~3ヵ月たっても、倦怠感をはじめ色々な症状が続く場合は、かかりつけ医に相談することをお勧めします。コロナ禍での健診控えもあり、きちんと検査をしておくことも大切です」と、研究者は述べている。

長引く新型コロナ後遺症が社会問題に

 新型コロナは、日本でも2023年7月時点で3,300万人以上が感染しており、かぜ症状や肺炎を起こすだけでなく、回復後も倦怠感などの症状が長引くことがあり、コロナ後遺症と言われている。

 コロナ後遺症により、仕事を続けられない人もいて、社会的な問題となっており、コロナ後遺症の病態解明や治療法の開発が望まれている。

 コロナ後遺症外来(コロナ・アフターケア外来)を受診した患者のなかに、2型糖尿病などの代謝性疾患や呼吸器疾患など、新型コロナ以外の内科疾患が一定の割合で隠れていることが、岡山大学の調査で示された。

 後遺症の症状に関連する疾患がみつかる例は67%に上り、その他は後遺症症状と関連のない疾患も発見された。

 同外来では、これまでに900人を超える後遺症患者を診療している。研究グループは今回、2021年2月の開設から2023年6月までのあいだに、受診患者731人のうち、6.8%にあたる50人で、何らかの医学的介入や経過観察を必要とする疾患(52疾患)を発見した。

 さらに、全体の2.2%にあたる16人では、コロナ後遺症よりも治療が優先される疾患がみつかった。なんらかの疾患がみつかる割合は、高齢になるほど上昇し、60歳以上では15.7%に及んだ。

 疾患の内訳は、2型糖尿病などの内分泌代謝疾患や血液疾患、呼吸器疾患が最多で、それぞれ8人の患者でみつかった。また、52疾患のうち67%にあたる35疾患は、コロナ感染後の長引く症状と関連があり、一方、症状との関連がもっとも乏しかったのは内分泌代謝疾患だった。

新型コロナ後遺症の症状に関連する疾患がみつかる例は67%

出典:岡山大学、2024年

感染後の長引く症状のすべてがコロナ後遺症とは限らない

 「コロナ感染後の長引く症状のすべてがコロナ後遺症とは限らず、コロナ後遺症と思われている方のなかには、実は他の疾患による症状が重なっている可能性があります。コロナ後遺症の診療では、他の疾患が隠れていないかきちんと調べることが大切であり、隠れている他の疾患を診断・治療することで症状が改善する可能性があります」と、研究者は述べている。

 研究は、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)高梁総合診療医学講座の中野靖浩氏と、学術研究院医歯薬学域(医)総合内科学の大塚文男教授らのグループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載された。

 「コロナ感染後2~3ヵ月たっても、倦怠感をはじめ色々な症状が続く場合は、かかりつけ医に相談することをお勧めします。コロナ禍での健診控えもあり、きちんと検査をしておくことも大切です」と、大塚教授は述べている。

 「当院のコロナ・アフターケア外来は、総合内科・総合診療科の医師が複数人で担当しています。常日頃から総合的に診療する当科だからこそ、隠れた疾患を見逃さずに多く発見できたのだと思います。これからも総合的な幅広い視点で、診療に臨みたいと思っています」と、中野氏は述べている。

岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科
Occult endocrine disorders newly diagnosed in patients with post-COVID-19 symptoms (Scientific Reports 2024年3月5日)
[Terahata]
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