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運動不足による経済損失は年間7兆円 世界中で運動不足が流行

 運動不足がもはやパンデミックといえる状態になっている。運動不足がもたらす経済損失は、世界で約675億ドル(約7兆円)に上るという調査結果が発表された。
運動不足がもたらす経済損失は年間7兆円
 運動不足がもたらす2013年の経済損失は、世界で約7兆円(675億ドル)だったとする調査結果が、8月に始まるリオオリンピックに合わせて医学誌「ランセット」が特集したシリーズで発表された。7兆円はコスタリカの総国内総生産とほぼ同じ額だ。

 運動不足が要因で世界で毎年530万人が命を落としている。これは喫煙が原因で死亡する数とほぼ同じだ。運動不足の世界的な「流行」がもたらす損失の推計を行ったのは、今回の研究がはじめて。

 研究チームは、日本を含む142ヵ国についての経済情勢や人口データをもとに調査を行った。対象となった人口は世界全体の93%を含めている。

 運動不足に起因する疾患のうちの5つについて調査したところ、運動不足による2013年の損失額は、直接的な医療費が約5.6兆円(538億ドル)と、生産性の損失による損失額が約1.4兆円(137億ドル)に上ることが判明した。

 運動不足のもたらす医療費の負担は、公共の医療保健からの拠出が約3.2兆円(312億ドル)、民間の医療保険会社による支払いが約1.3兆円(129億ドル)、家計が直接負担した分が約1兆円(97億ドル)となっている。

 ただ、これらのデータは、冠動脈性心疾患や脳卒中、2型糖尿病、乳がん、結腸がんを対象としており、数字が過小評価されている可能性が高いという。

 このうち、2型糖尿病の直接的な医療費は全体の約70%にあたる約3.9兆円(376億ドル)に上り、もっとも医療費のかかっている疾患であることが明らかになった。
運動不足を解消する政策の成果は得られていない
 研究では、運動不足のもたらす経済的負担は高所得国で多く、直接的な医療費の8割、生産性の損失の6割を占めることも明らかになった。一方で、運動不足による経済的な負担の75%は低・中所得国が占めており、有効な対策をしないと今後も増えていくと予測されている。

 「運動不足は、病気や早期死亡につながり、大きな経済的な負担を強います。世界的な流行として認識されるべきです。身体活動を増やし運動不足を減らす対策を行わないと、特に低・中所得国で経済的負担が増していきます」と、主任研究者のシドニー大学のメロディ ジン氏は言う。

 「地域社会で身体活動レベルを向上させると、医療費の削減と労働の生産性の向上につながります。政府にとっては大きな価値のある重要な投資となります」と、シドニー大学公衆衛生学部のエイドリアン バウマン教授は言う。

 多くの国が、運動不足を解消するために国民に運動を推奨する政策を行っているが、2010年には75%の国が政策を定めているのもかかわらず、実際に実行されているのは44%であることが分かった。2015年には少し改善し、90%の国が政策を定めており、71%が実際に実行している。

 世界保健機関(WHO)は、週に150分の活発な運動を行うことを推奨しているが、この基準を満たしているのは、世界の成人の23%、子供の80%だという。

 「各国は運動不足を解消する政策を行っていますが、十分な成果は得られていません。運動不足は2型糖尿病や肥満、心疾患などの危険因子となります。さらに、運動不足を解消することで、世界で年間30万件の認知症を防ぐことができます」と、カリフォルニア大学公衆衛生学部のジム サリス教授は言う。
「座り過ぎ」で縮んだ寿命は取り戻せる 1日1時間の運動が必要
 毎日8時間以上座る人は、1日当たり1時間の運動を行うことで、死亡リスクの上昇を帳消しにできることが、100万人以上のデータを分析した研究で明らかになった。

 ノルウェーのスポーツ科学大学のウルフ エケルンド教授らは、北米や欧州、オーストラリア、日本などで実施された16件の調査に参加した45歳以上の男女100万5,791人のデータを分析した。

 その結果、座っている時間が長いと死亡リスクが高くなることが確認され、特に心疾患やがんによる死亡リスクが高まることが判明した。

 また、1日当たりの運動の強度を「最低(週5メッツ・時、1日5分以下に相当)」「低い(週16メッツ・時、同25~35分)」「週30メッツ・時、高い(同50~65分)」「週35.5メッツ・時、最高(同60~75分)」の4グループに分けて分析したところ、「最高」のグループでは座り過ぎ(1日8時間)による死亡リスクへの影響は認められず、1日60~75分の運動で座り過ぎによる死亡リスクの増加が帳消しになることが示された。

 エケルンド教授によると、座り過ぎで高まった死亡リスクを帳消しにするために必要な運動は「時速5.6kmの活発なウォーキングを1時間」に相当するという。実際に1時間以上運動している人は全体の25%に過ぎない。

 運動の時間は1時間が理想的だが、それが難しい場合には、短時間の運動を積み重ねるやり方でも良いという。昼食時に散歩をしたり、仕事に朝やウォーキングやサイクリングをするだけでも運動不足を解消できる。

 「毎日少しでも運動すれば、座り過ぎによるリスクを減らすことができる」とエケルンド教授は説明している。

 「身体活動のレベルを増加させ、運動不足を解消するために、教育、都市計画、交通、スポーツ、レクリエーションや環境などのそれぞれの部門で連携が必要になります。医療や保健指導では運動量を増やすために、よりいっそうに努力を積み重ねる必要があります」と、指摘している。

The Lancet: One hour of physical activity per day could offset health risk of 8 hours of sitting(Lancet 2016年7月27日)
The economic burden of physical inactivity: a global analysis of major non-communicable diseases(Lancet 2016年7月27日)
Does physical activity attenuate, or even eliminate, the detrimental association of sitting time with mortality? A harmonised meta-analysis of data from more than 1 million men and women(Lancet 2016年7月27日)
[Terahata]

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