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特定健診で現行の腹囲基準を維持 健診項目の大筋が決まる 厚労省検討会
2016年08月03日
第23回「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」(座長: 多田羅浩三・日本公衆衛生協会会長)が7月29日に開催された。
2018~2023年度までの第三期特定健康診査等実施計画期間での特定健診・保健指導の在り方について大筋がまとめられた。
2018~2023年度までの第三期特定健康診査等実施計画期間での特定健診・保健指導の在り方について大筋がまとめられた。
保険者が取り組むべき6項目の指標
同検討会では、保険者において種別に関わりなく共通的に取り組むべき指標について、以下の通りにまとめられた。保険者努力支援制度と後期高齢者支援金の加算・減算制度については、この取りまとめをふまえ、保険者種別ごとに具体的な制度設計を検討していく。
予防・健康づくりに係る指標
指標(1) 特定健診・特定保健指導の実施率、メタボリックシンドローム該当者および予備群の減少率 |
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▽特定健診・特定保健指導の実施率、▽メタボリックシンドローム該当者および予備群の減少率、▽健診未受診者・保健指導未利用者対策。 |
指標(2) 特定健診・特定保健指導に加えて他の健診の実施や健診結果等に基づく受診勧奨等の取組の実施状況 |
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▽がん検診や歯科健診などの 健(検)診の実施、▽健診結果等に基づく受診勧奨や精密検査の必要な者に対する働きかけ、▽歯科のリスク保有者への保健指導等の取組の実施状況。 |
指標(3) 糖尿病等の重症化予防の取組の実施状況 |
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▽糖尿病等の治療中断者への働きかけや、▽治療中の加入者に対して医療機関等と連携して重症化を予防するための保健指導等を実施する取組。 |
指標(4) 広く加入者に対して行う予防・健康づくりの取組の実施状況 |
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▽具体例 ICT等を活用して本人に分かりやすく健診結果の情報提供を行うことや、ヘルスケアポイント等による予防・健康づくりへのインセンティブ付与の取組のうち、実効性のあるもの。 |
指標(5) 加入者の適正受診・適正服薬を促す取組の実施状況 |
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▽地域のかかりつけ医師、薬剤師等との連携の下、重複頻回受診者、重複服薬・多剤投与と思われる者への訪問指導の実施や、訪問による残薬確認・指導等の取組み。 |
指標(6) 後発医薬品の使用促進に関する取組の実施状況 |
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▽後発医薬品差額通知の実施や後発医薬品の希望カードの配付など、実施により加入者の後発医薬品の使用を定着・習慣化させ、その後の後発医薬品の継続使用に資するものや後発医薬品の使用割合など |
現行の腹囲基準(男性85cm以上、女性90cm以上)を維持
同検討会は、現行の特定保健指導対象者の選定基準を引き続き維持し、現行の腹囲基準(男性85cm以上、女性90cm以上)を内臓脂肪の蓄積を評価する方法とすることを決めた。
内臓脂肪蓄積の程度とリスク要因の数に着目した現行の特定保健指導対象者の選定基準を、引き続き維持する。
「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」では、虚血性心疾患・脳血管疾患は、腹囲にかかわらず血圧、血糖、脂質等の危険因子と関連していることから、腹囲の基準の見直しを求めている。
腹囲が基準未満でリスク要因(血圧高値、脂質異常、血糖高値)がある者は特定保健指導の対象者とはならないが、これらのリスク要因がある者への対応方法については重要な課題であり、引き続き検討を行うという。
LDLコレステロールを健診項目として維持
血中脂質検査では、特定健診の円滑な運用および検査値の連続性を担保するために、LDLコレステロールを健診項目として維持すべ方針が示された。
ただし、LDLコレステロールの替わりにnon-HDLコレステロールを用いることも可能とするかについては、労働安全衛生法にもとづく定期健康診断の見直しをふまえ、引き続き検討する。
「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」では、「non-HDLコレステロールを保健指導対象者への指導に用いる」とされ、non-HDLコレステロールは総コレステロールおよびHDLコレステロールから算出されることから、「総コレステロールを健診項目へ追加し、LDLコレステロール直接測定法を健診項目として廃止する」と求められた。
血糖検査は「空腹時血糖またはHbA1c」が原則
血糖検査は原則として「空腹時血糖またはHbA1c」を測定することとし、空腹時以外はHbA1cのみを測定することと定めた。
ただし、健診受診率の向上のために、随時血糖を検査項目に新たに位置づけることが有効であるとの意見があったことから、空腹時以外でHbA1cを測定しない場合は、食直後を除き随時血糖により血糖検査を行うことを可とする。
「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」では、「随時血糖は虚血性心疾患や脳血管疾患の発症予測能があり、健診項目として活用可能である」と指摘された。
心電図検査は血圧異常などがある人などが対象
心電図検査の対象者は、当該年の特定健診の結果において、血圧が受診勧奨判定値以上の者または問診等で不整脈が疑われる者のうち、医師が必要と認めるものを対象とする。
実施方法は、血圧測定値は特定健診当日に把握可能であるため、当該年の特定健診の結果にもとづき速やかに検査を実施する。速やかに心電図検査が行えない場合は、受診勧奨を行うことを求める。
「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」では、心電図検査の対象者は、「左室肥大や心房細動などを対象疾患とし、血圧が受診勧奨判定値以上の者や問診で不整脈が疑われる者で医師が必要と認める者に対して実施する」と整理された。
眼底検査は血圧または血糖検査の判定値にもとづく
眼底検査については、原則として特定健診の結果で、血圧または血糖検査が受診勧奨判定値以上の者のうち、医師が必要と認めるものを対象とする。
血糖検査は特定健診を実施した当日に検査結果を把握できない場合があり、健診受診者の利便性を考慮し、「眼底検査が必要な者に速やかに検査を実施するためには、前年の検査結果にもとづき対象者を選定することも引き続き可能とすべき」との意見も出された。
「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」では、対象者については「高血圧性網膜症や糖尿病性網膜症などを対象疾患とし、血圧または代謝系検査が受診勧奨判定値以上の者で医師が必要と認める者に対して実施する」とされた。
血清クレアチニン検査は腎機能障害を評価するために重要
糖尿病性腎症に対する重症化予防の取組を保険者として推進しており、血清クレアチニン検査(eGFR)は重要だ。eGFRは国民にとって分かりやすい腎機能の評価でもある。
ただし、健診項目の位置づけについては、基本的な項目に位置づけ健診項目を充実させるべきという意見と、尿蛋白検査で一定程度腎機能を評価できるため詳細な健診の項目として実施すべきという意見の両論があった。
これを受け、今回の見直しでは、血清クレアチニン検査を詳細な健診の項目に追加し、eGFRで腎機能を評価することとされた。
血清クレアチニン検査の対象者は、検査結果を用いて対象者を選定するとした場合、採血を2回実施する必要性があり、健診受診者および実施者の負担が倍増するといった課題がある。
一方で、65歳以上の者では、血圧または血糖値が保健指導判定値以上の者が健診受診者の8割以上に上る。
これらをふまえ、対象者は、血圧または血糖値が保健指導判定値以上となる割合が高い年齢を設定した上で、医師が必要と認める者を対象とすることが検討されている。
「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」では、尿腎機能検査は腎機能障害の重症化を早期に評価するための検査であり、検査項目としては、「特定健康診査の詳細な健診項目として血清クレアチニン検査を実施するものとする」とし、対象者は「高血圧による腎硬化症、糖尿病による糖尿病性腎症等を対象疾患とし、血圧または代謝系検査が保健指導判定値以上の者で医師が必要と認める者に対して実施する」と求められた。
第23回保険者による健診・保健指導等に関する検討会(2016年7月29日)
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