ニュース

アレルギー疾患が急増 厚労省が基本指針を発表 医療の底上げが急務

 アレルギー疾患は急増しており、国民の2人に1人が罹病している。厚生労働省の「アレルギー疾患対策推進協議会」は基本指針案をまとめた。医療の提供体制を整備するとともに、患者が科学的知見にもとづく適切な情報を入手できるよう環境を整備することを求めている。
国民の2人に1人がアレルギー疾患を発症
 ぜんそくや花粉症、アトピー性皮膚炎など、アレルギー疾患の患者が急増するなか、厚生労働省の「アレルギー疾患対策推進協議会」(会長:斎藤博久・国立成育医療研究センター副所長)は、対策の方向性を示した基本指針案をまとめた。

 アレルギー疾患はこの10年ほどで急増しており、厚生労働省によると国民の2人に1人が罹病していると推計される。このうち、ぜんそく患者は800万人以上と推計されている。

 しかし、専門的な知識や技術のある医師が偏在しており、地域間で医療提供体制に差があり、患者が適切な治療が受けられず、重症化する例が多いことが問題になっている。

 患者数が多く、日常生活に大きな支障を及ぼすにもかかわらず、日本のアレルギー疾患に対する取り組みは遅れている。
科学的根拠にもとづいた医療体制を整備
 アレルギー疾患のある人は、長期にわたり生活の質が低下し、社会的、経済的にも影響を受ける。しかし、発症、重症化要因の解明、ガイドラインの有効性の評価や薬剤の長期投与の効果や副作用など、明らかになっていないことが多い。

 こうした状況をふまえ基本指針案では、アレルギー疾患をもつ人が適切な診療を受けられるよう、科学的根拠にもとづいた医療提供体制を整備すべきだとした。

 地域ごとに専門的な治療を行う拠点病院を整備し、患者の相談支援にあたる体制を充実させることなどを盛り込んだ。
アレルギー疾患対策の方針はこう変わる
 指針案は2014年6月に成立した「アレルギー疾患対策基本法」にもとづいて策定された。

 同法は、▽気管支ぜんそく、▽アトピー性皮膚炎、▽アレルギー性鼻炎、▽アレルギー性結膜炎、▽花粉症、▽食物アレルギー――の6疾患について、国や地方自治体が対策に取り組むことを規定している。

 同法では、適切に治療できる医療機関の整備や予防・治療法の開発、学校でのアレルギー疾患の教育などに取り組むことを、国・地方公共団体・医療保険者・医療提供者などに対して、責務として課している。

 しかし実際には、「6疾患すべて」で何らかの対策を行っている自治体は10.0%。「1疾患」は40.6%で、「2疾患」は5.17%、「何も取っていない」も37.7%という調査結果が発表されている。

 疾患別では食物アレルギーで対策をとる自治体が42%で、アトピー性皮膚炎は13%、花粉症やアレルギー性結膜炎は10%未満にとどまっている。

 こうした現状を受け、指針案では次のような基本的な考え方を示している――

(1)アレルゲン(アレルギー疾患の原因物質)を回避するための措置を講ずることを念頭に、アレルギー疾患のある患者を取り巻く環境の改善を図る。

(2)アレルギー疾患の医療全体の質を向上させ、科学的根拠にもとづいた医療の提供体制を整備する。

(3)アレルギー疾患に関し、科学的知見にもとづく適切な情報を入手できる体制を整備する。アレルギー疾患を発症した場合には、正しい知見にもとづいた情報提供や相談支援を通じて、生活の質の維持を向上させる支援を受けられるようにする。

(4)アレルギー疾患に関する専門的、学際的または総合的な研究を戦略的に推進する。発症・重症化の予防、診断、治療などについての技術を向上させ、研究の成果を普及・活用・発展させる。
拠点病院の整備や患者の相談支援の体制を充実
 具体的な対策としては、地域ごとに専門的な治療を行う拠点病院の整備や、患者の相談支援にあたる体制の充実などを盛り込んだ。

▽アレルギー疾患医療の専門的な知識や技術を有する医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師などの知識や技能を向上させる。

▽アレルギー疾患医療は、診療科が内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科、小児科等、多岐にわたる。こうした現状をふまえ、医療の提供体制に関する検討を行い、全体の質の向上をはかる。

▽国民がアレルギー疾患、アレルギーを有する者への正しい理解を得ることができるよう、地域の実情に応じた社会教育の場を活用した啓発を、地方公共団体に求める。

▽国は地方公共団体に対して、市町村保健センターなどで実施する乳幼児健康診査などの母子保健事業の機会を捉え、乳幼児の保護者に対して、医療機関への受診勧奨等、適切な情報提供を実施するよう求める。
アレルギー疾患の適正な情報をインターネットで提供
 また、アレルギー疾患のある人が科学的根拠にもとづかない治療によって症状を悪化させるケースがあるため、インターネットなどを通じて適切な情報の提供をはかることを強調している。

▽インターネット上の情報には科学的に適切でない例もあるので、予防法や生活改善策について最新の正しい情報を提供する。急性症状のアナフィラキシーに対応するための自己注射に関する知識も広める。

▽学校などでの重症化や事故を防ぐため、教員の研修や適切な教育も求める。アレルギーの児童が他の児童と分け隔てなく学校生活を送れるようにする。

▽国立成育医療研究センター・国立病院機構相模原病院などのアレルギー疾患医療の全国的な拠点となる医療機関、地域の拠点となる医療機関の役割や機能、またこれらとかかりつけ医との連携協力体制を整備する。

アレルギー疾患対策推進協議会(厚生労働省)
一般の皆様へ(日本アレルギー学会)
日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2018年12月12日
年末年始にアルコールを飲み過ぎないために 知っておきたい5つの対処法
2018年12月12日
手軽な運動で筋内脂肪を減少 「ウォーキング+筋力トレーニング」がもっとも効果的
2018年12月12日
うつ病を早期支援するのための社員向け研修プログラムを開発 職場のメンタルヘルス不調を早期発見・介入 九州大学など
2018年12月12日
保健指導にインセンティブを 世界の1億人の運動量を増やす「Vitality」の戦略
2018年12月12日
骨粗鬆症の検診受診率 全国ランキングを発表 1位は栃木県 骨粗鬆症財団
2018年12月06日
【参加募集中】第8回 産業保健プロフェッショナルカンファレンス「健康経営の視点での産業保健活動」
2018年12月05日
保健指導をオンラインで支援 金沢大学がIoT活用で新たな保健指導サービス
2018年12月05日
【山梨県】糖尿病対策推進会議などと連携 「糖尿病腎症」の重症化予防
2018年12月05日
ペットロボ「アイボ」の癒やし効果を医療に活用 成育医療研究センター
2018年12月05日
骨が分泌する「若返り物質」 運動が若さを保つメカニズムを解明

最新ニュース

2018年12月14日
【健やか21】不登校傾向にある子どもの実態調査 中学生約33万人
2018年12月12日
年末年始にアルコールを飲み過ぎないために 知っておきたい5つの対処法
2018年12月12日
手軽な運動で筋内脂肪を減少 「ウォーキング+筋力トレーニング」がもっとも効果的
2018年12月12日
うつ病を早期支援するのための社員向け研修プログラムを開発 職場のメンタルヘルス不調を早期発見・介入 九州大学など
2018年12月12日
保健指導にインセンティブを 世界の1億人の運動量を増やす「Vitality」の戦略
2018年12月12日
骨粗鬆症の検診受診率 全国ランキングを発表 1位は栃木県 骨粗鬆症財団
2018年12月06日
【参加募集中】第8回 産業保健プロフェッショナルカンファレンス「健康経営の視点での産業保健活動」
2018年12月06日
【健やか21】近年急増の梅毒 男性は40代、女性は20代が最多
2018年12月05日
保健指導をオンラインで支援 金沢大学がIoT活用で新たな保健指導サービス
2018年12月05日
【山梨県】糖尿病対策推進会議などと連携 「糖尿病腎症」の重症化予防
2018年12月05日
ペットロボ「アイボ」の癒やし効果を医療に活用 成育医療研究センター
2018年12月05日
骨が分泌する「若返り物質」 運動が若さを保つメカニズムを解明
2018年12月05日
「ストレス反応」は朝と夜で異なる 体内時計をストレスマネジメントに応用
2018年12月04日
糖尿病ネットワークがベトナムに進出 アジアの糖尿病医療を底上げ
2018年12月04日
「依存症を知る~今日的課題と対応~」へるすあっぷ21 12月号
2018年11月29日
「健康寿命をのばそう!アワード」最優秀賞決定~介護予防・高齢者生活支援分野/母子保健分野~
2018年11月29日
「健康寿命をのばそう!アワード」最優秀賞決定~生活習慣病予防分野~
2018年11月29日
【健やか21】伝染性紅斑が流行しています(東京都)
2018年11月28日
【参加募集中】第7回 産業保健プロフェッショナルカンファレンス テーマ「職場巡視~ありのままの現場を見られる産業保健師になる~」※申込みを締切りました
2018年11月28日
高齢者の入浴に「要介護」を防ぐ効果 ただし冬の入浴には注意も必要
2018年11月28日
高カロリー飲料やお菓子はなぜ危ないか メタボや糖尿病の原因糖質が判明
2018年11月28日
毎日30分のウォーキングが乳がんを防ぐ 女性の運動を増やすアイデア7選
2018年11月28日
仕事と運動を両立できるデスクを開発 運動不足を一気に解決
2018年11月28日
肥満の多い国にいる日本人は肥満になりやすい? 運動指導がポイント
2018年11月25日
【健やか21】暮らしに役立つ情報「一人ひとりの医療情報が"明日の医療"につながります。」
2018年11月21日
運動不足はメタボよりも高リスク 運動をより多く・座る時間は少なく
2018年11月21日
野菜で脱メタボ 宮城県が野菜の摂取を促す「みやぎベジプラス100」
2018年11月21日
スポーツを通じて女性の活躍を促進 子育て世代もサポート スポーツ庁
2018年11月21日
母乳が赤ちゃんの腸内フローラを健康にする メカニズムを解明
2018年11月21日
慢性腎臓病(CKD)の原因は腎臓での「エネルギー代謝障害」 治療法を開発
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,558 人(2018年10月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶