【中間とりまとめ】健診問診票に、女性特有の健康課題の項目追加へ
「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会」より
厚生労働省は昨年12月より「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会」(以下「検討会」)を設置し、これまで8回にわたって議論を重ねてきた。
このほど公表された『中間とりまとめ』では、一般健康診断問診票に女性特有の健康課題(月経困難症、月経前症候群、更年期障害等)に係る質問を新たに追加するとの方向性が示された。
報告の中心は「女性特有の健康課題」「歯科に関する項目」
厚生労働省は、労働者の健康をめぐり「急速に進む高齢化のなか、職業生活が長期化してきているとともに、女性の就業率の増加に伴って、女性の健康課題への対応の重要性が一層高まっている」との認識を示し、昨年12月、有識者らによる「検討会」を設置。労働安全衛生法に基づく健康診断項目について検討を重ね、11月1日に検討会『中間とりまとめ』が公表された。
今回のとりまとめでは、女性特有の健康課題と歯科に関する項目の2点を中心に報告がなされている。
女性特有の健康課題による経済損失額は3.4兆円(経産省報告)
経済産業省の「働く女性の健康増進に関する実態調査」(平成31年3月)によると、女性従業員の約5割が女性特有の健康課題により「職場で困った経験」があり、さらに「職場で何かをあきらめた経験がある」と回答した女性は4割を超えていた。
今年2月には新たに「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」を同省が公表。女性特有の健康課題による経済損失額は3.4兆円に上るという試算報告があり、大きなインパクトを与える結果だった。そのうち、更年期症状などによる損失は1.9兆円で、損失総額の5割以上を占めた。
同報告では、職場でのパフォーマンス低下や休職・離職など就労への影響が大きいと予測され、「性差に基づく多数の健康課題のうち、規模が大きく、経済損失が短期で発生するため、職域での対応が期待される4項目(月経随伴症、更年期症状、婦人科がん、不妊治療)を抽出」して考察を行ったとしている。
つまり、これらの健康課題は、職場での支援や対応が大いに期待できるもので、産業保健活動に大きく関わってくるものだ。
「健康経営優良法人」認定の過程でも「女性の健康」支援が重点評価されるようになり、企業の組織全体での取り組みが必要不可欠になってきた。
「健診・検診」に関するニュース
- 2024年12月02日
- 健診で高血圧がみつかっても受診するのは8%未満 職場に健康管理の担当者がいると改善 中小規模事業所を調査
- 2024年11月26日
-
【中間とりまとめ】健診問診票に、女性特有の健康課題の項目追加へ
「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会」より - 2024年11月18日
- インフルエンザ流行に備えて 「予防のための最善の方法はワクチン接種を受けること」と専門家は指摘
- 2024年11月18日
- 【新型コロナ】ワクチン接種を受けた人は罹患後症状の頻度が約半分に減少 ワクチンの効果は高い
- 2024年11月11日
- 「加熱式タバコ」もやはり危険 従来のタバコと同様に健康リスクが がん細胞の増殖を促進 細胞死も
- 2024年10月28日
- 大腸がん検査は40代から受けると効果が大きい 大腸がん検診は死亡リスクを大幅に減少 検査を受けることが大切
- 2024年10月28日
- 子供の肥満が世界で増加 過去30年で2倍に増えパンデミックに 子供たちと家族の健康な未来に向けた取り組みが必要
- 2024年10月28日
- 「妊娠糖尿病」が増加 食事と運動に取り組めば予防・改善できる どの女性にもリスクが
- 2024年10月21日
- 健診で脂質異常を指摘されても医療機関を受診しない人の特徴は? ふだん医療機関と接点がない人が未受診の可能性 筑波大学
- 2024年10月15日
- スマホをいじる時間を1時間減らすだけでメンタルヘルスは改善 仕事への満足度も向上 スマホ依存は孤独や不安を高める?