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野菜や果物などの「植物性食品」が糖尿病リスクを下げる「決め手」に

 野菜や果物、全粒粉などの植物性食品を食べると、2型糖尿病の危険性が大きく低下するという研究が相次いで発表されている。赤身肉や加工肉などの食べ過ぎを抑えて、代わりに野菜や果物を食べると、糖尿病リスクは大幅に下げられる。
植物性食品ベースの食事が糖尿病リスクを低下
 植物性食品をベースにして、全粒穀物、果物、野菜、ナッツ、豆類などが豊富な食事をとると、2型糖尿病のリスクが大幅に低下するという研究を、米国のハーバード大学公衆衛生大学院が発表した。

 研究チームは、米国の20万人以上の男性と女性の医療従事者を追跡調査した。この3件の大きな長期的な研究では、食事、生活スタイル、糖尿病の発症歴などを、20年以上にわたり追跡して調査した。植物性食品の食品インデックスにより食事の調査をした。このインデックスは、植物性食品には正のスコアを、動物性食品には負のスコアを割り当てるものだ。

 その結果、動物性食品が少なく植物性食品の多い食事をとっていた人は、そのような食事が少ない人に比べて、2型糖尿病の発症リスクが20%低下することが明らかになった。さらに、植物性食品がベースの健康的な食事をしていた人は、糖尿病リスクが34%低下したのに対し、「健康的ではない食事」(精製された穀物、ポテト、加糖飲料など)をとっていた人では、逆に16%のリスク増加がみられた。

 研究では、動物性食品を1日に25~33%減らして、代わりに植物性食品を増やすと、糖尿病の発症リスクを下げられることも示された。

 「植物性食品には食物繊維、抗酸化物質、不飽和脂肪酸、マグネシウムなどの栄養素が豊富に含まれ、飽和脂肪酸は少ないことが、2型糖尿病リスクを低下させる要因として考えられます。また、健康的な植物性食品により、腸内細菌叢が健康になります」と、研究者は述べている。

野菜や果物を2倍食べると死亡リスクが大幅に低下
 野菜と果物を1日の推奨量の2倍を食べると、心筋梗塞、脳梗塞、がんなどの死亡リスクが低下することが、多くの研究をまとめた研究で明らかになった。これは、英国のインペリアル カレッジ ロンドンの研究によるものだ。

 「野菜と果物を食べることで、数百万人の早すぎる死を防ぐことができます」と、研究者は述べている。

 英国では、野菜と果物を1日に400gを食べることが推奨されている。しかし今回の研究では、その2倍の800gを食べると、さまざまな疾患の予防効果が最大になることが判明した。

 研究チームは、世界の95本の約200万人を対象とした研究論文を解析。その結果、野菜や果物を1日に800g摂取していた場合、心疾患のリスクは24%、脳卒中のリスクは33%、循環器疾患のリスクは28%、がんのリスクは13%、早死のリスクは31%、それぞれ低下することが明らかになった。

 野菜と果物の摂取量が目標に達していない場合でもあきらめてはいけない。1日200gを摂取した場合でも、心疾患のリスクは16%、脳卒中のリスクは18%、循環器疾患のリスクは13%、がんのリスクは4%、早死のリスクは15%低下するという。
自然のままの未加工の「ホールフード」が勧められる
 どのような果物や野菜が、病気の予防効果があるかを調べたところ、野菜ではサラダ、緑の葉物野菜、ブロッコリーなどのアブラナ科野菜が、果物ではリンゴ、梨、柑橘系の果物が、循環器疾患を予防する効果が高いことも分かった。

 がんの予防には、ホウレンソウやニンジンなどの緑黄色野菜、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜、緑豆が効果的だという。

 「野菜や果物を食べると、血圧やコレステロール値を下げ、血管の状態を健康に保つ効果を得られます。また、野菜などに含まれる抗酸化物質はDNAの損傷を予防し、がんのリスクを下げてくれます。さらに、豊富に含まれる食物繊維が、腸内細菌に良い影響を与えます」と、研究者は述べている。

 また、野菜などを実だけを食べるのではなく、葉や根や皮なども含めて丸のまま食べた方が良い。こうした食品は「ホールフード」と呼ばれ、自然のままの未加工の食品、もしくはより未加工に近い食品は、体に良い栄養素がより多く含まれるという。
食物繊維が糖尿病リスクを低下させる決め手になる
 食事で食物繊維を多く摂取すると、2型糖尿病のリスクが低下することが、欧州の国際研究プロジェクトである「EPICインターアクト研究」でも明らかになった。この研究は欧州糖尿病学会(EASD)が発行する医学誌「ダイアベトロジア」に発表された。

 EPICインターアクト研究(EPIC-InterAct Study)は、欧州を中心とする10ヵ国が協力し2006年に開始された、世界最大規模の糖尿病のコホート研究。2型糖尿病の発症に関わる食事や運動、行動などの生活スタイルと、遺伝因子を調査し、糖尿病の発症と重症化を予防する方法を探る目的で実施されている。

 発表された研究は、1万2,403人の2型糖尿病の新規発症者、1万6,835人の対照者を含む、35万人の大規模コホート調査の結果で、ケンブリッジ大学によってとりまとめられた。

 研究チームは、研究対象者を食物繊維のもっとも多い摂取から最も少ない摂取まで4分位に分類し、11年間追跡し、2型糖尿病の発症リスクを調査した。

 その結果、食物繊維がもっとも多かった群(1日当たり26g以上)では、もっとも少なかった群(1日当たり19g未満)に比べ、2型糖尿病の発症リスクが18%低いことが明らかになった。

 研究チームは、EPICインターアクト研究と、米国や欧州などの18本の研究のデータを集めメタ解析した。この研究では4万1,000人以上の2型糖尿病の新規発症例が含まれる。その結果、食物繊維の摂取量が1日に10g増えるごとに、2型糖尿病の発症リスクは9%低下することが明らかになった。

 「食物繊維の多い食事をとると、栄養の吸収が遅くなり、食後の血糖値の上昇を抑えられます。また、満腹感を得やすくなり、血糖を下げるインスリンの分泌を増やすホルモン分泌が促されます。腸内細菌叢のバランスも改善されます。血糖コントロールや、体のインスリン感受性も改善されると考えられます」と、研究者は述べている。
動物性の脂肪は糖尿病リスクを上昇させる バターがリスクを2倍に
 飽和脂肪酸が多く含まれるバターを食べ過ぎると、2型糖尿病のリスクが上昇するという研究も発表された。この研究はスペインのロビラ イ ビルジリ大学によるもの。

 地中海沿岸では、牛や豚などの赤身肉をあまり食べず、魚を多く食べる習慣があり、そうした地域では心筋梗塞などを発症する人が少ないことが知られている。

 「PREDIMED」は、地中海式ダイエットが心筋梗塞や心不全などの心血管系疾患などの一次予防に効果があるかを調べた大規模研究。PREDIMEDは「地中海式ダイエットによる疾患予防」という意味がある。

 研究チームは、PREDIMEDの参加した3,349人のデータを解析。4.5年のフォローアップ後、266人が糖尿病を発症した。

 その結果、飽和脂肪酸と動物性脂肪を多く摂取していた人は、少なく摂取していた人より、2型糖尿病発症のリスクが2倍高かった。バターを1日当たり12g摂取すると、4.5年の期間中に、糖尿病リスクが2倍に上昇した。

 一方で、ヨーグルトを摂取していた人は、糖尿病のリスクが低下していた。全脂肪のタイプのヨーグルトを食べていた人でも糖尿病リスクは低下した。

 「糖尿病リスクを下げるためには、飽和脂肪酸や動物性脂肪の多い肉の脂身や加工肉を減らして、オリーブ油やナッツ類など健康的な植物油に置き換えることが重要です」と、研究者は述べている。

Healthy plant-based diet linked with substantially lower type 2 diabetes risk(ハーバード大学公衆衛生大学院 2016年6月14日)
Plant-Based Dietary Patterns and Incidence of Type 2 Diabetes in US Men and Women: Results from Three Prospective Cohort Studies(PLOS Medicine 2016年6月14日)
Up to 10 portions of fruit and vegetables a day may prevent 7.8 million premature deaths(インペリアル カレッジ ロンドン 2017年2月23日)
Fruit and vegetable intake and the risk of cardiovascular disease, total cancer and all-cause mortality-a systematic review and dose response meta-analysis of prospective studies(International Journal of Epidemiology 2017年2月22日)
Study adds to evidence that increasing dietary fiber reduces the risk of developing diabetes(Diabetologia 2015年5月26日)
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[Terahata]

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