ニュース
乳がんの予防に「地中海式ダイエット」が効果的 リスクが32%低下
2017年03月08日
乳がんの予防に「地中海式ダイエット」が効果的であることが、6万人以上の女性を対象とした大規模な調査で明らかになった。「地中海式ダイエット」によって、乳がんを最大で32%抑えられるという。
エクストラバージンオリーブオイルを摂取すると、乳がんを68%抑えられるという調査も発表されている。
エクストラバージンオリーブオイルを摂取すると、乳がんを68%抑えられるという調査も発表されている。
乳がんリスクが32.4%低下
乳がんには、比較的おとなしいものから、増殖が活発なものまで、さまざまなタイプがある。乳がんの6~7割はホルモン受容体が陽性、つまり女性ホルモン受容体をもっているタイプだとされている。受容体をもっていない、つまりホルモン感受性が陰性(非感受性)の乳がんに対しては、ホルモン療法は効果がない。
そうしたホルモン感受性が陰性の乳がんを予防するのに、地中海式ダイエットが効果的とする研究が、オランダのマーストリヒト大学の研究チームによって発表された。
「地中海式ダイエット」は、以下の特徴があてはまる食事スタイルとされている――・ 野菜、果物、穀類、豆類、ナッツ類など、植物性の食品を豊富に食べる。
・ 穀類は精製されていない全粒粉や玄米を食べる。
・ 不飽和脂肪酸の多いオリーブオイルを豊富にとる。
・ 牛脂や豚脂など、飽和脂肪酸の多い動物油を控える。
・ 魚を週に2回以上食べる。
・ 牛肉や豚肉などの赤身肉は控える。
・ チーズやヨーグルトなどの乳製品を適量とる。
・ 香りの高いハーブを使い、塩分を控える。
・ 食事とともに適量のワインを飲む。 研究チームは、食事とがんの関連を調べているオランダ・コホート研究に参加している55~69歳の女性6万2,573人を対象に検査を実施。研究は1986年から始まり、20年間続けられた。 参加者の食事を調査し、どれくらい地中海式ダイエットのパターンに合っているかを検証した。期間中に3,354人が乳がんを発症した。 ホルモン受容体陰性の乳がんは、50歳以下の女性が多く発症する、悪性度が高いがんだ。研究者は因果律を予測して、地中海式ダイエット料理を摂取している女性では、ホルモン受容体陰性の乳がんのおよそ3分の1(32.4%)と、すべての乳がんの2.3%を回避できると結論した。
オリーブオイルを摂取するとリスクが68%低下
地中海式ダイエットは健康増進効果のある食事法
なぜ地中海式ダイエットを摂ると、がんの発症リスクを抑えられるのか、詳しいメカニズムは不明だが、研究者は地中海式ダイエットの次の特徴が効果をもたらしている可能性があると指摘している――▽抗酸化物質が多い、▽良質の油(不飽和脂肪酸)を十分に摂っている、▽インスリンの過剰分泌を抑え、インスリン抵抗性を改善する、▽食物繊維を十分に摂っている、▽塩分が控えめ。
がんに限らず、地中海式ダイエットは2型糖尿病、心血管疾患、認知症などの疾患の予防に効果的な食事法だという。地中海式ダイエットと糖尿病の発症リスクとの関連を調べた55~80歳の男女418人を4年間追跡した「PREDIMED試験」では、地中海式ダイエットを摂っていたグループでは、糖尿病の発症リスクが52%低下することが確かめられている。
「地中海式ダイエットは、気候や地形の多様性を利用した食事スタイルを特徴とします。野菜をたっぷり食べる、果物をたっぷり食べる、精製されていない全粒粉を選ぶ、食塩の摂取を減らすといった食事スタイルは、すべての人に勧められます」と、マーストリヒト大学のピェ ヴァン ジェン ブラント教授は述べている。
Mediterranean Diet may Reduce Risk of Breast Cancer by Two Thirds(ナバーラ大学 2015年9月14日)Adherence to Mediterranean diet and risk of esophageal, gastric, pancreas, lung and breast cancer: a prospective cohort study(世界がん研究財団 2015年11月9日)
Reduction in the Incidence of Type 2 Diabetes With the Mediterranean Diet(Diabetes Care 2011年1月)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「健診・検診」に関するニュース
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月18日
- 人口10万人あたりの「常勤保健師の配置状況」最多は島根県 「令和4年度地域保健・健康増進事業の報告」より
- 2024年04月18日
- 健康診査の受診者数が回復 前年比で約4,200人増加 「地域保健・健康増進事業の報告」より
- 2024年04月09日
- 子宮の日 もっと知ってほしい子宮頸がんワクチンのこと 予防啓発キャンペーンを展開
- 2024年04月08日
- 【新型コロナ】長引く後遺症が社会問題に 他の疾患が隠れている例も 岡山大学が調査
- 2024年03月18日
- メタボリックシンドロームの新しい診断基準を提案 特定健診などの56万⼈のビッグデータを解析 新潟⼤学
- 2024年03月11日
- 肥満は日本人でも脳梗塞や脳出血のリスクを高める 脳出血は肥満とやせでの両方で増加 約9万人を調査
- 2024年03月05日
- 【横浜市】がん検診の充実などの対策を加速 高齢者だけでなく女性や若い人のがん対策も推進 自治体初の試みも
- 2024年02月26日
- 近くの「検体測定室」で糖尿病チェック PHRアプリでデータ連携 保健指導のフォローアップなどへの活用も