ニュース

くるみを食べると腸内フローラが改善 くるみが善玉菌を増やす

 毎日ひとつかみのくるみを食べることで、「腸内エコシステム」が改善し、善玉菌を増やし、悪玉菌を減らせることが明らかになった。

くるみを毎日ひとつかみ食べると「腸内フローラ」が改善

 ヒトの大腸内には、およそ100兆個もの腸内細菌がすみついている。この菌のかたまりを腸内細菌叢といい、「腸内フローラ」と呼ばれている。

 腸内フローラは複雑な腸内微生物生態系、すなわち「腸内エコシステム」を形成している。腸内エコシステムは健康維持に重要で、バランスが崩れると大腸がんなどの腸そのものの疾患に加えて、糖尿病、肥満、高血圧、炎症性疾患など、さまざまな疾患に関わっていることが明らかになっている。

 くるみを1日43グラム、8週にわたり毎日食べると、腸内エコシステムが改善し、コレステロール値も低下することが、ドイツのミュンヘン大学の研究で明らかになった。研究成果は、科学誌「Nutrients」に発表された。

 くるみを毎日食べることで、腸内の「プロバイオティクス」(腸内細菌)のバランスが調節され、悪玉菌への強い拮抗作用のある酪酸菌が増え、善玉菌が増えるという。

くるみを食べると善玉菌は増え、悪玉菌は減る

 研究チームは、194人の健常者(女性が134人、平均年齢63歳、平均BMIは25.1)を対象に、前向きのランダム化比較試験を実施した。被験者は、ナッツ類をまったく食べない期間を経て、くるみを食べる群と食べない群に分けられた。8週間の期間を経て両群は交換されて、さらに8週間観察された。

 被験者はくるみを食べる期間は、1日43gのくるみを毎日食べた。研究チームは、被験者の糞便を検体として収集し、DNAシークエンシングによってマイクロバイオーム分析を行い、RNA遺伝子配列データを解析した。

 腸内細菌を多次元スケーリングで測定したところ、くるみを食べた場合は、くるみを食べない場合に比べ、8週間で腸内細菌に約5%の相違が生じることが明らかになった。

 くるみを食べることで、善玉の腸内細菌であるRuminococcaceaeやBifidobacteriaが有意に増加した一方で、大腸炎などの原因となるClostridium目の細菌は有意に減少した。

悪玉コレステロールを低下させる効果も

 ヒトの腸内には、さまざまな菌がお互いにバランスを保ちながら存在しており、複雑な微生物生態系がつくられている。この生態系がどれだけ多様であるかを知るために、「α多様性」と「β多様性」が用いられている。

 α多様性はある1つの環境での多様性で、β多様性とは異なる環境間の多様性を示す。今回の研究では、くるみを食べることで、β多様性に約5%の系統学的な相違が生じることが判明した。

 くるみを毎日食べると、血中の悪玉の「Non-HDLコレステロール」が減少することも、過去の研究で確かめられている。

 くるみを摂取するだけで悪玉コレステロールを低下させる効果を得られ、これは脂肪や炭水化物を制限する食事法から独立しており、より手軽に実行可能だという。

 「腸管内菌叢のバランスは、ヒトの健康に大きな影響を及ぼします。食事が腸内フローラの形成にもっとも大きく影響します。今回の研究では、くるみを食べることで腸内細菌を増やし、体重の減少と糖尿病リスクの低下につながることが示されました」と、ミュンヘン大学病院のクラウス パーホッファ氏は言う。

くるみは料理の素材としても理想的

 くるみには、健康に良いと注目されているオメガ3脂肪酸がナッツ類でもっとも多く含まれる。くるみに含まれるオメガ3脂肪酸は「α-リノレン酸」(ALA)で、青魚の脂肪に含まれるDHA、EPAと同じ仲間の脂肪酸だ。

 「α-リノレン酸」は、動脈硬化を防ぎ、コレステロール値・中性脂肪値を下げ、心臓病、がん、脳卒中、2型糖尿病、高血圧、肥満などの予防に効果を発揮することが、さまざまな研究で報告されている。

 コレステロールゼロ、低糖質でグルテンフリーのくるみは、栄養素をバランス良く補給するのに適した食材として注目されている。

 くるみは、そのままつまんだり、サラダやヨーグルトのトッピングとして簡単に食べることができる。砕いたくるみを挽肉の代わりに料理に加えたり、パン粉の代わりにクラストとしても使える。

腸の健康におすすめ くるみの食べ合わせ

 腸の健康を考えると、納豆やヨーグルトなどとくるみを合わせたレシピがおすすめです。

【くるみ×納豆メニュー】

くるみと納豆の梅肉あえ

くるみと納豆のチーズトースト

くるみ納豆の厚揚げのせ

【くるみ×ヨーグルトメニュー】

くるみのブルガリアンサラダ

かぼちゃとサツマイモくるみとレーズンのヨーグルト和えサラダ

くるみとハチミツ入りギリシャヨーグルトのパンナコッタ


 他にもくるみと納豆レシピはたくさんあります≫くるみ協会HP くるみレシピ でキーワード【納豆】で検索してください。

 また、カリフォルニアくるみ協会では、医療・健康スタッフの皆様にくるみの有用性を知っていただくために病態別レシピなどの情報資料をご用意しております。是非、ご活用ください。申し込みはこちら(カリフォルニアくるみ協会 資料請求フォーム)

・ A Walnut-Enriched Diet Affects Gut Microbiome in Healthy Caucasian Subjects: A Randomized, Controlled Trial Nutrients 2018, 10(2), 244; doi:10.3390/nu10020244
・ A walnut-enriched diet reduces lipids in healthy Caucasian subjects, independent of recommended macronutrient replacement and time point of consumption: A prospective, randomized, controlled trial. Nutrients. 2017, 9(10): 1097; 10.3390/nu9101097
・ カリフォルニアくるみ協会

[保健指導リソースガイド編集部]
side_メルマガバナー

「栄養」に関するニュース

2025年08月21日
歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
2025年07月28日
肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
2025年07月22日
【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
2025年07月18日
日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
2025年07月18日
「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
2025年07月14日
適度なアルコール摂取は健康的? 大量飲酒の習慣は悪影響をもたらす お酒との良い関係
2025年07月14日
【コーヒーと健康の最新情報】コーヒーを飲んでいる人はフレイルや死亡のリスクが低い 女性では健康的な老化につながる
2025年07月08日
「大人の食育」を強化 人生100年時代の食育には地域や職場との連携も必要-令和6年度「食育白書」より
2025年07月07日
日本の働く人のメンタルヘルス不調による経済的な損失は年間7.6兆円に 企業や行政による働く人への健康支援が必要
2025年07月07日
子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶