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魚の「オメガ3脂肪酸」が死亡リスクを低下 「食後高脂血症」に注意
2018年04月04日

心筋梗塞や脳卒中のリスクを低下させるために必要なのは、悪玉のLDLコレステロールを増やさないことだ。
日本人は世界的にみて魚をよく食べているが、魚などに含まれる「オメガ3系脂肪酸」は、死亡リスクを下げる効果があることが、最近の研究で分かってきた。
血中のオメガ3系脂肪酸レベルが、死亡リスクの正確な予測手段になるという研究も発表された。
日本人は世界的にみて魚をよく食べているが、魚などに含まれる「オメガ3系脂肪酸」は、死亡リスクを下げる効果があることが、最近の研究で分かってきた。
血中のオメガ3系脂肪酸レベルが、死亡リスクの正確な予測手段になるという研究も発表された。
動物性脂肪は悪玉コレステロールを増やす
血液中に含まれるコレステロールや中性脂肪などの脂質の量が増え過ぎるのが「脂質異常症」。放置しておくと、動脈硬化が進みやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こされる。糖尿病や高血圧、脂質異常症があると、動脈硬化が進みやすくなる。
動脈硬化を引き起こす原因は、不健康な食生活と運動不足だ。特に食生活では、血液中に悪玉のLDLコレステロールが多いと、動脈硬化が進行しやすくなる。脂質の摂取に気をつけてLDLコレステロールを増やさないようすることが重要だ。
食事では動物の肉を摂り過ぎないことが大切。肉の動物性脂肪には、飽和脂肪酸が多く含まれていて、これが悪玉のLDLコレステロールを増やしてしまう。飽和脂肪酸が特に多いのは、牛や豚のバラ肉、鶏肉の皮、加工肉などだ。
飽和脂肪酸は、総摂取エネルギーの7%以下に抑えるのが目標となる。1日2,000kcalを摂取する人では、1日140kcal以下に抑える。牛バラ肉なら、1日100グラムが上限となる。
悪玉コレステロールを減らす食事と運動
食物繊維が多く含まれている野菜やきのこ、海藻、果物、コンニャクなどを、積極的に摂りたい。食物繊維は、食事に含まれるコレステロールの吸収を抑えることでLDLコレステロールを減らす。
大豆にも食物繊維が豊富に含まれていて、悪玉のLDLコレステロールを減らす働きがある不飽和脂肪酸も多く含まれている。
ウォーキングなどの有酸素運動も、LDLコレステロールを下げ、脂質異常症に対策するのに効果的だ。運動には中性脂肪を減らす、善玉のHDLコレステロールを増やす、動脈硬化を防ぐなどさまざまな効果がある。
「ややきつい」と感じ、汗が少しにじむ程度の強さで、ウォーキングなどを毎日30分以上行うのが目標となる。1度に30分行わなくとも、数回に分けて行って、1日の運動時間が30分に調整する方法も効果がある。
「オメガ3系脂肪酸」で心筋梗塞や脳梗塞を予防
もうひとつ注目したい脂肪が「オメガ3系脂肪酸」だ。オメガ3系脂肪酸には、血液中のLDLコレステロールを上げず、中性脂肪を下げる作用がある。また、血圧を下げる効果もある。
代表的なオメガ3系脂肪酸は、「EPA」(エイコサペンタエン酸)と「DHA」(ドコサヘキサエン酸)で、イワシ、サバ、サンマといった青魚に多く含まれる。魚以外ではクルミなどのナッツ類に含まれる「α-リノレン酸」もオメガ3系脂肪酸だ。
EPAとDHAなどは、体内では合成できないため食品から摂らなくてもならない必須脂肪酸だ。とくにEPAには、血液を固まりにくくして、動脈硬化と心筋梗塞を防ぐ効果がある。
日本人を対象とした研究でも、血液中のEPAの割合が高い人ほど、心筋梗塞や脳梗塞を発症しにくいという結果が出ている。
「食後高脂血症」に注意
「食後高脂血症」とは、食後に血液中の中性脂肪が異常に増える病態をさす。脂質の多い食事をとれば、健康な人でも中性脂肪はある程度増えるが、食後高脂血症では、その増え方が大きく、しかも時間が経過しても十分に下がらない。
食事で取り込んだ中性脂肪は、最初はコレステロールを少し含んだ大きな固まりになるが、すぐに脂肪酸という小さい物質へと分解されていく。脂肪酸は、細胞に取り込まれ、エネルギーとして使われる。
食後高脂血症では、この中性脂肪の分解がスムーズに進まず、「レムナント」という分解途中の中性脂肪の固まりが血液中に長くとどまることになる。レムナントが血液中に長くとどまると血管壁に入り込みやすく、その結果コレステロールがたまって動脈硬化を引き起こす。
オメガ3系脂肪酸は、食後高脂血症を改善するのに効果的である点でも注目されている。
オメガ3系脂肪酸は糖尿病リスクを下げる

オメガ3系脂肪酸で心疾患のリスクを評価
血中のオメガ3系脂肪酸レベルは、コレステロール値よりも死亡リスクの正確な予測手段になるかもしれないという研究を、スタンフォード大学などが発表した。オメガ3系脂肪酸レベルの高い人は、低い人に比べて死亡リスクが約33%低くなることが示された。
この研究は、1948年に開始された「フラミンガム心臓研究」の当初の参加者の子孫2,500人を追跡したもの。今回の研究では、参加者の年齢は試験開始時点で66歳で、73歳前後になるまで追跡して調査した。
その結果、オメガ3系脂肪酸濃度が高いほど、心血管疾患と、虚血性心疾患、脳卒中のリスクが低いことが明らかになった。特に、心血管疾患やがんで以外の全ての死因とオメガ3系脂肪酸濃度は強く関連していた。
先行する3件の研究でも、オメガ3系脂肪酸レベルの高さが死亡リスクの低さに関連することが示されている。今回の研究では、血中コレステロール値よりもオメガ3系脂肪酸の方が、心疾患のリスク評価をする上で効果的であることも分かった。
「今回評価した5つの結果に対し、コレステロール値はいずれにも有意な関連を示さなかったものの、オメガ3系脂肪酸は4つの結果に関連していました」と、スタンフォード大学医学部内科学部のウィリアム ハリス氏は言う。
多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター 社会と健康研究センターFish intake and type 2 diabetes in Japanese men and women: the Japan Public Health Center-based Prospective Study(American Journal of Clinical Nutrition 2011年9月)
Erythrocyte long-chain omega-3 fatty acid levels are inversely associated with mortality and with incident cardiovascular disease: The Framingham Heart Study(Journal of Clinical Lipidology 2018年3月15日)
Study shows omega-3 levels better predictors of death risk than serum cholesterol(OmegaQuant 2018年3月15日)
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