ヨガは肥満・メタボのある人の体重管理に役立つ ヨガは暑い夏にも涼しい部屋でできる ひざの痛みも軽減

ヨガは中高年者の肥満予防に役立つ
中高年の人がヨガを実践すると、肥満の予防・改善に役立つという研究を、米国のフレッドハッチンソンがん研究センターが発表している。
ヨガを習慣として行うことで、標準体重の人は中年太りを予防でき、過体重の人は体重減少の促進を期待できるとしている。
「ヨガには、脂肪燃焼の効果があることが示されました」と、同センター公衆衛生科学部およびワシントン大学公衆衛生・地域医療学部の教授であるアラン クリスタル教授は言う。
研究は、ヨガが体重に与える影響を大規模に測定したはじめての研究としている。研究成果は、「Alternative Therapies in Health and Medicine」に発表された。
ヨガは有酸素運動ではないのに体重が減少?
一方で、激しい動きのともなうヨガを行えば、体重を減らすのに十分なカロリーを消費できるが、ほとんどの人はそうしたヨガを行っていない。
実際に、ヨガを行っている人のほとんどは、カロリーを多く消費する有酸素運動とは言えない運動量のヨガを実践していた。
しかし、「経験からみて、ヨガを行うことで、自身の体への意識が高まることが関係していると考えられます」と、クリスタル教授は指摘している。
「ヨガを行っている人は、たとえば十分に食べた後の満腹感に対して敏感になり、食べすぎてしまう前に食べるのを止めやすくなるといった感想を述べています」としている。
ヨガに取り組むと体重減少が4倍近くに上昇
研究グループは、53~57歳の成人1万5,550人を対象に、ヨガを含む過去10年間の運動習慣、食事、身長、研究開始時から45歳時までの体重の変化などを調査した。
その結果、ヨガを4年以上実践していた参加者は、体格指数(BMI)が25未満の標準体重であると、体重の平均1.3kgの減少と、BMIが25以上の過体重であると、体重の1.8kgの減少とそれぞれ関連していた。
さらに過体重の人では、ヨガを4年以上実践していると、5%以内の体重維持の可能性が1.85倍に高まり、5%超の体重減少の可能性が3.88倍に高まることがそれぞれ示された。
クリスタル教授は、標準的な減量プログラムにヨガを加えることで、体重減少や減量後の体重維持を高める効果を得られるかを検証するために、さらに研究が必要としながらも、ヨガに取り組むことで、内面の柔らかさと、マインドフルネスを高められる可能性を指摘している。
「たとえば、ヨガのレッスンを終えて家に帰り、冷蔵庫を開けてチョコレートケーキをみつけたときに、そのケーキを食べないことに耐えられる力が身についたという人もいます」と述べている。
ヨガ初心者は、地域で開催されているヨガ教室などに参加することからはじめることを勧めている。
マインドフルネスの実践が肥満や糖尿病を改善

ヨガや瞑想などの、ストレス緩和やリラックスに役立つ「マインドフルネス」を実践することは、肥満や糖尿病のリスクのある人の管理にも役立つという研究を、米国のハーバード公衆衛生大学院も発表している。
ウォーキング・ヨガ・気功・太極拳・瞑想・ストレス軽減のトレーニング・イメージ療法などで構成される「マインドフルネス」の実践は、健康管理に役立つ可能性があるとしている。
ゆっくりと深く呼吸しながら、自分に注意を向けるヨガやストレッチ、ウォーキング、瞑想などを組み合わせたプログラムも開発されている。
マインドフルネスを日本語に訳すと、「気付くこと」「意識すること」という意味。(1) いまの瞬間の自分の気持ちや身体に注意を向け、(2) 偏見や願望、過去の経験や先入観などにとらわれず、起きていることをありのままにみる、という2つの要素が重要になる。
ヨガがストレスを軽減するリラクゼーションに
「ライフスタイルを改善し、健康的な食事をとり、運動を習慣化し、睡眠を十分にとることなどは、肥満や糖尿病のリスクのある人にとってセルフケアの基礎となります」と、ハーバード大学心身医学研究所のシャル ラムチャンダニ氏は言う。
ヨガなどのマインドフルネスの実践は、ストレス反応とは正反対のリラクゼーション反応を引き起こすと考えられる。
「リラクゼーション反応は、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを低下させます。これによりインスリン抵抗性が改善され、血糖値の上昇が抑制される可能性があります」と、ラムチャンダニ氏は指摘している。
ストレスを軽減するリラクゼーションにより、血流が改善し、血圧が下がり、心臓病や脳卒中を予防につながることも報告されている。ストレスを軽減し、管理することで、気分が良くなり、自己認識と自己統制力も向上するとしている。
初心者向けにヨガのやり方を解説しているビデオ
ヨガが膝関節炎によるひざの痛みを軽減
ヨガは、室内や自宅で手軽に行うことができ、暑い夏にも涼しい部屋のなかで取り組めるという魅力もある。
ヨガに12週間取り組むと、膝関節炎によるひざの痛みを軽減でき、その効果は従来の筋力を高める運動と同等であることが、オーストラリアのタスマニア大学や中国の南方医科大学などの新しい研究で示された。
膝関節炎は、関節に炎症が起き、ひざに痛みやこわばりを感じるようになる病気。その原因は、加齢にともなうものやケガによるものなどがあるが、症状は長期間に徐々に進行し、重症化すると痛みのために歩行が困難になることもある。
研究グループは、ひざに中程度の痛みのある117人の成人を対象にランダム化比較試験を実施。参加者に、ヨガと筋力強化運動(筋トレ)にそれぞれ12週間取り組んでもらい、その効果を比較した。
その結果、どちらも運動も膝の痛みを改善する効果があったが、ヨガは膝の症状、生活の質、うつ病の改善の効果がより高いことが示された。
ヨガを24週間続けた人では、痛みの軽減、身体機能の向上、気分の改善など、さらに大きな改善がみられた。
自宅でヨガを実践している人は、長期的に継続できている割合が70%と高く、筋トレの60%より優れていることも示された。
「ヨガを臨床診療で代替あるいは補完的な運動オプションとして取り入れることは、変形性膝関節症などの管理に役立つ可能性があります」と、研究者は述べている。
Regular Yoga Practice May Help Prevent Middle-Age Spread (フレッドハッチンソンがん研究センター 2005年7月18日)
Yoga practice is associated with attenuated weight gain in healthy, middle-aged men and women (ternative Therapies in Health and Medicine 2005年7月-8月)
A mindful way to help manage type 2 diabetes? (ハーバード大学医学部 2023年2月6日)
Mindful yoga videos (ジョンズ ホプキンス大学 2021年12月14日)
Yoga or Strengthening Exercise for Knee Osteoarthritis: A Randomized Clinical Trial (JAMA Network Open 2025年4月8日)


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