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「食物繊維」が糖尿病や心臓病のリスクを減らす インフルエンザの予防にも有用

 食物繊維を十分にとる食事スタイルには、これまで考えられていた以上に多くのメリットがあることが、新たな研究で明らかになった。
 食物繊維は、2型糖尿病、心臓病、がんなどのリスク低下させるという。専門家は、1日に25~29gの食物繊維を摂取することを勧めている。
食物繊維が脳卒中リスクを22%減少
心疾患による死亡のリスクは30%減少
 食物繊維の多い野菜などや全粒穀物を多く食べている人は、まったく食べない人に比べ、2型糖尿病や心臓病、脳卒中がんなどの慢性疾患の発症リスクが低下することが、新たな研究で明らかになった。

 この研究は、世界保健機関(WHO)の委託を受け、ニュージーランドのオタゴ大学が行ったもので、詳細は医学誌「ランセット」に発表された。

 研究チームは、過去40年近くにわたり発表された観察研究と臨床試験を系統的にレビューしメタ解析した。対象となったのは、世界中で行われた185件の前向き研究と58件の臨床試験だ。

 その結果、食事で食物繊維を十分に摂取することで、平均して、脳卒中のリスクは22%減少し、2型糖尿病と大腸がんのリスクはそれぞれ16%減少し、冠状動脈性心疾患による死亡のリスクは30%減少することが明らかになった。

 「研究では、1日に25~29gの食物繊維を摂取すると効果的であることが示されたました。しかし、ほとんど人は1日に20g未満しかとっておらず、食物繊維が不足しています」と、オタゴ大学のエドガー糖尿病・肥満研究センターのアンドリュー レイノルズ氏は言う。

 全粒穀物からとる食物繊維を1日に15g増やすことで、2型糖尿病、冠状動脈性心疾患、大腸がんの発症リスクを2~19%低下できる可能性があるという。

 「食物繊維を十分にとることで、心臓病、脳卒中、2型糖尿病、がんなどによる死亡リスクを大きく下げられます。食物繊維が健康に与える影響は、考えられていた以上に大きいことが分かりました」と、同センターのジム マン教授は言う。

関連情報
食物繊維は精製度の低い穀物に多く含まれる
 食物繊維を多く含む食品は、穀類、いも類、野菜、果物、きのこ、大豆製品、豆類、海藻類などだ。

 食物繊維には「不溶性」と「水溶性」があり、水溶性食物繊維には、糖質の吸収をゆるやかにし血糖値の上昇を防ぎ、脂質の吸収を抑えコレステロールを下げ、ナトリウムを吸着して排出するなど、多くの体に良い作用がある。

 また、食物繊維が多いと良く噛むようになるので、満腹感が得られやすくなり、食べ過ぎを防いで肥満予防や体重管理につながる。

 野菜や果物に食物繊維は豊富に含まれるが、日常的に食物繊維を多くとるには、毎日食べる主食、つまり穀物から食物繊維をとるのが効果的だ。

 食物繊維の摂取量と糖尿病の発症率の関連を調べた多くの研究で、穀物からの食物繊維を多くとっている人では、あまりとらない人に比べ、糖尿病の発症リスクが低下することが示されている。
食物繊維はグリセミック指数よりも有用
 穀物の食物繊維を多くとるために勧められるのは、大麦入りの麦ご飯、精製度の低い玄米や胚芽米などだ。また、全粒粉のパンにも食物繊維は多く含まれる。

 大麦には100g当たり6.3g、玄米には3.0g、精白米には0.5gの食物繊維が含まれる。精白米は、食物繊維が豊富な皮と胚芽を取り除いているため、食物繊維が少なくなってしまう。

 一方で、血糖値を上げにくい食品の目安として「グリセミック指数(GI)」が用いられることも多い。これは、ブドウ糖を摂取した後の血糖上昇率を100として、それを基準に、同量を摂取したときの食品ごとの血糖上昇率をパーセントで示した数値だ。

 マン教授はGIは食物繊維ほど有用な指標にならないと指摘している。「低GIで血糖値を上げにくいと謳った加工食品の中にも、糖質、飽和脂肪酸、ナトリウムなどが多く含まれているものもあるので、注意が必要です。たとえばアイスクリームは低GIですが、糖質が多く含まれます」と、マン教授は指摘している。
食物繊維はインフルエンザの予防にも役立つ
 食物繊維が豊富に含まれる食事をとっていると、腸の炎症が軽減し、インフルエンザウイルスから保護する作用を得られるという研究も発表されている。

 研究は、オーストラリアのモナッシュ大学によるもの。研究チームは食物繊維が、ウイルス性疾患として世界でもっとも多くみられるインフルエンザA型の予防に役立つことを、マウスによる実験で確かめた。

 ヒトの腸には500~1,000種類、100兆個以上の腸内細菌が生息し、食物繊維を有用な代謝産物に作り替える働きをしていている。

 食物繊維はほとんどはヒトの消化酵素で消化・吸収されず、体の中を通過する。その過程で、乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌のエサになり、有用な代謝産物に作り替えられる。

 こうした代謝産物は、エネルギー源として使われるほか、腸の収縮運動を高めたり、炎症やアレルギーを抑える効果があるという。
食物繊維が腸内環境を整える
 研究チームは、マウスに食物繊維が多い食事を与えると、ヘルパーT細胞への分化誘導が起こることを発見した。

 体には細菌やウイルスなどのさまざまな有害な病原体から守る免疫システムが備わっている。炎症などの免疫反応が起こるが、その司令塔としての役割を果たしているのがヘルパーT細胞だ。

 「食物繊維を多く与えたマウスでは、与えなかったマウスに比べ、ヘルパーT細胞が活性化していました。食物繊維が豊富な食事は、腸の健康を改善し、腸の炎症を軽減し、インフルエンザから保護することを発見しました」と、モナッシュ大学のベンジャミン マーズランド教授は言う。

 食物繊維のメリットとして、心臓病や2型糖尿病のリスクの低下が挙げられるが、それに加えて、インフルエンザの予防にも役立つ可能性がある。

 「食物繊維を十分に摂取することで、腸内細菌叢が改善され、インフルエンザなどの感染症と戦うために、体の抗ウイルス免疫反応が高められます」と、マーズランド教授は指摘している。

High intake of dietary fibre and whole grain foods reduces risk of non-communicable diseases(オタゴ大学 2019年1月11日)
Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses(Lancet 2019年1月10日)
Scientists link fibre in diet to flu protection(2018年5月16日 モナシュ大学)
Dietary Fiber Confers Protection against Flu by Shaping Ly6c- Patrolling Monocyte Hematopoiesis and CD8+ T Cell Metabolism(Immunity 2018年5月15日)
[Terahata]

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