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業務課題は「対象者に合わせた保健指導」がトップに
―保健指導リソースガイド利用者アンケートよりー


 2022年9月に実施した「ご利用者様向けアンケート」の結果をまとめましたので、ご報告いたします。

 保健指導リソースガイドは間もなく15年目を迎えます。ご利用者様にとって、より良い情報・サービスを提供したいという思いから、今回のアンケートでは「業務で困っていること」や「当サイトへのご要望」を伺いました。

 このたびお寄せいただいた貴重なご意見は、今後のサイト運営の参考とさせていただきます。ご協力くださった皆さまに心より感謝申し上げます。

 2022年9月7日~9月19日に、保健指導リソースガイドを利用している方を対象としてアンケートを行い、443名の方からご回答をいただきました。

職種(※複数回答)

 アンケートにご回答いただいた方々の職種は、保健師(45.6%)が最も多く、次に看護師(29.8%)、管理栄養士・栄養士(18.1%)、衛生管理者(13.3%)、会社員(11.7%)が上位を占めています。

勤務先

 勤務先は、事業所(31.4%)が最も多く、次に病院(8.1%)、健診機関(7.4%)、保健指導受託・実施機関(7.4%)、介護福祉施設(5.6%)が上位を占めています。

事業所規模

 勤務先の事業所規模は、中規模事業所50名以上~1000名未満(33.6%)が最も多く、次に大規模事業所1000名以上(27.5%)、小規模事業所50名未満(21.7%)、行政・自治体(7.2%)、個人事業主(6.3%)という結果でした。

年代と勤続年数

 年代は、20代(9.7%)、30代(31.2%)、40代(33%)、50代(20.7%)、60代(5.5%)、70代(0.2%)と、約6割以上が30~40代の方でした。

 勤続年数は、すでにご退職済の方も含め「キャリア年数の合計」をご回答いただきました。
 1~5年未満(30.9%)、5~10年未満(30.2%)、10~20年未満(21.0%)、20~30年未満(11.1%)、30~40年未満(4.3%)、40年以上(1.6%)、その他(0.9%)と、1~10年未満の方が多い傾向にあります。

職場の環境

 「自分以外にも医療・保健指導の専門職が職場にいる」と回答した方は76.1%、「いない」と回答した方は22.8.%でした。今回のアンケートでは、大規模・中規模の事業所に勤めている方が6割以上を占めていたことが関係していると考えられます。

業務で難しい・困難だと感じること

 『日頃の業務を進める中で、難しい・困難だと感じることを教えてください』という質問では沢山のご回答をいただきましたので、項目分けを行いました。

 全体での回答と保健師のみの回答に分けて集計した結果、特に「対人支援・対象者に合わせた保健指導」について悩んでいることが分かりました。

 次に、保健師のみの回答を「勤続年数」「年代」に分けて集計しました。『日頃の業務を進める中で、難ししい・困難だと感じること』が多い割合は、勤続年数別では1~5年未満(44.6%)が多く、次いで5~10年未満(26.2%)、10~20年未満(20.3%)でした。
 また、年代別では30代(36.6%)、40代(33.2%)、50代(25.7%)が多い傾向にあります。


(クリックで大きく表示されます)

「演習型の研修」に参加して経験を積み重ねる
(よろず相談センター相談員代表:亀ケ谷律子)

 今回、多くの方々からアンケートにご回答いただきました。その中から「業務を進める中で難しい・困難だと感じること」に注目してみたところ、解決策として以下の5つに整理できると思われました。

 ① 正しい情報の入手先がわかれば解決できること
 ② 経験を積めば解決できること
 ③ きちんと研修を受ける必要があること
 ④ 研修を受けたうえで訓練する(OJT等)必要があること
 ⑤ 自己の思考や仕事の進め方を客観的に評価できる機会を得る必要があること

 保健師を含む全ての職種で「対象者にあわせた保健指導が困難だと感じる」という課題が筆頭に挙がっていましたが、これは回答者の多くが日々実際に保健指導業務に携わっていることの表れではないでしょうか。

 経験年数が少ないほどそう感じることは当然ですので、ひとりよがりにならないよう、まずは研修受講、そして経験を積み重ねていくことが重要です。
 一方、この課題は年代が比較的高い方が困難と感じる傾向にありました。これまでの自己の経験や考え方からの「こうあるべき」といった思考傾向が、"思い通りにいかない対人支援"として難しく感じる結果になっているのかもしれません。解決策としては<⑤ 自己の思考や仕事の進め方を客観的に評価できる機会を得ること>が有効だと考えられます。

 企画書やPowerPoint作成のひな型、保健指導の展開手順などを手軽に求める傾向もありました。ですが、保健指導業務のような対人支援はノウハウどおりにはいきません。事例を重ねるだけでなく、事例をまとめ、評価し、何が課題なのか指導者の下に考え、次のステップ進む、演習型の研修が望まれるところです。

 また、経験年数が上がっていくと、経験に合わせた職務として「多職種他組織等との連携・マネジメント」の課題が挙がってきます。これについては聞くだけの研修ではなく、演習のある事例検討などの参加型研修を受けながら経験を重ねていけたらよいでしょう。

 どの業務にも言えることですが、物事の本質、つまり現状分析やそこから得られた課題に沿った事業(支援)計画を立てる必要があります。今後はそのような良質な研修が増え、皆さまがそれを選択できる機会も増えることを願っています。
(よろず相談センター相談員代表 亀ケ谷律子)

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