ニュース

【新型コロナウイルス】「ピラティス」が肥満や高血圧の人に良い 室内で続けられる運動

 若い世代で人気のあるピラティスによる体幹トレーニングは、肥満のある人にも効果的で、血圧を下げ、動脈硬化を改善できることが明らかになった。
 ピラティスは血管機能を改善し、体脂肪を減らすのに役立つという。
ピラティスで運動不足を解消
 新型コロナウイルスの感染拡大にともない、外出の自粛やリモートワークが要請されている。動かないことが続き、運動不足になっている人が多い。

 室内でできる運動であれば、運動不足を解消でき、身体機能の低下を防ぐことができる。

 マット1枚があれば自宅の室内で行える「マットピラティス」が効果的である可能性がある。

 ピラティスは、リハビリ用にドイツで開発された運動を発展させたもので、体幹を安定させたり、柔軟さを高めることに重点を置いている。

 体に大きな負担をかけることなく、体幹筋(腹筋と背筋)や大腿四頭筋などを鍛える動作も含まれている。

 呼吸に合わせてゆっくりと体を動かすことで、体の左右のアンバランスやゆがみを整え、姿勢を改善し、バランス感覚を高める効果も期待できる。

PsycheTruthが紹介している室内でできるピラティス
運動が嫌いの人もピラティスであれば続けられる
 マットの上で行う「マットピラティス」は、室内でも簡単に行え、特別な器具も必要としない。初心者でも手軽に始められる運動として人気がある。

 一方で、若年成人の肥満の増加は深刻な公衆衛生上の問題になっている。

 運動が心血管疾患などの深刻な健康障害を予防・改善するために効果的であることは多くの研究で示されている。

 しかし肥満の人は、有酸素運動や筋力トレーニングなどの一般的な運動を、なかなか習慣として続けられないことが知られている。

 米国のメリーマウント大学の研究チームは、ピラティスであれば続けてもらえるかもしれないと考え、若い肥満の女性を対象に実験を行った。

 研究チームは、慢性疾患の既往歴がなく、血圧が高値であり、BMI(体格指数)が30~40で肥満と判定された、19〜27歳の女性28人に参加してもらった。

 参加者を、運動を行う群と、運動を行わない群にランダムに分け、運動を行う群には12週間のマットピラティスに取り組んでもらった。

 運動は週に3回、1時間(ウォームアップとストレッチが10分、マットピラティスによるエクササイズが40分、クールダウンが10分)のトレーニングを行った。マットピラティスの認定インストラクターがすべてのセッションを指導した。
ピラティスにより高血圧や動脈硬化が改善
 その結果、マットピラティスにより、血圧が有意に低下し、動脈硬化の検査値も改善した。

 ピラティス群では対照群と比べて、トレーニング終了時までに、末梢の収縮期血圧(SBP)が5mmHg、中心のSBPが6mmHg低く、体脂肪率も2%低くなった

 全身の動脈硬化の指標である上腕足首脈波伝播速度(baPWV)と脈波増大係数(AIx)も有意に改善した。

 研究結果の詳細は医学誌「American Journal of Hypertension」に掲載された。
糖尿病や高血圧の人にも効果がある
 「マットピラティスが、肥満で高血圧のある女性の、血圧、動脈硬化、体脂肪を改善することで、心血管の健康にベネフィットをもたらすことが示されました」と、米国のメリーマウント大学健康・人間行動学部のアレクセイ ウォン氏は言う。

 「肥満の人は、有酸素運動やレジスタンス運動をなかなか続けられないことが課題になっています。マットピラティスによるトレーニングであれば、肥満のある人も続けられ、高血圧や心血管イベントを予防するための効果的な運動になる可能性があります」と、ウォン氏は指摘している。

 マットピラティスは、自分の体力に合わせて、初心者から上級者レベルまで運動強度を自由に変えられる。ペンシルバニア州立大学は、糖尿病や高血圧、腰痛などの慢性疾患にも有用と報告している。

 米国ではピラティスの人気が高まっており、健康的な運動習慣として普及している。2018年には900万人が行っていたと推定されており、歌手のビヨンセや女優のエマ ストーンといった有名人も愛好しているという。

Study finds that Pilates significantly improves blood pressure in young, obese women(オックスフォード大学出版 2020年4月1日)
Study finds that Pilates significantly improves blood pressure in young, obese women(American Journal of Hypertension 2020年4月1日)
The Medical Minute: Just say 'om' -- how yoga and Pilates benefit beginners(ペンシルバニア州立大学 2020年4月18日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2025年06月02日
肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
2025年05月20日
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化
2025年05月16日
高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
2025年05月16日
【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
2025年05月12日
メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
2025年05月01日
ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】
2025年05月01日
【デジタル技術を活用した血圧管理】産業保健・地域保健・健診の保健指導などでの活用を期待 日本高血圧学会
2025年04月17日
【検討会報告】保健師の未来像を2類型で提示―厚労省、2040年の地域保健を見据え議論
2025年04月14日
女性の健康のための検査・検診 日本の女性は知識不足 半数超の女性が「学校教育は不十分」と実感 「子宮の日」に調査
2025年03月03日
ウォーキングなどの運動で肥満や高血圧など19種類の慢性疾患のリスクを減少 わずか5分の運動で認知症も予防
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶