ニュース

【コロナ禍でストレス】運動はメンタルの健康を取り戻すのにも効果的 どのような運動が良いのか?

 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、不安やストレスを感じている人が多い。
 コロナ禍のなかで、心と体の健康をどう維持していくかは切実な問題になっている。
 運動は不安やストレスを軽減し、メンタルヘルスを良好にする、もっとも効果的な手段となる。
運動をするとメンタルヘルスも改善する
 ウォーキングや筋トレなどの運動を行うと、血糖値や血圧が改善する。習慣として続けると、心血管疾患、脳卒中、2型糖尿病、肥満、腎臓病、がんなどによる死亡リスクが減少することが知られている。

 運動がもたらすメリットはそれだけではなく、メンタルヘルスにも良い影響があらわれる。逆に、運動不足はメンタルヘルスを悪化させる要因になる。

 米国の約120万人を対象にした調査で、運動はメンタルに良い効果をもたらしていることが明らかになった。運動をしている人は、運動をしていない人に比べ、気分が優れないと感じる日数が、月に約1.5日少なくなるという。

 「うつ病は世界でメンタル障害の主要な原因になっています。大規模な健康キャンペーンにより、メンタルヘルスを改善する方法を早急に見つける必要があります」と、イェール大学精神医学部のアダム チェクラウド氏は言う。
運動をしないでいると気分が晴れない日が増える
 研究は、米国のイェール大学と英国のオックスフォード大学などが共同で行ったもの。米国内に住む18歳以上の成人約120万人を対象に大規模な調査を行った。

 研究チームは、米国疾病予防管理センター(CDC)が管理する2011・2013・2015年の統計データから、18歳以上の成人123万7,194人のデータを解析。

 ウォーキング、サイクリング、ランニング、スポーツジムでの筋トレ、スキー、釣りなどの運動から、育児、家事、芝刈りといった身体活動まで、あらゆる種類の運動について調査した。

 その結果、運動を習慣として続けている人は、運動をしていない人に比べ、1ヵ月間に気分が優れないと感じる日数が、平均して1.49日(43.2%)少なかった。

 運動の効果は、うつ病と診断されたことのある人でとくに大きく、気分が優れないと感じる日数は、3.75日(34.5%)少なくなった。

 一方で、月に2回しか運動しない人では、気分が優れないと感じる日数が1ヵ月間に2.3日多かった。

 運動を行っている人は、行っていない人に比べ、年収が200万円以上少なくても、心理的な幸福感は同じレベルになることも分かった。
45分間の運動を週3〜5回行うと効果が最大に
 運動の量は多ければ良いというものではなく、運動による利益が最大になったのは、45分間の運動を週3〜5回行っている人だった。

 1日に30〜60分の運動をしている人は、メンタルヘルスが不良と感じる日がもっとも少なかった。

 一方で、運動量を増やせば良いというわけではないことも分かった。

 運動を1日3時間以上行っている人や、運動を月に23日以上行っている人は、運動をやり過ぎていて、まったく運動しない人に比べ、メンタルヘルスはむしろ悪化しやすい傾向がみられた。

 「運動は、年齢、人種、性別、世帯収入、教育レベルに関係なく、メンタルヘルスを全体的に改善します。個々に合った運動の種類や、行う頻度、時間などを早く見つけることが大切です。メンタルヘルスの改善に役立つ個別化された運動レジメンが必要とされています」と、チェクラウド氏は言う。

 グループで運動をしている人では、とくにメンタルヘルスが良好である傾向もみられた。

 「チームスポーツがメンタルヘルスの負担の減少と関係があるというのが、今回の研究の発見の1つです。社会的活動により回復力が促され、社会的な引きこもりや孤立を減らせます。スポーツを社会的に実施することで、うつ病を減らせる可能性があります」。
ウォーキングだけでなく、ヨガやピラティスも効果がある
 米国立精神衛生研究所によると、うつ病の症状には、絶望感、イライラ感、疲労感、集中力の低下、自殺念慮などがある。

 米国のラトガース大学が、うつ病の若者66人を対象に行った研究では、週3回の運動に8週間取り組んでもらった。

 「薬物療法や認知行動療法で十分に効果を得られなかった患者でも、運動によりうつ病の症状が改善することが多くみられます」と、同大学芸術科学部キネシオロジー・保健科のブランドン オルダーマン氏は言う。

 うつ病の症状は、ウォーキングなどの有酸素運動に取り組んだグループで55%減少した。

 それだけでなく、ヨガやピラティス、太極拳といったストレッチング主体の、マインドフルな運動に取り組んだグループでも31%減少した。
たった25分のウォーキングで、気分が良くなり、ストレスが減る
 「運動はメンタルヘルスに多大な利益をもたらすのは確かなことです。運動をしている人は不安や抑うつの症状が少なく、ストレスや怒りのレベルも抑えられることを示した報告は多いのです」と、米国の南メソジスト大学の不安治療プログラムのディレクターであるジャスパー スミッツ氏は言う。

 運動は、脳の神経伝達物質系に好ましい影響を与え、うつ病や不安障害のあるの患者が肯定的な行動を取り戻すのに役立つ。しかも、抗うつ薬の副作用のようなものはない。

 「たった25分のウォーキングによって、気分が良くなり、ストレスが減り、より多くのエネルギーを得られます。気持ちが晴れない憂うつな気分になっているときこそ、運動をするべきです」と、スミッツ氏は強調する。

 「保健指導や生活指導に携わる医療スタッフは、ご自分が運動療法の訓練を受け、運動について教えることができるようになれば、患者の健康状態はさらに良くなるでしょう」。

 運動療法を処方する医療従事者は、毎日のスケジュール、問題解決のための戦略、運動療法のガイドで取り上げられている目標設定など、成功に導くために必要なツールを患者に提供する必要があると、スミッツ氏は指摘している。

 通院して治療を受けている患者は、病状が進行していると、運動が制限される場合があるが、それでも可能な範囲で、毎日の生活の中に積極的に運動を取り入れることが望ましい。

 主治医と話して、どのような運動をどれだけ行うと良いか、相談してみよう。

Exercise linked to improved mental health, but more may not always be better(イェール大学 2018年8月8日)
Association between physical exercise and mental health in 1·2 million individuals in the USA between 2011 and 2015: a cross-sectional study(ランセット 2018年9月1日)
Who Could Benefit From Exercise and Behavioral Treatment ?(ラトガース大学 2020年8月24日)
A randomized trial of aerobic exercise for major depression: examining neural indicators of reward and cognitive control as predictors and treatment targets(Psychological Medicine 2020年8月24日)
Study: Exercise should be prescribed more often for depression, anxiety(南メソジスト大学 2010年4月1日)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2020年11月24日
腸内細菌叢が「睡眠の質」に影響 腸内環境と脳は相互に作用 食事で睡眠を改善できる可能性
2020年11月24日
【新型コロナ】薬膳レシピで「コロナうつ」「コロナ疲れ」に克つ 食養生で心身の不調を解消 近畿大学
2020年11月24日
【新型コロナ】新型コロナとインフルの同時流行に備えて 発熱したら電話で「かかりつけ医」に相談 上手な医療のかかり方プロジェクト
2020年11月18日
【新型コロナ】家庭や子供にどう影響したか 小児科学会「学校閉鎖は子供にとってストレス」 夫婦の2割「絆が深まった」
2020年11月18日
患者が亡くなる前の医療や療養についての全国調査結果 「医療には満足しているが、つらい気持ちや負担感も大きい」
2020年11月17日
肥満や糖尿病に「コーヒー・緑茶・アルコール」は良い・悪い? どれくらい飲むと健康効果を期待できる?
2020年11月17日
軽い運動を短時間しただけで記憶力を高められる 脳を標的とした運動プログラムの開発へ 筑波大
2020年11月17日
【新型コロナ】感染対策の意識を高めるのは「自己決定」 周囲の視線を気にし過ぎる日本人の「恐怖感」を調査
2020年11月13日
「体罰等によらない子育てのために~みんなで育児を支える社会に~」を開設 児童虐待に対する社会的関心喚起を
2020年11月11日
「禁煙サポート新時代」へるすあっぷ21 11月号
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 10,382 人(2021年01月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 2.7%
  • 保健師 44.8%
  • 看護師 10.8%
  • 管理栄養士・栄養士 19.8%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶