ニュース

【新型コロナ】感染対策の意識を高めるのは「自己決定」 周囲の視線を気にし過ぎる日本人の「恐怖感」を調査

 東北大学などは、新型コロナウイルスに対する恐怖感と、恐怖感から生じる対処行動の関係について、日本国内在住の450名を対象にWeb調査を行った。
 その結果、新型コロナウイルスに対して、社会状況や周囲の人々の視線を気にして行動することで、買いだめなど社会的な混乱を引き起す行動につながりやすいことが示された。
 新型コロナウイルスへの恐怖感があるなかで、自分自身で考え決定して行動することで、日常生活での感染対策への意識が高まるという。
新型コロナウイルスの感染への恐怖感
 研究は、東北大学大学院教育学研究科の若島孔文教授、北海道教育大学釧路校の浅井継悟准教授を中心とする研究グループによるもの。研究成果は「PLOS ONE」に掲載された。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、日本では4月16日に「緊急事態宣言」が出され、小中学校が休校になったり、テレワークが推奨されたりと、人々の生活は大きく変化している。マスクや消毒液の買い占めといったさまざまな社会的な混乱が生じ、医療従事者や感染した人に対する偏見や差別も問題視されている。

 海外では、COVID-19の拡大を受けて、新型コロナウイルスの感染への恐怖感についての研究がいくつか行われているが、日本では心理学的な研究は十分に行われていない。

 そこで研究グループは、香港理工大学のDaniel Kwasi Ahorsu氏らが作成した「新型コロナウイルス恐怖尺度」(Fear of COVID-19 Scale)を日本語に翻訳し、どのような人が新型コロナウイルスへの恐怖感が高いのかを調べた。
対処行動は「自己決定」によるものか、それとも「同調」によるものか
 研究グループは、緊急事態宣言が出された2日後に、日本国内在住の450名(男性291名、女性159名、年齢平均48.13歳)を対象にWeb調査を行った。

 その結果、新型コロナウイルスへの恐怖感は、性別や年齢によって違いがみられないことが分かった。さらに、家族と一緒に住んでいるかどうか、身近に感染者がいるかどうかによっても、新型コロナウイルスへの恐怖感は変わらないことも示された。

新型コロナウイルス恐怖尺度

7つの質問項目について、それぞれ「全くあてはまらない」から「とてもあてはまる」までの5つの回答選択肢の中からあてはまる番号を選んで〇をつけてください。各質問の得点は〇をつけた番号で、最小1点、最大5点となります。総得点は7つの質問項目の〇を付けた番号の数字を合計して算出します(総得点の範囲は7点~35点)。得点が高いほど、新型コロナウイルスへの恐怖が強いことを示します。

1.新型コロナウイルスがとても恐い[1 2 3 4 5]
2.新型コロナウイルスについて考えると不快になる[1 2 3 4 5]
3.新型コロナウイルスについて考えると手汗をかく[1 2 3 4 5]
4.新型コロナウイルスで命を失うことを恐れている[1 2 3 4 5]
5.インターネットで新型コロナウイルスのニュースや話題をみると、緊張したり、不安になったりする[1 2 3 4 5]
6.新型コロナウイルス感染が心配で眠れない[1 2 3 4 5]
7.新型コロナウイルス感染について考えると、心拍が早くなったり、動悸がしたりする[1 2 3 4 5]

日本語訳:筑波大学 災害・地域精神医学、2020年

 今回の研究では、新型コロナウイルスに対する情報の収集や、手洗いうがいやマスクの着用などといった対処行動に着目し、コロナウイルスへの恐怖感と対処行動の関係を調べた。

 さらに、コロナウイルスへの恐怖感に対する対処行動が、自分自身の意志である「自己決定」によって行われたものなのか、社会状況や周囲の人々の視線を気にした「同調」によって行われたものなのか、対処行動の理由に着目した。
自分自身で考え行動することで感染対策への意識が高まる
 今回の研究で明らかになった新たな知見は次の3つ――。

(1) 新型コロナウイルスに対する恐怖感が、体調チェックなど日常生活における新型コロナウイルスへの警戒心を高める。

(2) 新型コロナウイルスへの恐怖感があるなかで、社会状況や周囲の人々の視線を気にして行動することにより、買いだめといった社会的な混乱を引き起こしうる行動につながりやすい。

(3) 新型コロナウイルスへの恐怖感があるなかで、自分自身で考え決定して行動することにより、日常生活における感染対策への意識が高まる。

対処行動をとる理由

出典:東北大学大学院教育学研究科、2020年

 「新型コロナウイルスへの不安や恐怖感を測定することは、その増加を抑制するための理解につながり、コロナウイルスをめぐるさまざまな偏見や差別が生じるのを防ぐことに役立つ」と、研究者は述べている。

東北大学大学院教育学研究科
The Japanese version of the Fear of COVID-19 scale: Reliability, validity, and relation to coping behavior(PLOS ONE 2020年11月5日)
筑波大学災害・地域精神医学
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2021年01月28日
【オピニオン新連載】行動科学に基づいた保健指導スキルアップ~対象者の行動変容を促すには?~
2021年01月26日
【新型コロナ】接触確認アプリ「COCOA」がコロナ禍の心理的ストレスを減らす? 企業従業員の心の健康をどう守るか
2021年01月26日
スマホの運動アプリで1日の歩数を2000歩増やせる 新型コロナをきっかけに、運動への関心は世界中で拡大
2021年01月26日
「脂肪肝」が手遅れになる前にスマホで早期発見 病気と認識してきちんと対策 「脂肪肝プロジェクト」を始動
2021年01月26日
人工知能(AI)を活用して大腸がんを高精度に発見 医師とAIが一体となり、がん検査の見逃しをなくす
2021年01月25日
「内臓脂肪」と「腸内細菌」の関係を解明 肥満の人で足りない菌とは? 腸内細菌のバランスが肥満やメタボに影響
2021年01月25日
コレステロール高値で高尿酸血症のリスクが上昇 メタボリックシンドロームと高尿酸血症の関連に新たな知見
2021年01月19日
【新型コロナ】「自然」の豊かな環境でストレスを解消 心の元気を保つために「行動の活性化」を
2021年01月18日
「和食」が健康にもたらすメリットは多い 5割が「健康に良い」、8割以上は「和食が好き」
2021年01月18日
冬の「ヒートショック」を防ぐ6つの対策 急激な温度変化は体にとって負担 血圧変動や脱水に注意
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 10,484 人(2021年02月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 2.7%
  • 保健師 44.8%
  • 看護師 10.8%
  • 管理栄養士・栄養士 19.8%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶