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中国の糖尿病は「警戒レベル」 糖尿病人口が1億人を突破

 中国の糖尿病人口が1億1,390万人に増加したことが、最新の調査で明らかになった。有病率は11.6%で、世界全体の8.3%を大きく上回っている。また、成人の2人に1人が糖尿病予備群で、推定数は4億9,340万人だという。
中国は世界最大の「糖尿病大国」 糖尿病有病率は11.6%
 経済成長が続く中国で、成人の糖尿病有病率が11.6%(男性 12.1%、女性 11.0%)に上昇したことが明らかになった。上海交通大学医学部のYu Xu氏らが、米医学誌「米国医師会雑誌(JAMA)」に発表した。中国の糖尿病有病数は1億1,390万人と推定されている。

 研究チームは、2010年に中国各地で糖尿病横断調査を行い、9万8,658人を対象に血糖値とHbA1c値の検査を行った。10時間以上絶食した状態で空腹時血糖値をはかり、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)で2時間値を測定した。糖尿病と糖尿病前症(prediabetes)の診断は、米国糖尿病学会の基準をもとに行った。

 「中国の糖尿病有病率は、1980年には1%以下だったのが、2000~2001年の調査では5.5%に、2007年の調査では9.7%に上昇しました。そして2010年の全国調査では11%を超え、いまや糖尿病は"流行病"といえるレベルに達しています」と、Xu氏は話す。

 中国では糖尿病前症も爆発的に増えており、有病率は成人の50.1%(男性 52.1%、女性 48.1%)に上った。4億9,340万人が糖尿病予備群とみられている。

 また、糖尿病有病者のうち、自分が糖尿病であると自覚している人は、一般住民の30.1%に過ぎなかった。治療を受けているのは25.8%で、うち血糖コントロールが良好だったのは39.7%だった。

 中国では糖尿病は経済成長の著しい都市部で、特に増えている。年齢が上がると糖尿病有病率は上昇し、男性では50歳以下で、女性では60歳以上で増えはじめるという。

 中国人は、標準体重をわずかに超過しただけで、2型糖尿病発症の危険性が上昇することも分かった。同じ傾向は日本人でもみられる。

 「中国の糖尿病をめぐる現状は、もはや"警戒レベル"に達したといえます。国家が主導して糖尿病対策に乗り出さないと、将来に糖尿病合併症である心臓病や脳卒中、慢性腎臓病が急速に増加していきます」と、研究者は話している。

 世界保健機関(WHO)は、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒などの原因が共通しており、生活習慣の改善により予防可能な疾患をまとめて「非感染性疾患(NCD)」と位置付けている。心血管疾患、がん、糖尿病、慢性呼吸器疾患などが主なNCDだ。

 「糖尿病は多くの場合で、遺伝的な要因と食事や運動習慣などの環境的な要因が複雑に組み合わさって発症する病気です。運動不足やストレスが増え、社会が急速に豊かになり食事スタイルが変化し、結果として肥満が増えたことが大きな原因です」と、香港中文大学プリンス オブ ウェールズ病院のジュリアーナ チャン氏は話す。

 中国では30~40歳の予備群の段階にある人の多くが、病気や予防に関する知識をもっていない。糖尿病に関する適正な情報を広めて、認知的・心理的の側面からも行動変容を促しサポートする対策が必要だとしている。

 WHO(世界保健機関)は「健康」を、ただ病気のない状態ではなく、身体的・精神的に加えて、社会的に充足した状態と定義している。それを実現するために「政府の指導や連携の体制を強化し、共同体のエンパワーメントを高め、健康増進につながる環境を整備し、自己管理を促進することが重要」としている。

Study evaluates prevalence of diabetes among adults in China(JAMA 2013年9月3日)
Prevalence and Control of Diabetes in Chinese Adults (JAMA 2013年9月4日)

[Terahata]
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