8020達成率は5割以上 若い世代の歯周病増、口腔ケアが課題に
厚労省「令和4年歯科疾患実態調査」より
厚生労働省は、このほど「令和4年歯科疾患実態調査の結果(概要)」を公表した。それによると8020達成者率は51.6%と『健康日本21』の目標を達成していた。
一方、若年者のう歯をもつ者の割合は減少傾向にあるが、4㎜以上の歯周ポケットを持つ者が10年前の2倍近くなり、3人に1人が歯周病になっていることがわかった。
また、1年間に歯科検診を受診した者の割合は、全体の58.0%だったが、働き盛りでは5割未満。特に男性は女性よりも低い傾向だった。
歯科疾患実態調査は、わが国の歯科保険の状況を把握し、今後の歯科保険医療対策を推進するための基礎資料を得ることを目的として行われている。
1957(昭和32)年から6年毎に実施していたが、2012(平成24)年に策定した「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の中間評価にあわせ、2016(平成28)年の調査からは調査周期を5年に変更。本来であれば2021(令和3)年に実施する予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響により2022(令和4)年に実施された。
調査期間は2022年11月または12月中の任意の1日とし、調査対象は「令和4年国民生活基礎調査」で設定された地区から抽出した300地区内の世帯の満1歳以上の世帯員で、被調査者数は2,709人。対象地区内の会場で、歯科医師が調査対象者の口腔診査を実施している。
"8020"達成者が50%以上 運動が実を結ぶ
"80歳になっても20本以上自分の歯を保とう"を目標に掲げた「8020運動」がスタートしたのは1989(平成元)年で、すでに30年以上経過している。当時、女性の平均寿命がようやく80歳に達した頃で、実際に80歳で20本以上自分の歯を保っている人は7%程度。残存歯数は平均4~5本に留まっていた。
その後、2013(平成25)年度の『健康日本21(第二次)』で、8020運動の具体的な目標として2022年度までに50%を達成することが掲げられた。国民の歯の健康に対する意識も高まり、これらの運動が実を結ぶ形となり、前回の2016(平成28)年歯科疾患実態調査で51.2%であることがわかった。
これは目標より5年以上も早い時期に50%を超えたことになる。今回の調査でもほぼ横ばいではあるが、51.6%だった。
また1993(平成5)年時は、65歳〜69歳の時点で、自分の歯が20本以上ある人は30%程度しかいなかった。しかし、今回の調査では80%を超える人が20本以上の歯を残している。明らかに高齢者の口腔内環境は改善しているといえる。


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