ニュース

女性に多い骨粗鬆症 ホルモン減少が原因 予防に効果的な食品が判明

 骨粗鬆症は女性に多い病気だ。骨粗鬆症を防ぐために効果的な方法が、国際内分泌学会で発表された。
女性ホルモンの減少が骨粗鬆症の原因
 毎年、世界中で900万人が骨粗鬆症による骨折を経験しており、その多くは女性だ。原因のひとつは女性ホルモンである「エストロゲン」が減ってしまうことだ。

 エストロゲンは、女性らしい体をつくったり、排卵をコントロールしたりするホルモンだが、骨の健康にも深く関わっている。女性ではエストロゲンの分泌が減る閉経前後から骨量が急激に減少しやすい。

 「骨の代謝」が健康に保たれている状態では、古い骨を壊す「破骨細胞」と新しい骨を作る「骨芽細胞」がバランス良く働いている。骨粗鬆症は、この骨の代謝のバランスがくずれ、破骨細胞の働きが活発になり過ぎたり、骨芽細胞の働きが低下したりして骨量や骨質が低下することで起こる。

 エストロゲンには、破骨細胞を減らして骨芽細胞を増やす働きがある。閉経後の女性ではエストロゲンの分泌が低下するため、これらのホルモンのバランスが崩れ骨量が減少しやすい。

 閉経を迎えた女性だけでなく、30~40代の若い女性も注意が必要だ。この年齢の女性が過度のダイエットを行うと骨量が低下しやすく、また早期閉経の原因にもなる。
大豆イソフラボンが骨粗鬆症の予防に効果的
 大豆に含まれるイソフラボンは、その化学構造が女性ホルモンであるエストロゲンに似ており、植物エストロゲンとも呼ばれている。そのため、骨粗鬆症の予防や更年期障害の軽減などに有用とされている。

 骨粗鬆症の発症リスクの高い女性が、大豆に含まれるタンパク質とイソフラボンを豊富に摂取すると、骨が丈夫になり骨粗鬆症を予防できるという研究が、国際内分泌学会の学術集会で発表された。

 英国のハル大学の研究チームは、早期閉経を迎えた200人の女性を、(1)大豆タンパク質とイソフラボン66mgが含まれるサプリメントを服用するグループと、(2)大豆タンパク質のみのサプリメントを服用するグループに分けた。

 研究チームは6ヵ月後に血液検査を行い、骨形成の指標となる血液の成分の変化を調べた。その結果、大豆タンパク質とイソフラボンの両方を服用したグループは、骨形成が改善し骨粗鬆症のリスクが低下していることが分かった。

 「食事で大豆イソフラボンを摂取することは、女性の骨を健康に保つために効果的であることが判明しました。大豆イソフラボンには治療薬に匹敵する効果があります」と、ハル大学医学部のソーズカ サシヤペレン氏は言う。

 イソフラボン66mgに相当する量は、水煮大豆100g、納豆2パック(90g)、豆腐1丁(300g)、豆乳2パック(400g)だ。「大豆食品をよく使う日本食は、イソフラボンが豊富に含まれます。それに比べると、欧米食ではイソフラボンを1日に2~16mgしか摂取できません」と、サシヤペレン氏は指摘している。
女性の骨粗鬆症を予防 生活習慣の改善が効果的
 骨密度は加齢とともに低下していくが、生活習慣を改善すれば、その低下を緩やかにできる。食事でイソフラボンを摂取するのに加え、食事や運動などの生活習慣を見直すことが必要だ。

 最近では、健康な人に比べ骨量が70%以上80%未満に低下した人でも、骨折を予防するために治療をはじめることが勧められている。しっかりした食生活や適度な運動を続けて、骨量を減らさないようにするのと同時に、婦人科系疾患がないかを確認しておくことも必要だ。

・ 食事のポイント

 食事では、骨や筋肉をつくるのに必要な栄養素を積極的に摂ることが大切だ。カルシウムは骨の主成分となるため、しっかり摂取する必要がある。カルシウムを少なくとも1日600mg、閉経を迎えた女性は700~800mgを摂取するのが望ましい。

 乳製品は特にカルシウムを吸収しやすい食品だ。乳製品を食べられない女性でも、骨まで食べることができる魚や、豆製品、緑黄色野菜などが供給源になる。

 カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、サケ、サンマ、ウナギなどの魚類や干し椎茸などに多く含まれるので、積極的に摂ることが大切だ。また、納豆、ホウレンソウ、小松菜、ブロッコリーなどの緑黄色野菜にも多く含まれるビタミンKには骨を作るのを促す働きがある。

 さらにタンパク質は、筋肉や骨の成分であるコラーゲンを作るのに重要だ。こうした栄養素が不足しないよう、食事のバランスと摂取量に注意しよう。

・ 運動のポイント

 運動により背筋・下半身の筋力をアップすると、骨密度を高めることができる。運動はバランス感覚を維持するためにも必要だ。また、骨を丈夫にするためには、骨に十分な刺激を与えることが必要で、特に骨に縦方向の刺激を加えると効果的だ。

 骨を丈夫にするために、もっとも勧められるのはウォーキングなどの有酸素運動だ。姿勢をまっすぐにし、歩幅を広げてリズミカルに歩くことがポイントとなる。

Soybean foods may protect menopausal women against osteoporosis(国際内分泌学会 2015年11月1日)
骨粗鬆症 予防と治療ガイドライン(日本骨粗鬆症学会 2012年)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
2025年02月10日
[高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
2025年01月23日
高齢者の要介護化リスクを簡単な3つの体力テストで予測 体力を維持・向上するための保健指導や支援で活用
2025年01月14日
特定健診を受けた人は高血圧と糖尿病のリスクが低い 健診を受けることは予防対策として重要 29万人超を調査
2025年01月06日
【申込受付中】保健事業に関わる専門職・関係者必携
保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2025年版」
2024年12月24日
「2025年版保健指導ノート」刊行
~保健師など保健衛生に関わる方必携の手帳です~
2024年12月17日
子宮頸がん検診で横浜市が自治体初の「HPV検査」導入
70歳以上の精密検査無料化など、来年1月からがん対策強化へ
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶