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インフルエンザの予防接種 新ワクチン導入で価格が上昇 効果は?

 インフルエンザ対策として、ワクチンの接種は有効な手段となる。新しいワクチンが導入され、ワクチン接種の価格が上昇した。インフルエンザの流行状況についての最新情報をご紹介する。
医師の9割以上がワクチン予防接種を推奨
 インフルエンザは例年11月上旬頃から発生し始め、その後1月下旬から2月にピークを迎えた後、4月上旬頃までには流行が終息する。日本では毎年1,000万人以上がインフルエンザを発症しており、近年は流行期間が広がっているともされている。

 インフルエンザ対策として、有効な手段のひとつがワクチンの接種だ。季節性インフルエンザワクチンでは、ワクチンの予防効果が期待できるのは、接種した(13歳未満の場合は2回接種した)2週後から5ヵ月程度までと考えられている。

 このワクチン接種は今シーズンから流行拡大を防ぐために改良がされ、料金が上がった。今シーズンの季節性インフルエンザワクチンは、インフルエンザA/H1N1型(インフルエンザH1N1と同じ亜型)、A/H3N2亜型(いわゆるA香港型)、B型(山形系統)、B型(ビクトリア系統)が含まれる4価ワクチンだ。

 これまでは3種類が含まれたワクチン(3価ワクチン)だったが、近年、インフルエンザB型の流行が2系統のウイルスが混合していることから、4価ワクチンが導入された。

 医師向け情報サイト「m3.com」が医師2,685人に対して行った調査によると、医師の92.1%がワクチンを「接種済み」、または近く「接種予定」と回答。94.7%が患者にワクチン接種を推奨すると回答し、うち61.7%が「ほぼ全員に接種を勧める」と回答した。

 また、自身が行うインフルエンザ対策としては「手洗い」「うがい」「マスク着用」「早寝早起き」「人込みを避ける」など、一般的な風邪予防策が挙げられた。その他で多かったのが「加湿」「洗顔・シャワーの励行」「目や口に触らないようにする」など。食品では「ヨーグルト」「緑茶」「ビタミンC」をなど摂取するという回答が多かった。
ワクチン予防接種の価格は265円アップ
 他の情報サイトが全国の医療機関を対象に行った調査によると、インフルエンザ予防接種の全国の平均価格3,204円、前年比265円のアップになった。東京都は3,440円(前年比440円アップ)、大阪府は3,165円(前年比282円アップ)。

 値上げの主な原因は、ワクチンが3価から4価に変更されたことに伴い、ワクチン納入(仕入れ)価格が上昇したことだ。

 患者の実質負担にどの程度の影響があるのかを、東京都の440円アップを例にみてみると、小学生の子ども2人がいる4人家族の家庭では(小学生では2回接種が標準なので)440円×6回=合計2,640円の実質負担増となる。

 ただし小学生の接種には公的補助がある自治体も多く、比較的助成額が厚いところでは500~1000円の支払額アップになりそうだ。また65歳以上の人は予防接種法にもとづく定期インフルエンザ予防接種の対象者だ。市町村によっては65歳以上の人の接種を公費負担で行っている自治体もある。

 インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行が予測されるウイルスに合わせて製造されている。インフルエンザの予防に充分な免疫を保つためにはワクチン接種を毎年受けた方が良い。

 「ただし、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではない。ある程度の発病を阻止する効果があり、また、たとえかかっても症状が重くなることを阻止する効果があるが、この効果も100%ではない」と、厚生労働省健康局結核感染症課では説明している。
インフルエンザ流行状況の最新情報
 インフルエンザの流行状況などについての最新情報を下記ページで知ることができる。

 厚生労働省は、「今冬のインフルエンザ総合対策」ページにインフルエンザ発生状況等(発生動向情報、インフルエンザ様疾患報告情報など)を逐次掲載し、更新している。流行状況をふまえた対策の実施に役立てられる。

厚生労働省からの毎週の報道発表
 以下の情報について、毎週、原則として金曜日に報道発表する。

[インフルエンザに関する報道発表資料]
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou.html

インフルエンザ定点報告情報
 各都道府県が選定した全国約5,000か所のインフルエンザ定点医療機関から報告されるインフルエンザの発生状況について、情報収集を行うとともに、集められた情報を分析し、提供・公開している。

(1)インフルエンザ様疾患発生報告(学校休校情報)
 全国の保育所・幼稚園、小学校、中学校、高等学校等においてインフルエンザ様疾患による学級・学年・学校閉鎖が実施された場合に、その施設数およびその時点においてインフルエンザ様疾患で休んでいる学童等の数を、各学校等および各都道府県教育担当部局の協力にもとづき収集し、提供・公開する。

(2)インフルエンザ入院患者情報
 各都道府県が選定した全国約500ヵ所の基幹定点医療機関から報告されるインフルエンザの入院患者の状況について、情報収集を行うとともに、集められた情報を分析し、提供・公開する。

[インフルエンザ流行レベルマップ]
http://www.nih.go.jp/niid/ja/flu-map.html

 インフルエンザ流行状況の注意報・警報を地図上に表示し、注意喚起を行っている。

[インフルエンザ施設内感染予防の手引き]
http://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000134855.pdf

 高齢者などのインフルエンザに罹患した場合の危険度の高い人が多く入所・入居している高齢者の入所施設などでは、まずは施設内にインフルエンザウイルスが持ち込まれないようにすることが重要となる。そのため、厚生労働省は日本医師会感染症危機管理対策室とともに、インフルエンザウイルスの高齢者の入所施設等への侵入の阻止と、侵入した場合のまん延防止を目的とした標準的な手引書を配布している。

インフルエンザ(厚生労働省)
[Terahata]
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